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アスレチックスがマイナーリーガーへの週400ドルの支払いを5/31でストップへ(追記あり)

A’sのマイナーはどうなる?

 今回の新型コロナウィルスの感染拡大で色々なことが明るみになっていますが、その中で経済的な面で言えば日本の雇用政策の良い点も明るみになったと思います。すでに雇い止めの被害にあっておられる方がいらっしゃるのは承知しており、そういう方々にはいち早くよい職に就かれるのを祈るばかりではありますが、雇用調整の大きな点で日米でかなりの違いがあることも明るみになったと言えると思います。

日本とアメリカの違い

 日本企業には雇用調整助成金なるものがそれこそ1975年から制度としてあり(今回のコロナ特例とは違う!)、事業主は支給を申請することで、「雇用維持を行うための経済的支援を国から受けることができます(WIKI)」。よって少しでも従業員の雇用を延ばすことができます。

 これがあることで景気を判断する要素としての失業率の反映が数ヶ月遅れ、マクロ経済的な景気判断が遅れるというデメリットがあることも確かですが、何より少しでも雇用を維持できる制度があるということが重要だと思います。

アメリカはすぐに失業率が反映される

 日米の違いですが、アメリカにはこのような制度がなく、レイオフ、一時帰休がすぐに実施されることが多いです。

 よってアメリカの場合、失業率がすぐに反映されることから、経済指標としてもアメリカの景気判断として失業率がニュースになります。今景気がいいのか、悪いのかがわずかなタイムラグでわかるということです。

A’sがマイナーへの週400ドルの支払いを5/31で停止

 前置きが長くなりましたが、ついにベースボールにもその波が来ました。オークランド・アスレチックスは現地2020年5月27日、マイナーリーガーへの支払いを5月31日でストップすることを明らかにしました。

 これはアスレチックスのGMであるデービッド・フォーストがマイナーリーガーにEmailで通達しました。

  • 3/31にコミッショナーからマイナーの活動停止が宣言された
  • それによってチケット収入、ローカルのTV収入の道が途絶えたこと
  • 苦渋の決断である
  • 本人、家族のメディカル保険は引き続き利用可能であること

 などが記載されています。

本来なら昇給するはずだったのだが

 週400ドルの支払いが補償されたのは2020年4月1日。この当時はまだマイナーへの手厚さが強調されていました。

 そしてコロナパンデミックの前にはFA前後であまりにもサラリーの開きが問題となっていたこともあり、わずかではあったもののマイナーリーガーの昇給も約束されていたのでした。ブルージェイズなどはマイナーの昇給に積極的でしたね。

 これと密接な関係のある事象としてFAになった頃には選手が高額サラリーとなっても疲弊して機能しないケースも多々見受けられることから、いい傾向になりつつあったのでした。

アスレチックスの収入

 2019シーズン、アスレチックスは$225Mの収入がありました。日本円で242億円ほど。

 このうち40manロスターのサラリーは贅沢税ベースでシーズン終了時は$95.7M。贅沢税の金額は実際のサラリーの支払い額とは違うのですが、一つの目安としてこのくらいのサラリー総額であるとは言えます。

 ここからマイナーリーガーのサラリーなどが差し引かれます。

マイナーリーガーのサラリーの総額

 一般的に40man以外の選手の数は200-250名と言われています。仮に250名に週400ドルを支払うとすると週に$100K。年間52週のうち、シーズン中はその半分ですので26週で支払いが発生したとすると計$2.6M。

 $225Mの収入から選手関連の費用で40manとNon-40manを足してざっと$100M。さらにコーチ、ベースボールオペレーションの人件費、スタッフ、問題になっている球場レンタル費$1.2M、スカウト、旅費・・・もろもろ引いたとして、金銭に厳しいアスレチックスの計算では今回、マイナーリーガーのサラリーはコストカットの対象となったという結論なのでしょう。

どうするプロスペクトは?

 現状、ほとんどのプロスペクトはマイナー。2020シーズンは40manが50manになったとしても当然漏れ出てくる選手がいる訳で、この選手たちをどう育てるのでしょうか?

 トッププロスペクト100以内に入っているヘスス・ルザルド(12位)、ショーン・マーフィー(33位)、A.J.パック(60位)は、50manに入ると見られますが、2019年アマチュア・ドラフト1巡目(全体29位)のローガン・デビッドソン(チーム内8位)や、2015年1巡目指名のジェームズ・カプリーリアン(チーム内12位)などはどうするのか?

 ゴーイングコンサーン(going concern)という企業継続の概念がありますが、たしかにこれは会計的な考えで組織を維持するために必要な考え方。

 ただ野球チームの場合は、次に活躍する選手を育てることも一つの指命であり、肝心要のそこを崩してしまう決断に至ったほど、アスレチックスの経営は厳しいということなのでしょうか。

 この処置によりNFLを選択したカイラー・マーリーは先見の明があったということになるのでしょうか。本来なら野球選手の方が寿命は長いはずではあります。

 アスレチックスの動向に注目したいと思います。スカウトをカットしようとしているエンゼルスにつづき、AL西はちょっと心配ですね。

追記:続々とマイナーリーガーを解雇

 アスレチックスの今回の処置は6月以降も保険がまだ使えるという点でマイナーリーガーをすべて解雇するということではないとは思っています。

 ただ、各クラブでマイナーリーガーのリリース(これは解雇)が始まりました。

  • 5/22: オリオールズが37名のマイナーリーガーをリリース
  • 5/28: メッツが39名のマイナーリーガーを今月末でリリースへ。6月末までは週400ドルの支払いを継続。
  • 5/28: レッドソックスも22名のマイナーリーガーをリリースへ。元BOSベンチコーチの息子であるニック・ロブロ、ジュリクソン・プロファーの弟、ジュレミ・プロファーもこの中に含まれています。 
  • 5/28: カブスが30名のマイナーリーガーのリリースを発表
  • 5/29: Dバックスは64名のマイナーリーガーのリリースを予定。支払いは6月末までは継続。
  • 5/29: ブルージェイズは複数のマイナーリーガーのリリースを行う予定。
  • 5/29: マリナーズは30名以上のマイナーリーガーのリリースを行う予定。ただし、残り選手の支払いはシーズン終了までは継続。
  • 5/29: レイズも複数選手にリリースを通達。支払いは6月末までは行なう予定。
  • 5/29: ブルワーズも複数選手をリリースする予定。

 非常に厳しい動向となっています。

NOリリース

 一方でNO リリースを表明しているクラブもあり、応援したいですね。

  • ロイヤルズ、ツインズ、アストロズはマイナーリーガーへの支払いを8/31まで続け、リリースはなし。
  • レッズは9/7まで支払いを継続。リリースはなし。

 ※マイナーのシーズンエンドは8/31です。

追記:朗報!アスレチックス、方向転換へ

 現地2020年6月6日、オークランド・アスレチックスが方向転換を発表。マイナーのシーズンエンドである8/31日まで週400ドルの支払いを継続することに決定しました!よかったですね!

 お読みいただき、ありがとうございました。

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