スポンサーリンク

【MLB2024】マリナーズ、スコット・サービス監督を解任(追記)

PS出場に向け、大ナタを振るう

 現地2024年8月22日、マリナーズはこの日は移動日でゲーム無し。前日に終了したドジャースとのシリーズではどの試合も好投手を先発させるも、打線の援護が途切れてスウィープされて終了。

 移動日のこの日はせめて選手に気分転換でもさせて、23日から始まる地元でのジャイアンツ戦に向け、英気を養わせるのか思いましたが、直近9試合の成績が1勝8敗でポストシーズン進出に大きく赤信号が灯った状況ではあまり悠長なことは言っていられなかったようです。

 編成トップのPOBO(President of Baseball Operations)のジェリー・ディポートはスコット・サービス(Scott Servais)監督を解任しました

 まさかの大ナタを振るいましたね。

打撃コーチも解任

 加えて、一向に改善しないチームの打撃成績の責任を取る形で、ヒッティング・コーチのジャレット・デハート(Jarret DeHart)も解任されることとなりました。

ブラント・ブラウンに次ぐ今季2度目の解任

 マリナーズの打撃コーチが交代するのは今季2度目のこと。

 もともと今季はオフェンス・コーディネーター兼ベンチ・コーチとしてブラント・ブラウンが就任していました。ブラント・ブラウンは1996年から2000年まで現役で、主にカブスで活躍していたバッター。ブラウンは2023年にMLBワースト2位の奪三振率25.9%というフランチャイズ記録を打ち立てたマリナーズ打線に火をつけることを期待され、2023年冬に新設されたオフェンス・コーディネーター(offensive coordinator)というタイトルで雇われていました。

 しかし、蓋を開けて見ると、改善どころか今シーズンの最初の2ヶ月間で打線はさらに悪化。リーグで最も高い三振率 28.3%を記録し、5月末に解任されたのでした。

 ジャレット・デハートはそこから就任して3ヶ月弱で解任となったわけです。 

新監督

 スコット・サービス監督の後任には、長年マリナーズの捕手として活躍し、マイナーリーグでコーディネーターを務めていたダン・ウィルソン(Dan Wilson)が就任することとなりました。肩書には”Interim”(暫定)というのはつきません。今季はあと1ヶ月強しかありませんが、あくまで正式監督として残りシーズンの指揮を執る予定。来季がどうなるかはまたオフシーズンのお話に。

 ちなみに、コーディネーターというのは選手に対するコーチングも行いますが、それよりも他の部門にも横断して関与する仕事で、その意味で「調整役」というタイトルがついています。発想はNFLからもらったものです。

新打撃コーチは?

 現地2024年8月23日時点で、マリナーズは新打撃コーチというタイトルで新しいコーチを雇っていません。

 しかし、当然のことながらジャレット・デハートが行っていた仕事を誰かがする訳ですが、どうやら、OBでHOF(Hall of Fame:野球殿堂)のエドガー・マルティネスが柔軟性のある役割で打撃部門をケアする予定です。

 これはシアトル・タイムズのアダム・ジュードさんが得た情報です。

「クラブハウスに新しい声が必要だと信じている」と、野球運営のジェリー・ディポト社長は声明で述べた。「ダンは私たちのチームを知っており、過去11年間、あらゆるレベルの選手と協力している私たちの組織の重要なメンバーでした。彼は私たちのクラブハウスの内外で尊敬されており、私たちは彼がシーズンの最後の6週間にわたって私たちのグループをリードし、前進する上で素晴らしい仕事をすると確信しています。」ディポトはその後、シアトルでの9年近

くにわたるセルヴェの情熱と仕事に感謝した。

追記:エドガー・マルチネスがヒッティング・コーチに

 追記です。現地2024年8月23日、マリナーズは正式にエドガー・マルチネスを新ヒッティング・コーチに任命しました。期間は残りシーズン。来季は監督同様にシーズンオフの話になります。

 エドガー・マルチネスは現時点で61才。下記のようにとんでもなく凄いプレーヤーでした。

  • ALオールスター出場:7度(1992, 1995-1997, 2000, 2001 & 2003)
  • ALシルバースラッガー賞:5度 (1992/3B, 1995/DH, 1997/DH, 2001/DH & 2003/DH)
  • AL打率1位:2度 (1992 & 1995)
  • AL OBP1位:3度 (1995, 1998 & 1999)
  • AL OPS 1位:1度 (1995)
  • AL Runs Scored 1位:1度 (1995)
  • AL 最多二塁打:2度 (1992 & 1995)
  • AL RBI 1位:1度(2000)
  • 20 HR以上のシーズン: 8度 (1995-2001 & 2003)
  • 30 HR以上のシーズン: 1度 (2000)
  • 100 RBI 以上のシーズン: 6度 (1995-1998, 2000 & 2001)
  • 100 Runs Scored 以上のシーズン: 5度 (1992, 1995-1997 & 2000)
  • 野球殿堂入り: 2019

ディポート「クラブハウスに新しい声」

 成績不振の責任のすべてを現場の監督、コーチに帰するのは常に議論の余地のあるところですが、事態が悪くなったときにスケープゴートにされるのはたいがい彼らです。今回も残念ながらそうなりました。

 ディポートの立場でその大義を掲げるのは容易で、「シアトルには強力なピッチングスタッフがいるものの、打撃陣が極めて低調で、その資産である投手陣も潰しかねない」と言ったところでしょう。これはディポートが言った訳ではないです。筆者の言葉ですが、考えるポイントは同じで、それくらいの共通認識が成立するほどポイントが明快で、尚且つ改善できなかったのが解任理由であると説明できますね。

 現地2024年8月23日時点のチームの打撃成績は打率.216、OBP .301、SLG .365で、打率はMLBでワースト。打てなさ過ぎるホワイトソックスのちょい下を行くというところ。今季はもう殆どの期間で打率はMLBワースト1を維持していました。

 さらに、チーム全体のSO%は27.7%で、これもMLBワースト。コロラドの26.1%よりも悪く、他のクラブはいずれも25%を下回っています。

 投手陣がピカピカで際立っていただけに、そのアンバランスさが引き立っていました。

2位に最大10ゲーム差をつけながらの失速

 その強力な先発陣を武器にマリナーズは4月20日に初めて首位に立ち、5月12日からはずっと首位をキープ。6月18日にはALウエストで2位アストロズに10.0ゲーム差をつけるぶっちぎりの1位に。

 しかし、それ以降、形成は徐々に悪くなって行き、さらにはアストロズが本来の力を取り戻しはじめ、7月20日にはついに首位が入れ替わりました。その後は上下する攻防を繰り広げておりましたが、上述の通り、直近9試合で1勝8敗という大失速が響いてアストロズに首位の座を明け渡すことに。

 現地2024年8月22日時点では64勝64敗で勝率は.500となり、アストロズに5.5ゲーム差をつけられる事態に。さらに、ワイルドカードレースでも交代し、3位枠から7.5ゲーム差となっています。

 今回の解任に関して、ジェリー・ディポートは「クラブハウスに違うテーマ、違う雰囲気を作るために何かをする必要があった」とし、スコット・サービスのこれまでの貢献を認めつつも、「新しい声が必要だったとは思う」と述べました。

スコット・サービス監督

 スコット・サービス監督は57歳。Servaisというスペルを見ると、「サービス」という表記でいいのか?と思ってしまいますが、発音はService と同じで良いとされています。

 2016シーズンからマリナーズの監督を務めており、今季は9シーズン目。ジェリー・ディポートとは大の仲良しです(解任後もその良き関係が続いていることを願います)。

 最初の3シーズンで勝率.500前後をキープしていましたが、フロント・オフィスが再建に着手し、ロビンソン・カノーやエドウィン・ディアス、さらにはジェームズ・パクストンやジーン・セグラらを2019年にトレード。2019年は68勝94敗で100敗が見えそうなところまで落ちました。

 しかし、フリオ・ロドリゲスの台頭やディポートの編成の効果もあり、2021年、2022年と2年連続で90勝をマーク。2022年には2001年以来のプレーオフにも進出も果たしました。

イチロー選手の引退試合

 スコット・サービス監督と言えば、イチロー選手の引退試合で指揮を執っていたシーンを思い出す方も多いはず。イチロー選手を一旦守備に就かせ、交代を命じたシーンは印象的でした。

新監督のダン・ウィルソンとは?

 新監督のダン・ウィルソンは1969年3月25日生まれの55才。

 現役時代は1992年から2005年までキャッチャーとしてプレー。そのほとんどをマリナーズで過ごしました。通算1097安打を記録。

 2013年にマリナーズのマイナーでキャッチング・コーディネーターに就任。

 そしてマリナーズのフランチャイズ史上18番目のフルタイム・マネージャーに就任しました。

 マリナーズはトレード・デッドラインで獲得したランディー・アロウザリナ、ジャスティン・ターナーが揃って不振。マリナーズに入った途端に打たなくなりました。それで言うと、ツインズから移籍してきたホルヘ・ポランコも打率.222と低迷。

 うまく行かないことが続く中でこの状況をどう打ち破るのか?注目したいポイントです。

 お読みいただき、ありがとうございました。

スポンサーリンク

NEW

【MLB2025】ブレイク・スネルが熱投!7回、12奪三振!大谷も51号で援護!
【MLB2025】大谷が5回ノーヒッター&50号HR!しかし、ドジャースは勝ちゲームを落とす
【MLB2025】フィリーズ、ドジャースとの死闘を制し、NLイースト2連覇を達成!
【MLB2025】カル・ロリーがミッキー・マントルに並ぶ54号HR!マリナーズはAL西地区単独首位へ
【MLB2025】大谷が49号!ドジャースはカーショウの初回の4失点を跳ね返して勝利
【MLB2025】タイガースのタリク・スクーバルとハビアー・バイエスの怪我の状態
【MLB2025】ウォーカー・ビューラーがフィリーズ移籍後初登板!失点傾向をケアして勝利投手に
【MLB2025】アロルディス・チャップマンの無安打記録に終止符を打ったのはシェー・ランゲリアス!
【MLB2025】レッドソックスのコナリー・アーリーが5回、11奪三振の衝撃デビュー!
【MLB2025】ドジャース、今度はコンバインド・ノーヒッターを逃すも、大きな勝利を上げる
【MLB2025】スレイド・セコーニが7回までノーヒッター!ロッキオの守備も光り、ガーディアンズがWCレースでKCを抜く!
【MLB2025】大谷が今季12本目のリードオフを含む47、48号のマルチHR!ドジャースは連敗ストップ
【MLB2025】山本が9回2アウトまでノーヒットノーラン!しかし、ドジャースは大惨事に!
【MLB2025】大谷が緊急で先発!100mph超えを連発するも、ドジャースはまたけが人が出てサヨナラ負け
【MLB2025】NLサイ・ヤングへ! ポール・スキーンズがドジャースを圧倒!ERAは1.98に!
【MLB2025】レッドソックス、試練の終盤戦へ!ローマン・アンソニーが腹斜筋を傷めてIL入り
【MLB2025】ジャイアンツ vs ロッキーズ戦でデバースの一発を巡り、ベンチクリアー!
【MLB2025】大谷、プロスペクトのババ・チャンドラーから強烈な一発(46号)!しかし、ドジャースは敗戦!
【MLB2025】パドレスのスーパー・ブルペン、ジェイソン・アダムが左足大腿四頭筋を傷めて離脱へ
【MLB移籍2025】フィリーズ、ウォーカー・ビューラーをマイナー契約で獲得!
【MLB2025】センセーショナルな活躍を見せるA’sのニック・カーツが右腹斜筋を傷める
【MLB2025】レッドソックス、アロルディス・チャップマンとの延長契約(2026)に合意
【MLB2025】レッドソックスのペイトン・トールが鮮烈デビュー!P・スキーンズとの投げ合いで好投!
【MLB2025】レッドソックス、ウォーカー・ビューラーをリリースへ
【MLB2025】カイル・シュワーバーが1試合4HR!HR数は49となり、NL単独トップに
【MLB2025】ブルワーズのクローザー、トレバー・メギルが屈筋腱を傷めてILへ
【MLB2025】大谷が移籍後初勝利!ドジャースは計19奪三振の大記録を打ち立てる!
【MLB2025】ネイサン・イオバルディがローテーター・カフを傷めてシーズン・エンドの見通し!
【MLB2025】エンゼルス、ジェイコブ・デグロム先発のレンジャーズに4-0でシャットアウト勝利
【MLB2025】ザック・ウィーラー、胸郭出口症候群(TOS)と診断される!手術必至で2025年のシーズン・エンドが濃厚
タイトルとURLをコピーしました