レンジャーズ、またも動く
現地2025年11月23日、アメリカではサンクス・ギビング・デー(Thanksgiving Day:感謝祭)ですが、大きなトレードが成立しました。
レンジャーズのマーカス・セミエンとメッツのブランドン・ニモのトレードが決定。こちらはすでにオフィシャルとなっております。
それにしてもレンジャーズはノンテンダー・デッドラインで大暴れしましたが、今度はチームの精神的中核であるマーカス・セミエンのトレードを決めてしまいました。
トレード概要
動くのはセミエンとニモのみなのですが、一応わかりやすく明記しておきます。
メッツGet
- マーカス・セミエン(Marcus Semien/35)SS/2B | B/T: R/R
レンジャーズGet
- ブランドン・ニモ(Brandon Nimmo/33)OF | B/T: L/R
- ニモのサラリーの一部の$5M
2人の現在の契約
なお二人の現契約を見ておきます。
セミエンは7年契約の5年目
- 7 年/$175M (2022-28)
- 2022:$25M | 2023-2027:$26M/年 | 2028:$20M
- ボーナスは省略
まず、マーカス・セミエンですが、2026年は2021年11月30日にレンジャーズとサインした7 年/$175M (2022-28)の5年目に入るところでした。2026年のサラリー単価は$26M。
ニモは8年契約の4年目
- 8年/$162M (2023-30)
- $2M サイニング・ボーナス
- 2023: $18.25M | 2024-30: $20.25M/年
ブランドン・ニモの現契約は2022年12月初めにメッツと再契約した際の8年/$162M (2023-30)で、2026年は4年目に突入というところでした。サラリー単価は$20.25M。
トレード成立の付帯的条件
上記のようにともに長期契約の真ん中でのトレード成立ということで、ブランドン・ニモの場合、フル・ノートレード条項が入っていたので、今回はそれを放棄しての成立となったので、メッツはニモにトレード・アサインメント・ボーナスとして$1Mを支払います。なお、マーカス・セミエンにフル・ノートレード条項はなし。
そしてメッツはレンジャーズにニモのサラリーの一部の$5Mをつけて送り出すことにもなっています。ここは両者の間でそれで合意したという内容です。
驚きのディール
13日に終わったGMミーティングを経た数日後、17日から始まる週にメッツはニモの移籍に前向きだという噂が出ました。
では代わりに誰を?というところで、千賀投手のトレードも噂されているメッツですから、OFのニモに対し投手をという選択肢もあった訳です。それがまさかマーカス・セミエンの名前が出てくるとは!これはかなり衝撃的でした。
というのも、マーカス・セミエンは急速な成績降下があったからです。
かつてのセミエンはプレミア・プレーヤー
マーカス・セミエンと言えば、リーダーシップや社会貢献をもって他の選手に良い影響を与えた選手に贈られるプレーヤーズ・チョイスのMarvin Miller Man of the Yearに2度(2021/2023)も輝いたこともある人格者であり、さらにMLBPAA(Major League Baseball Players Alumni Association:MLB選手OB会)のハート・アンド・ハッスル賞も2度受賞。つまり、フィールド外の活動、そして肝心なフィールド内の活動においても素晴らしいという一言のお手本となる選手でした。
マーカス・セミエンは2018年から2024年まではほとんどのシーズンで全試合に近い形で出場。162試合出場が7シーズン中3シーズン、161試合出場が1シーズン、159試合出場が2シーズン、短縮シーズンであった2020年も60試合中、53試合に出場。
そしてアスレチックス時代の2018年に161安打、255/.318/.388、OPS .706をマークすると、2019年には187安打を放ち、HR 33、二塁打 43、三塁打 7、RUN 123、.285/.369/.522、OPS .892をマークし、MVP投票で3位にランクイン。
さらに、ブルージェイズでの2021年はHR 45、RBI 102、.265/.334/.538、OPS .873と非常に高い数字をマークし、MVP投票で2度目の3位、ゴールドグラブ賞、シルバースラッガー賞も受賞。この時はとりわけすごかったです。
7年契約でレンジャーズとサインした1年目の2022年は163安打、HR 26、 RBI 83、SB 25をマーク。
そしてワールドシリーズ・チャンプとなった2023年は185安打、HR 29、RBI 100、.276/.348/ .478、OPS .826を記録し、3度目となるMVP投票3位に入り、シルバースラッガー賞も受賞。
2024年はまだなんとかなりました。154安打、HR 23、RBI 74、.237/.308/.391、OPS .699。ただ、おやおや?という状況でもありました。
2025年は急速に低下
問題は2025年です。出場試合を127試合に減らし、108安打、HR 15、RBI 62、.230/.305/ .364、OPS .669にまで低下。特に開幕2ヶ月は悲惨で、4月の打率は182、5月は.207。6月に.324とようやく持ち直したという具合でした。
この安打数でRBI 62をマークしているのは持ち前のチャンスでの集中力でなんとかしていたのでしょう。
怪我の不運も
ただ、2025シーズンは自打球を左足に当てて骨折し、リスフラン靭帯も捻挫して8月21日にシーズン・エンドになってしまった不運もありました。
骨折前の不調が年齢要素による低下でないことを祈るばかりですが、 ひょっとしたら開幕前からどこかしらおかしかったのかもしれません。
そうなると、メッツとしてはヘルシーならかなり見込めると判断したのかもしれませんね。なお、2025年、セミエンは2度目のGG賞を受賞しています。
メッツの内野
さて、セミエン加入の影響ですが、メッツは今オフにピート・アロンゾがオプトアウトを宣言してFAとなり、1Bが空いております。もともとメッツは3Bが不安定でしたが、3B候補のマーク・ビエントスを1Bにしたとすると、3Bはブレット・ベイティーがその候補となりそうです。
SSのフランシスコ・リンドーアとマーカス・セミエンでセンターラインの内野側を固めれば、確かにいい布陣ではあります。あとは右打席のピート・アロンゾがいなくなり、右打席の打者が必要だったというのもあったのでしょう。
ただ、メッツとしては、トップ・プロスペクトで2022年の1巡目指名のジェット・ウィリアムス(170cm)が2B候補だっただけに彼の出場機会をどうするか?という課題も。それこそ起用な選手ですから、ニモが不在となったOFでの出場もあり得るかも。あとはルイスアンヘル・アクーニャ、ロニー・マウリシオも2Bのポジションを失うことになります。
このセミエンの加入がメッツにどのような影響を及ぼすのか、見守りたいですね。
OPSの高いブランドン・ニモ
ブランドン・ニモは見るからに安打を量産しそうな左打者で、OBPが非常に高いのが特徴。2011年のメッツの1巡目指名のOFは2016年に23歳でメジャー・デビューし、ゲームに欠かせない存在となったのは2022年(29歳)からで、以降は毎年150試合以上に出場。
2019年に69試合の出場で打率.221を記録しておりますが、それ以外のシーズンは.260は余裕で見込める数字をマーク(ちなみに2024年の打率も.224と低かったです)。
とりわけ評価が高いのはOBPでキャリアを通じたそれは.364。2023年からはHRも20本台に乗せてきていますから、自然とOPSも上昇。キャリアを通じたそれは.802と高いです。
2025年の成績は.262/.324/.436、OPS .760、154安打、HR 25、RBI 92。
メッツはこんないい数字を持っているニモを出して大丈夫か?とは思いますね。
TEXのOF
レンジャーズはアドリス・ガルシアをノンテンダーFAとしましたので、OFは空いております。DHにはジョク・ピダーソンがおりますので、ここは固定でしょう。
ニモはメッツではLFを守るケースがほとんど。ごくたまにCF。レンジャーズは2025年のLFをワイアット・ラングフォードに任せました。ルーキー・イヤーの終盤とポストシーズンで大活躍したエバン・カーターは2024年は打率が.188と壊滅。完全に2年目のジンクスに陥りました。2025年はCFで出場して.247/.336/.392と持ち直しものの、ルーキー・イヤーのような活躍を見せるかどうか。
ラングフォード、カーター、ニモの3人でもう決まりと言えば決まりですが、ここをサム・ハガーティー、ジョシュ・スミスらが狙うという構図です。
メッツ、OFを補強か
噂レベルですが、今回、コンタクトのいいブランドン・ニモを放出するに至ったメッツはOFの大幅な補強に乗り出す可能性が大です。フアン・ソトというとんでもない打者がOFに一人おりますが、ここにカイル・タッカー、あるいはコディ・ベリンジャーが加わるのかどうか?ちょっと様子見ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。







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