ポストシーズン出場期限が到来
現地2024年8月29日、MLBはレギュラーシーズン最終月を迎えようとしています。
ここで大事になってくるのがポストシーズンの出場資格。ポストシーズンに出場するには現地2024年8月31日(土)午後11時59分(東部時間)の時点で新しいクラブに所属していなければならないのです。違う言い方をすると、9月1日より前にウェーバーでクレームされた(=獲得された)選手は、移籍先でプレーオフ出場資格があるということです。同じ意味には違いないのですが。
ウェーバーの手続きには48時間かかるため、逆算して2日前の29日にウェーバーに登録されている選手にコンテンダーへの移籍の可能性が出てきます。ウェーバーにかけられたすべての選手が報告されるわけではないので、我々ファンにすべての可能性が白日の下に晒される理由ではないので、予想外のディールなどもあったりします。
2023年エンゼルス型ウェーバー(非コンテンダー)
ちょうど1年前のエンゼルスを思い出してください。
2023年のエンゼルスは7月31日時点では55勝51敗でワイルドカード3枠目までゲーム差4.0というステータスをキープ。微妙なポジションでもありました。フロント・オフィスの考え方次第ではこの時点でポストシーズンを諦め、トレード・デッドラインで「売り」を選択する場合もあります。
しかし、エンゼルスは強気に「買い」を選択。ルーカス・ジオリトらを獲得に至り、ポストシーズン出場を目指したのでした。それもこれもコンテンダーでありたいという大谷選手をつなぎとめるため。ところが、エンゼルスは8月にハートブレイクと言わんばかりの大失速を演じ、8月15日時点で59勝61敗で一歩も二歩もポストシーズンから遠ざかり、下旬には白旗を揚げざるを得なくなりました。
そんなエンゼルスが採った手法は、サラリーの高い主力のウェーバー公示。現地2023年8月30日にはルーカス・ジオリト、リリーフ左腕のマット・ムーアと右腕のレイナルド・ロペス、OFのハンター・レンフローとランダール・グリチャックをウェーバーにかけたことが明らかになりました。
2023年のエンゼルスのように非コンテンダー(優勝争いから脱落)したクラブは、ウェーバーにかけることでサラリー削減が出来るメリットがあります。
実際、エンゼルスはシーズン終了時にはぎりぎり贅沢税の基準額内まで下げることに成功。エンゼルスは2024年8月にGMロールのペリー・ミネイジアンの契約延長を決めましたが、おそらく2023年のサラリー削減の論功行賞もあったでしょう。
ちなみにエンゼルスの2023年8月の勝敗は8勝19敗。シーズントータルで64勝70敗で借金まで作ることになったのでした。
有力選手
このように非コンテンダーのクラブはこの機会にポストシーズンの補強を目論むコンテンダーにウェーバーを通じてオファーしているような形をとります。
誰がウェーバー公示されているかはMLBのフロントオフィスの管理なので公開されておらず、名前が出ているのは何等かの情報でそれが漏れた選手。
もし、複数のクラブから手が上がれば、勝率の低いクラブが優先されます。
そして獲得側のクラブは、残り期間のサラリーだけで良いことに。では、すでにウェーバーにかけられたことがわかっている有力選手を挙げて行きます。
トミー・ファム(STL) 追記あり
カージナルスはトレード・デッドライン時には好調でコンテンダーでしたが、8月は失速。現時点では勝率.500でワイルドカード枠での出場も厳しくなりました。
トレードデッドラインでホワイトソックスからトミー・ファムを獲得したカージナルスですが、ウェーバーにかけたことが明らかになりました。ファムはカージナルス移籍後、.206/.286/.368とあまりいい数字を上げることが出来ませんでしたが、それでもシーズン・トータルでは254/.321/.378とそれなりの数字を残しています。LFを補強したい、あるいは左キラーが欲しいところは手を挙げるかもしません。
追記
トミー・ファムですが、上述の通りウェーバーにかけられたのは事実です。ただし、どうやらロースターから外れることなく、ウェイバーにかけられたということのようです。この点は追記します。そして現地2024年8月30日、カージナルスはファムをDFAにし、正式にメジャー・ロスター(=40manロスター)から外しました。これにより、もう移籍を前提としたウェーバー公示になったようです。
なお、カージナルスはファムのスポットにジョーダン・ウォーカーをマイナーからコールアップしています。苦戦していた自前の若手にチャンスを与えたいと思ったのでしょうね。
テイラー・ロジャース(SFG)
ジャイアンツの左腕で、元ツインズのクローザーのテイラー・ロジャースも情報によるとウェーバーにかけられております。今季は51.1イニングを投げてERA 2.45。これは魅力なのですが、現在の契約は3年/ $33M(2023-2-25)。来季も$12Mの保証があるので、ちょっと引き取り手がないかもしれません。ただ、左腕リリーバーが欲しいクラブは複数あります。
タイラー・マツェック(SFG)
ジャイアンツはタイラー・マツェックもウェーバーにかけているようです。元ブレーブスのセットアッパーで2021年のブレーブスのワールドシリーズチャンプに大きく貢献した左腕。今季は5月以降、登板はありませんが、ここ数週間はリハビリ登板を開始。コンディションが良いという情報が入れば、獲得するクラブは現れそうです。契約は2年/$3.1M (2023-24)。2025年は$5.5Mですが、クラブオプションなので、オプション拒絶前提で獲得に行くクラブが出てくるかもしれません。いずれにせよ、コンディション次第。
トラビス・ジャンコウスキー(TEX)
レンジャーズは先日、スーパー・プレーをしたトラビス・ジャンコウスキーをウェーバーにかけたとの情報が。今季は打撃にムラがあり、.195/.257/.234。終盤の守備の切り札として大いにアピール出来てはおります。
ニッキー・ロペス(CWS)
ホワイトソックスはINFのニッキー・ロペスをウェーバーにかけました。内野のユーティリティーですが、打撃がやや弱い面も。今季は.235/.306/.287ですが、ホワイトソックスから抜けると変わるかもしれません。
ドリュー・スマイリー(CHC)
カブスは左腕のドリュー・スマイリーをウェーバーにかけたようです。2024年は52.2 IPでERA 2.91。この成績なら手が挙がりそうですが、問題はサラリー。現契約は2年/ $19M (2023-2024)と大きめで今季は$10.5Mの残り分。2025年はミューチュアル・オプションで双方合意のもと更新となれば$10Mでうが、バイアウトは$2.5M。ここをどう考えるかですね。
もうまもなく結果が判明します。果たして、この中の誰かが動くのか?興味深いところですね。
お読みいただき、ありがとうございます。
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