HOT ”CWS” for 2020
現地2019年11月21日、シカゴ・ホワイトソックスがまたやりました!
21日にブルワーズからFAとなった捕手のヤズマニ・グランダール( Yasmani Grandal)と4年/ $73 Mで合意したばかりですが、今度は今オフ自軍をFAとなり、クオリファイング・オファー(QO)を受け入れた1Bのホセ・アブレイユ(José Abreu)との契約延長に合意致しました。
合意内容
契約延長の合意内容は、3年/$50M (2020-22)。
QOの金額を上書き
ホセ・アブレイユは現地2019年11月14日に$17.8 MのQOを受け入れたばかりでしたが、今回の延長契約はそれを上書きする形で合意となっています。
細かい合意内容
$50Mの内訳は、$11M + $16M + $18M ( = $45M) + サイニング・ボーナスの$5Mです。細かい内容は下記の通りです。
- 支払い1:20: $11M、 21: $16M、 22: $18M
- 2020年はQOの$17.8 Mより下がりましたが、複数年になったことでアブレイユに大きなメリットが出たので合意したと思われます。
- 支払い2: $5M サイニング・ボーナス (2020年7月1日に支払)。これによりアブレイユの2020年の受取額は2021年と同額の$16Mになります。また、この金額は2020年のCWSの贅沢税の計算に算入される額です。
- 2022年の$18Mのサラリーのうち$4Mが繰延払いに。支払い方法は2023 年から2026年のそれぞれ7月1日に$1Mずつ。
- 2020年はフル・ノー・トレード条項あり。2021年は10クラブをブロック、2022年は5クラブをブロック(年齢とともにブロックが減るプラン)。
- アウォード・ボーナス ※Kは1,000ドルを意味
- ALMVP: $100K (2位:$90K /3位: $80K/ 4位:$70K /5位: $60K)
- WS MVP: $100K/ALCS MVP:$75K
- ASGを投票で出場: $50K
- GG賞受賞/ASGスターター:それぞれ$25K
- SS賞受賞/ASGリザーブ:それぞれ$15K
夢のリスト?(推測)
アウォード・ボーナスの設定金額が$100K(10万ドル=約1千万円)以下となっており、超高級車は買えないものの、会社員ならそこそこの高級車を1台買えるかどうかという生々しい設定になっていて結構好きです。旅行とか、3rdカーとか、リアルに贅沢出来ますからね。
思うに、アブレイユは夢のリストを作ってますね。〜しようというリストとボーナスがリンクしているとしか思えません(笑)
ホセ・アブレイユの成績
2019年のホセ・アブレイユはほぼフル出場と言っていい159試合に出場。 打率.284、OPB .330、SLG .503、二塁打が38本、33 HR、キャリアハイの123 RBIを達成。RBIはALリーダーです。
また、球場要素などを考慮して100を一つの目安にしたwRC+は117、OPS+は119。
2018年は8月後半から腹斜筋痛でIL入り。シーズンを通して体調が悪かったのは否めず、成績も打率.265、OBP.325、SLG .473、HR 22、RBI 78と極端に悪いものでした。
BBが異常に少ないがOBPは高い
ホセ・アブレイユの特徴として、四球が異常に少ない点が挙げられると思います。年間の四球数が50を上回ったのは2014年のルーキーイヤーの51だけ。2019年に至ってはたった36!
他と比較すると、2019年で四球がもっとも多かった選手はアストロズのアレックス・ブレグマンで119。ちなみに10位はドジャースのコディー・ベリンジャーで95。これらの顔ぶれと比較してもアブレイユの四球の少なさがよくわかると思います。
ところが、ホセ・アブレイユの通算のOBPは.349と高いです。2019年は.330で、これでもリーグ平均の.319を上回っています。何故か?
右打者でヒットを量産
それはヒットを打ちまくっているからです!
安打数の推移ですが、初年の2014年が176。以降は178、183、189、132、そして2019シーズンの180安打へと続きます。怪我の2018年は除いて、右打者でこれだけ打ちまくっているがゆえに、少ない四球でもOBPが平均以上というわけです。
2020年1月に33才
2019年は前年の成績を見事に克服し、RBIのタイトルまで獲得して素晴らしいシーズンにしたホセ・アブレイユですが、2020年1月29日の誕生日でもう33才を迎えます。
RBIタイトル獲得などは「読み」などの経験と努力と知恵の結晶だと思います。wRC+もOPS+も2018年を除いてずっとリーグ平均を上回っています。
とは言え、年齢とともにやはり下降している点は否めません。
例えばOPS+を例に取ると、ルーキー・イヤーの2014年(27才)は173を叩き出したのに対し、以降は135、124、141、117、119へ。
wRC+もルーキーイヤーの167を最高に、以降は131、121、139、115、そして2019年の117へ。
2017シーズン(30才)の数字がいいのはMLB4年目で経験も体力も最も充実したシーズンだったがゆえと言えるでしょう。成績は打率.304、OBP .354、SLG .552、HR 33、RBI 102でした。
リーグ平均を超えているとは言え、下降気味の要素があるのにどうしてホワイトソックスはホセ・アブレイユと延長したのか?
それはホセ・アブレイユの中身が素晴らしいからです。
契約延長の背景に精神的な支柱の要素
今回の契約延長に関し、ホワイトソックスGM のリック・ハーン氏は小躍りして喜ぶほど歓迎しています。そうまでGMに思わせる理由はホセ・アブレイユの素晴らしい態度にあるようです。
ホセ・アブレイユはゲーム中でもロッカールームでも常にリーダーシップを発揮しており、若手選手からはメンター、つまり師匠として慕われるケースが多いようです。練習態度、プロとしての姿勢、その他もろもろ選手としての態度の全てが尊敬されているがゆえに、今回の35才のシーズンまでの契約延長をオファーされたと言っていいでしょう。
本人も喜んでいる
なお、ホセ・アブレイユ自身も今回の契約延長をとても喜んでいます。彼はジーターやリベラのような生涯一クラブということに憧れがあるようです。
ホワイトソックスの2020の贅沢税
グランダール、アブレイユと連日FA市場を賑わしてくれているホワイトソックスですが、2020年の贅沢税がどうなっているのか見てみました。流石に財布の中身まではわかりませんが、今現在、どれくらいの予算になりそうなのかを見るのは今後のFA市場の動きを見る上で重要です。見てみましょう。
【①2020サラリー決定選手】
金額はあくまで贅沢税用の年平均に直したものです。契約の関係ですでに2020年のサラリーが決まっている選手は以下の通り。
- Y・グランダール:$18.25M
- J・アブレイユ:$16.66M
- K・ヘレイラ:$9.0M
- T・アンダーソン:$4.17M
- 契約は6年/$25M (17-22)+23-24 オプション(MLSは 3.115)
- E・ヒメネス:$7.17M
- 6 年/$43M (19-24)+25-26 オプション
この5選手で約$55.25M。
【②調停選手 MLS 3-6年未満】
ではまだ確定していないものの、レンジで金額が出ているMLS3年から6年未満の選手の状況を見てみます。調停の予想金額を斜体にしています。参考までに、2020年1月時点でのMLSタイムも記載しておきます。
- A・コロメ:9.5–10.3M MLS 5.118
- Y・サンチェス:6.2-7.0M MLS 4.134
- J・マッキャン:4.9–6.25M MLS 5.028
- C・ロンドン:4.25 -4.5M MLS 4.168
- L・ガルシア:3.25-4.0M MLS 5.025
- E・マーシャル:1.25–1.3M MLS 3.090
それぞれ高い方の金額で集計すると、$33.35M
③その他の推定金額
このほかにインセンティブの要素、あるいはMLS3年未満の選手のサラリーを集計してみます。ちなみにルーカス・ジオリトもMLS3年未満のグループに入り、サラリーは0.55Mほどしかありません。
- MLS 0-3年の選手のサラリー:約 $ 8.625M
- 他の40manおよびマイナー選手のサラリー:ざっと $ 2.25M
- インセンティブなどのベネフィット分:ざっと $ 15M
上記の合計が$ 25.88 M。
推定合計額は4M(多めの計算で)
上記をそれぞれ集計すると、$ 55.25 M + $ 33.35 M + $ 25.88 M = 約 $114.48 M。これは調停選手の想定金額の高い方を集計したものですから、実額はもう少し落ちるはずです。
2020シーズンの贅沢税の基準額は$208M。ということはまだ$93Mほどのスペースがあるということですね。
レッドソックス贔屓の筆者から見ると、悠々自適なクラブ運営としか思えません(笑)。贅沢税の計算はまた変わってくるはずですので、あくまで現時点のものということで。
お読みいただき、ありがとうございました。
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