将来のエースとなる逸材!
現地2025年8月29日、ボストン・レッドソックスはフェンウェイ・パークで行われたピッツバーグ・パイレーツ戦でトップ・プロスペクト左腕のペイトン・トールを起用。この強烈な左腕がポール・スキーンズとの投げ合いに堂々と渡り合い、むしろリードを保った状態で降板。
鮮烈デビューを果たしました!
ペイトン・トールとは
口ひげと体格からもはやベテラン左腕のような風貌のペイトン・トール(Payton Tolle)は2002年11月1日生まれの22歳。テキサスクリスチャン大学出身で左投げ左打ち。2024年のアマチュア・ドラフトでレッドソックスが2巡目(全体順位は50位)で指名してプロ入り。
大学生の時のペイトン・トールは同大学には前年に2023年にウィチタ州立大学からテキサスクリスチャン大学へ編入。大学最後の2シーズンは、二刀流選手として出場し、投手として9勝3敗と7勝4敗の成績を残していた。
また打撃では2023年のウィチタ州立大学時に.311/.361/.538、OPS .898、HR 13、RBI 50をマーク。2024年のテキサス・クリスチャン大学時は.182/.303/.327、HR 2でした。ドラフト・イヤーの打撃成績もあってか、レッドソックスは彼を投手としてのみ求めて指名しております。
プロ・デビューは2025シーズンから。クラスAプラスのグリーンビルドライブでプロとしてのキャリアをスタートさせ、その後はあれよあれよという間に数か月内に2度の昇格が続き、8月初旬にはトリプルAウースターに到達。
マイナーの3レベルで成績は、20試合で91.2イニングを投げ、3勝5敗、 ERA 3.04、SO 133。奪三振が多い点に注目です。SO9は13.1。これがトリプルAレベルに限定しても、15.0 IPでSO 17で、SO9は10.2。マイナーでは色々な課題を試しながら投げますから、そのプロセスでもこの奪三振はやはりすごいです。
レッドソックス内NO.2
Pre-2025のトップ・プロスペクト・ランクでは100に入っておりませんでした。これはジェイコブ・ミズロウスキーも100位でしたから、シーズン中の成長とのギャップを見るのも面白いですね。
プロスペクト・ランクはルーキー資格を超えたらランクから外れ、アップデートされていきます。Pre-2025で2位であったローマン・アンソニーも今やこのランクには入っておりません。
ペイトン・トールは現地2025年8月29日時点でトップ・プロスペクト100ランクで28位、クラブ内ランクではNO.2です。
昇格のきっかけ
昇格のきっかけはウォーカー・ビューラーの不調です。
ドジャースのアイコン的存在であったウォーカー・ビューラーは2024年にトミー・ジョン手術から復帰。しかし、レギュラーシーズンでは不安定な投球が続きました。ただ、ポストシーズンでは比較的安定した投球を披露し、オフにFA。
レッドソックスが本来の彼の実力を信じてサインしたのですが、今季も苦戦。8月中旬にはブルペンに移動となり、そのローテーションの枠にロバート・フィッツを起用したものの、そのフィッツも負傷したことで、ペイトン・トールが昇格ということに。そしてビューラーは、ロースターに空きを作るためリリースということになったのでした。
鮮烈のデビュー戦
この日、スタンドにはお父さんのチャドさんが応援にかけつけました。お母さんのジナさんはドラフト指名される2ヶ月前に癌で亡くなりました。レッドソックスは父のチャドさんの横に空席を設け、お母さんのジナさんの追悼席にし、バラの花を飾って出迎えました。
試合前、自分の足ではないみたいだと語ったペイトン・トールでしたが、マウンドに上がると別人で、ベテラン左腕のような風貌から、FA前のピークの投手のような勢いのあるボールを見せつけました。
1回表、先頭のジャレッド・トリオーロに全て4シームを投げ込み、4球で三振を奪うと、2番のニック・ゴンザレスの時にはじめてスライダーも投じ、最後は4シームで押して2Bポップフライに。さらに3番のブライアン・レイノルズにも4シームで圧してカット・ボールとスライダーで三振。いきなりの2三振のデビューとなりました。4シームは99.1mphを記録。速いです。
2回表、左キラーのトミー・ファムには四球を出し、つづくアンドリュー・マッカッチェンにクロスファイヤーの4シームをRFへうまく運ばれ、これがグランドルール・ダブルに。ノーアウト2、3塁のピンチを迎えます。しかし、ここからトールは首脳陣の評価を得る投球を見せました。2連続三振を奪って2アウトとすると、リオーバー・ペゲーロを4シームでRFに打ち取り、ピンチを脱出。スコアリング・ポジションにランナーを進められたものの、落ち着いたマウンドさばきで、しかも度胸満点の投球でした。ベンチが「次も」と思った瞬間でもあります。
3回表は三者凡退。4回表はアンドリュー・マッカッチェンに四球を出すも、無失点。さらに先制点をもらった直後の5回表も三者凡退に抑え、流れを引き寄せます。
5回裏に追加点をもらったトールは6回表のマウンドにも上がり、先頭打者を打ち取り1アウトを奪いました。しかし、つづくニック・ゴンザレスとブライアン・レイノルズに連続シングルを許したところで降板。さすがに初回から飛ばしていたので、6回は疲れが出て、4シームは94mphほどに落ちました。カット・ボールとスライダーが中心だったのですが、アレックス・コーラ監督はこれが限界と判断しました。これはもう適切な判断だったと思います。
デビュー戦、5.1イニングで84球を投じ、被安打は3、降板時はスコアレス(失点2、ER 2は後述)、BB 3、SO 8をマーク。マイナーの時と同じで奪三振率は高かったです。
素晴らしい投球となりました。
マッカッチェン「クリス・セール」のよう
試合後、パイレーツのベテランで2013年のMVPのアンドリュー・マッカッチェンは、「彼の腕の角度と伸びは、クリス・セールを少し彷彿とさせます」と語りました。
なお、降板時、内野手はトレバー・ストーリーを中心に笑っておりましたが、トールの好投を労うと同時に、トールから『君たち、本当に、本当に素晴らしいよ』と言われたそうです。ルーキーが言う?(笑)
初勝利が吹き飛ぶ!!
レッドソックスはポール・スキーンズに苦戦するも、4回裏、1アウトから吉田選手の四球をきっかけにチャンスを作ると、2アウト1、2塁からセダン・ラファエラが3塁への内野安打を放ち、スローイング・エラーもあり、2塁から吉田選手がホームイン。先制点を奪います。
さらに5回裏、先頭のローマン・アンソニーがポール・スキーンズの98.8mphの4シームをRFスタンドに放り込むソロHRを放ち、追加点。2-0としてトールを援護します。
ワイザート、ヒックスでまたひっくり返される
この日、ブルペンはグレッグ・ワイザートとジョーダン・ヒックスのターン。ギャレット・ウィットロックとアロルディス・チャップマンは非番です(ブルペンにはいますが)。
6回、1アウト1、2塁で2番手としてマウンドに上がったのはグレッグ・ワイザート。サイドスローからの強いボールが特徴で、調子が良ければ、これは手が出ないというくらいのすごい投手なのですが、毎月2度ほどの頻度でセーブ、あるいはリードを吹き飛ばしております。
この日、ザック・ワイザートは代わってすぐにトミー・ファムにCFへラインドライブの2塁打を打たれ、2点のリードを即座に吹き飛ばしました。彼が打たれる時はたいがいど真ん中に投じておるのですが、この日もシンカーがど真ん中でインサイド・アウトのトミー・ファムのスイングにピッタリとマッチしてしまいました。この2点はトールが出したランナーなので、自責点はトールについてしまいました。
さらにワイザートはアンドリュー・マッカッチェンにもシンカーを捉えられ、CFへ2塁打を打たれ、ファムが生還してパイレーツに逆転を許します。
ルーキーの白星さえも即座に吹き飛ばすとは!この後、ワイザートはさらなる追加点は許さず。しかし、イニングの途中とは言え、2点差があっても安心できないというのも困ったものです。
6回表は怪我から復活したジャスティン・スレイトゥンが無失点に。
6回裏、7回裏とレッドソックスはチャンスを作るも無得点。7回裏はバント失敗もありました。
8回にスクイズで追加点を許す
8回表はジョーダン・ヒックスが登板。ヒックスは先頭のトミー・ファムを打ち取ったところまでは良かったものの、アンドリュー・マッカッチェンにCF前にシングルを許すと、パイレーツは代走にロニー・サイモンを起用。
つづくスペンサー・ホロウィッツはお手本のようにRFへゴロのシングルを放ち、1アウト1、3塁の形をつくります。ここで打席はヘンリー・デービス。ジョーダン・ヒックスは98mphのファストボールを投げ込むも、この時ばかりはボールが荒れずにまとまってしまい、バントを決められてしまいます。これがセーフティー・スクイズの形となり、3塁ランナーのロニー・サイモンがぎりぎりのヘッドファースト・スライディングでホームイン。判定はアウトだったものの、リプレーの結果、セーフに。
この時、ロニー・サイモンは左肩を脱臼。悶絶してベンチに下がって行きました。
レッドソックスは8回裏、9回裏にもランナーを出すも、この日は進塁させるのに苦戦し、得点ならず。
4-2のスコアでパイレーツが逆転勝ちを納めました。敗戦投手はグレッグ・ワイザートです。
ペイトン・トールは好投したものの初勝利は次回にお預け。ブルペンには今後もお世話になるので、これはいい経験にはなったと思います。
なお、この日、ブルージェイズが敗れたので、ゲーム差を詰めるチャンスだったのですが、逆に3位だったヤンキースが勝ちましたので、ヤンキースが75勝60敗、レッドソックスが75勝61敗となり、ヤンキースに逆転されてしまいました。なお、ワイルドカード・スポットはNO.2にとどまっております。
お読みいただき、ありがとうございました。
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