球速がないなら、もっと遅くしよう
現地2020年8月9日のゲリット・コールとタイラー・グラスノーが投げあったヤンキース@レイズのGame1を見ていて目を見はる面白い投手がいました。
それがタイラー・グラスノーの降板後に2番手で上がったショーン・ギルマーティン(Sean Gilmartin)。
失点3、被本塁打2・・・しかし、
そのショーン・ギルマーティンですが、先に悪い方のお話からしますと、数字は決してよくありませんでした。3.1イニングで被安打5、失点3、自責点3、与四球1、被本塁打2。
5回表にジャンカルロ・スタントンに打たれたソロHR、そして6回表に先頭のD.J.ルメイヒューにシングルを打たれた直後にアーロン・ジャッジに2ランHRを浴びたのはこのショーン・ギルマーティンです。
しかしです。独特なボールが目を釘付けにしました。
70mphの遅いボール
タイラー・グラスノーが3回表に4点を奪われ、2番手で出てきたトリプルAの匂いのする左投手。これは火に油かなと思いました。
ところが、ショーン・ギルマーティンは上記の通り、結果的には打たれはしたものの、実はヤンキース打線を苦戦させていたのでした。
それが70mphのカーブ。正確に言うと、一番遅い球速で70.6mphのカーブで、113.61kmhです。
イーファスとは違う遅さが魅力
山なりの超スローボールのことを、MLBではイーファス・ピッチ(eephus)、あるいはブルーパー・ボールとも言いますが、ショーン・ギルマーティンが投げていたのはそれよりは速い速度帯。打者の顎が上を向くような山なりのボールでもありません。
この遅さが非常に効果を発揮しました。
チェンジアップ、スライダーが77-78mph
球種は他にチェンジアップとスライダーがありました。速度帯は双方ともに変わらず、77−78mph(123.91kmh-125.53mph)。
4シームが87-88mph
では肝心の4シームがどれくらいだったかというと、87-88mph(140.01-141.62kmh)。もうこれを速く見せるための遅いカーブですね。
遅すぎてタイミングが合わず
90mph後半のファストボールに慣れている打者陣にとっては、ギルマーティンが投げる77−78mphのチェンジアップや70mphのカーブは非常に手こずる速度帯。わかっていても待ちきれず、体が崩れてしまう速度なのです。
ちょうど清宮が出ていた2015年のU-18のジャパンが、USAとの決勝でニック・プラトー(現ロイヤルズ)のチェンジアップに手こずったのと同じような感覚です。
5年前から速くはなかった
ショーン・ギルマーティンのプレーヒストリーなどはこちらに。
昔から速いボールを投げる訳ではなく、2015年のMLBデビューイヤーにおいても4シームは91−92mphほどしか出ておりませんでした。
スローカーブは今より速く、75-78mphといったところ。
レイズの人材開発
レイズはトリプルAの長いショーン・ギルマーティンの良さを引き出すべく、遅いボールしか投げられないのならということで、さらにその遅さに磨きをかけさせたのだと思います。弱点を強みに変える素晴らしい発想です。
今後もリリーバーとして生き残るのか?
この日の投球によって、レイズも本人もある程度は手応えをつかんだのではないでしょうか?そう言いながら、二度とマウンドに上がってこなければ見立て失敗になりますが、非常に面白い投手であることは事実です。
この速度帯の投手はヒットを打たれるのは覚悟の上。意外にもボールに伸びがあれば、遅いボールはさらに有効になりそうです。
奥様は超エリート
なおショーン・ギルマーティンの奥様は、超エリートです。ホワイトハウス報道官のケイリー・マケナニー。現職です!!2020年4月から就任。ホワイトハウス報道官とは連邦政府のトップ・スポークスマン。トランプ政権の広報を担っており、日々記者とのブリーフィングを行っています。
公私にわたり、面白みのあるショーン・ギルマーティン。
下記はルーキー・イヤーの2015年のメッツ時代のピッチング。まだ活きがよかったです。
ぜひ、活躍してほしいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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