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【MLB2021FA】ロビンソン・カノー、禁止薬物使用で2021年全試合サスペンション!反面、メッツは超有力バイヤーに

メッツを楽観視する見方が多数

 ロビンソン・カノーがまたやってしまいました。

 現地2020年11月18日、ニューヨーク・メッツの2Bロビンソン・カノー(Robinson Canó)がPEDs(Performance Enhansing Drugs)のテストで陽性反応が発覚。2018年以来、2度めの禁止薬物使用ポリシーに違反をしたことに。これにより、ロビー・カノーは2021シーズンの全162試合をサスペンション(出場停止処分)となり、2021年のサラリーも喪失(forfeit)することとなりました。

スタノゾロールを検出

 ロビンソン・カノーから検出されたのは、スタノゾロール(Stanozolol)という物質。たんぱく質の合成を促進する作用のある蛋白同化ステロイド薬で、男性ホルモンに近い薬。

本来は術後の回復などを助ける物質も

 本来であれば重いケガややけど、術後の弱った体の回復を助けるものですが、それを逆手にとって健康なスポーツ選手が筋肉の増強や疲労回復に役立てようとすることが後を断ちません。

 ちなみに短距離のベン・ジョンソンから検出されたのもスタノゾロールです。比較的副作用が少ないということも使用が減らない要因でもあります。副作用が少ないと言っても、高血圧や腎不全を引き起こすリスクもあり、一時の名誉やサラリーアップの引き換えに使用するのはデメリットが大きいと言えるでしょう。

1度目は2018年

 ロビンソン・カノーが最初にPEDsのテストで陽性反応が出て処分されたのはマリナーズ時代の2018年5月15日。この時は1度目ということで規定通り、80試合のサスペンション(出場停止)となりました。

処分:2度めの陽性は162試合のサスペンション

 今回は2度目で、規定によれば、2度目のテスト陽性反応が出た場合は、162試合のサスペンションとなります。

テスト陽性反応が出た場合
  • 1度目:80試合のサスペンション/ その間のサラリーもなし
  • 2度目:162試合のサスペンション/その間のサラリーもなし
  • 3度目:以降の出場はできず/以降のサラリーもなし

サラリーのforfeitは喪失と考えた方が良い

 forfeitという単語は「没収する」という意味もありますが、同時に「喪失する」とか、「召し上げられる」という意味もあります。

 このケースの実態は、カノーに給与が支払われない、あるいはメッツは支払わなくていいということですから、給与を諦めるという意味でも「喪失する」というのが一番実態に近いと思います。

 没収となると、例えばこのケースだとカノーのサラリーを一度メッツは本人に払って、その後カノーからMLB機構に上納されるという罰金のようなニュアンスと誤解されるかもしれないので、ややくどいですが、記載させていただこうかと思います。

 なお、1度目はカレンダー日で94日間、サラリーにして約$11.7Mを喪失しています。2度目の今回は$24M満額を失うことに。

カノーの契約

 ロビンソン・カノーは2013年12月にマリナーズと10年/$240Mで内容でサイン。期間は2014年から2023年まで。支払いは$24M/年の均等払いです。

 2018年12月にメッツに移籍。この時、マリナーズもサラリーの一部を負担することになっていました。マリナーズの負担額は2018年12月に$5M、2019年から2022年までは$3.75Mを12月1日に支払うというものでした。

メッツ、.25Mが浮くことに

 2021年はメッツ、マリナーズともに支払いは免除。よって、メッツは自軍の負担分の$20.25Mが浮くことになりました。

メッツ、一躍注目バイヤーに

 メッツは現地2020年10月30日にスティーブ・コーエン氏がMLBのオーナー達から売買の承認が下り、新体制になったところ。資金は潤沢です。それに加え、今回の2021シーズンのカノーへの支払いがなくなったことで、一躍注目のバイヤーとなりました。

 確かにカノーのサスペンションにより、メッツは打線の中軸に大きな穴が空いてしまったことは事実ですが、それ以上にFAマーケットへの積極的な参入が可能となったことの方が喜ばしいという見方が多数です。

クラブ内のやりくりなら

 10月末にはメッツからもFAが出ました。

 捕手、CF、そしてカノーの2Bが抜けた形となりましたが、クラブ内のやりくりなら、ユーティリティーのジェフ・マクニールが2Bに、J.D.デービスが3Bに、マイケル・コンフォート、ブランドン・ニモがOFというプランも可能。

  • マーカス・ストローマン(29)/RHP/ RR
    • 1年/$12M (2020) →10/28 FA:QO提示あり→QO受諾
  • ヨエニス・セスペデス(35)/OF/RR
    • 4年/$110M (2017-20) →10/28 FA ※2020は途中でオプトアウト
  • トッド・フレイジャー(35)/ 3B/RR
    • 1年/$5M+2021クラブOpt→オプション行使せず。→10/28 FA
  • マイケル・ワカ(29)/ RHP/ RR
    • 1年/$3M (2020)→10/28 FA
  • デリン・ベタンセス(33)/ RHP/ RR
    • 1年/$10.5M (2020) +2021$6MプレーヤーOpt ($3Mバイアウト) – 2022 条件付きプレーヤーOpt(成績の基準が定められている)→プレーヤーOpt行使。メッツに残留。
  • ジェド・ラウリー(37)/INF/RS
    • 2年/$20M (2019-20)→10/28 FA
  • エドゥアルド・ヌネス(33)/2B/ RR
    • 1 年/$1.25M (2020)→10/28 FA
  • ロビンソン・チリノス(36)/C/ RR
    • 1年/$6.75M (2020)+2021 $6.5M クラブOpt($1Mバイアウト)→オプション行使せず。10/28 FA
  • ウィルソン・ラモス(33)/C/RR
    • 2年/$19M (2019-20) + 2021 $10Mクラブ Opt($1.5Mバイアウト)→オプション行使せず。10/28 FA
  • ジェイク・マリスニック(30)/ CF/ RR
    • 1年/$3.3125M (2020)→10/28 FA
  • リック・ポーセロ(32)/RHP/ RR
    • 1年/$10M (2020)→10/28 FA
  • ジャスティン・ウィルソン(33)/ LHP/ LL
    •  2年/$10M (2019-20)→10/28 FA

FAへ積極参戦

 しかし、せっかくの潤沢な資金と思いがけない予算額アップにより、FAの有力選手に食指を伸ばすことになりそうです。

候補1:D.J. ルメイヒュー

 2Bでカノーのいない打線の穴を塞ぐ最有力はヤンキースからFAとなり、QOも拒否したD.J.ルメイヒューでしょう。フィットどころの騒ぎではありません。

候補2:J.T.リアルミュート

 ウィルソン・ラモス、ロビンソン・チリノスが抜けた捕手の穴を埋めるには、やはりJT・リアルミュート獲得も視野に入っているでしょう。そもそもウィルソン・ラモスを獲得する前に、メッツはリアルミュート獲得レースに参加していました。

候補3:トレバー・バウアー

 マーカス・ストローマンがQOを受諾し、有力な先発が残ったとは言え、メッツはノア・シンダーガードがトミー・ジョン手術で2021シーズンはアウト。セス・ルーゴは出来れば後ろで使いたいでしょうから、ジェイコブ・デグロム、マーカス・ストローマン、デービッド・ピーターソン、スティーブン・マッツに次ぐ強力なスターターが必要です。

 となると、トレバー・バウアーという選択肢もかなり有力です。あるかもしれませんね。

候補4:内野手をトレードで獲得

フランシスコ・リンドーア、クリス・ブライアント

 FAとはなっていないインディアンスのフランシスコ・リンドーア、カブスのクリス・ブライアントをトレードで獲得するというプランもあります。D.J.ルメイヒューが難しくなった場合ですね。

ノーラン・アレナドもあり

 さらに、トレードならロッキーズのノーラン・アレナドという選択肢もあります。

 トレードの場合、メッツも将来を犠牲にせざるを得ませんが、新オーナーの元、良い成績を上げたいというのが優先されれば、それもあり得ます。

 一気にオプションが広がったメッツ。どう出るか、注目ですね。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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