ウォーカー・ビューラーの決断
現地2023年9月8日、ロサンゼルス・ドジャースは、右腕のウォーカー・ビューラー(Walker Buehler)が、今シーズンのメジャー復帰を断念すると発表しました。2024シーズンに、より万全な状態で復帰することを選択した結果でした。
ビューラーのコメントです。
「昨年からの目標は、今シーズン中にメジャーのマウンドに戻ることだった。主治医、ドジャースのフロントオフィス、トレーニングスタッフ、そして家族と何度も話し合った結果、来シーズンまで待つことが正しい行動だという結論に達しました。2023年のポストシーズンで、このチームのタイトル獲得に貢献できないことは残念ですが、2024年に完全に健康な状態で復帰し、ロサンゼルスにワールドシリーズ・チャンプを再びもたらすことを楽しみにしています。」
— Los Angeles Dodgers (@Dodgers) September 8, 2023
ビューラーは2度めのTJS
ウォーカー・ビューラーは2022年8月にトミー・ジョン手術を実施。現時点でマイナーでのリハビリ登板に入っており、早ければ9月半ばには復帰か?とも目されておりました。
下記のリハビリ登板の模様を見てもやはりまだ本格的に腕は振れていないように思いますから、むしろ今回の判断は英断と言ってよいのではないか?と思います。
ビューラーのトミー・ジョン手術は今回が2度め。1度目は2015年のドラフト指名直後に行っています。
投手のトミー・ジョン手術は通常、復帰まで14~18カ月のリハビリが必要で、2度目のトミー・ジョン手術の場合はさらに長くなると言われています。
ウォーカー・ビューラーはすでにマイナーでのリハビリ登板を開始していますが、現時点で術後13ヶ月というところ。よってそれ自体がむしろかなりハイペースだったと言ってもいいかもしれません。
ドジャース、またローテションに痛手
仮に今季、ビューラーが復帰出来たとしてもショート・イニングでの登板になっていたであろうことは間違いないところです。
ドジャースは、当然それも想定済みでしたが、たとえショート・イニングであったとしても、ビューラーの存在感があった方がありがたかったというのが本音かと。
ドジャースは現時点で先発ローテションが不足しています。8月半ば過ぎにはトニー・ゴンソリンが離脱。8月28日にトミー・ジョン手術となりました。
そしてその約1週間後の現地2023年9月4日には、フリオ・ウリアスがDV容疑で逮捕、起訴されました。フリオ・ウリアスは9月6日にアドミニストレイティブ・リーブに入り、調査が開始されています。事件の詳細はまだ明らかになっていませんが、2度めということもあり、少なくともドジャースは彼を今季の残り期間のローテションとしてカウントすることは諦めていることでしょう。これがベースボール・アクティビティ外のことなので余計に歯がゆいところでしょう。
現時点のドジャースのローテション
名前が青字の選手は現在、ゲームで登板できない投手です。
- LHP クレイトン・カーショウ:肩の故障でIL中。デーブ・ロバーツ監督は、カーショウの肩はまだ100%ではないと認めています
- LHPフリオ・ウリアス: DVで逮捕。調査中。
- RHP ウォーカー・ビューラー:今季登板なし
- RHP トニー・ゴンソリン: IL入りからトミー・ジョン手術へ。2025年まで登板不可。
- RHP ダスティン・メイ:トミー・ジョン手術から復帰するも、再度肘の手術が必要となり2023年はシーズン・エンディング
- RHP ボビー・ミラー:頼もしいルーキー。見た目もビューラー系で、すでに9勝!
- RHP ランス・リン: TDL後は機能するも、その後はHRを浴び過ぎて信頼を欠く状態に。シーズン被本塁打 40はMLBトップ
- RHP ライアン・ペピオ(Ryan Pepiot):9/7のMIA戦で7回途中までパーフェクト!2勝目。
- RHP ギャビン・ストーン(Gavin Stone):24才で今季は3試合に先発
- RHP エメット・シーハン(Emmet Sheehan): 23才。今季、8先発で3勝1敗。
ルーキー・ローテションでも強い!
上記のリストを見ておわかりの通り、現時点ではランス・リンを除いてルーキーで回している状態です。ただ、そのルーキー達が躍動しているのがドジャースのすごいところ。
ボビー・ミラーに至ってはすでに9勝。もはやエースのようにローテションの軸となりつつあります。
ライアン・ペピオは7日夜に7回途中までパーフェクト・ゲームを維持。素晴らしい投球を披露しました。彼はまだ登板数が少ないものの、残り期間はローテションとして機能することは間違いないところ。
さらに、エメット・シーハンとギャビン・ストーンも高く評価されており、ルーキー達がその穴を埋めているという素晴らしい状況。こんなにも新陳代謝がうまく行くとは!こんな健全な組織は他にあるでしょうか!?たとえば、レッドソックスは9月に入って期待できるルーキーがゲームに出てきてはいますが、野手ばかりです。ブライアン・ベイヨーは1つの大きな成果ですが、ベイヨー以外に投手がなかなか出てきません。そう考えるとドジャースは育成もすごいとしか言いようがありません。
直近のビューラー
ウォーカー・ビューラーはポストシーズンで15試合に登板してERA 2.94をマーク。2020年のワールドシリーズ制覇の立役者でもあります。
(YOUTUBE)Walker Buehler Postseason Highlights (Dodgers young ace dominates throughout playoffs!) 2020 PS
2022シーズンはトミー・ジョン手術を受けるまで、肘の違和感を抱えながら65.0イニングを投げてERA 4.02をマーク。
2018年から2021年にかけては、564.0イニングを投げ、39勝13敗でERAはなんと2.82!H9は6.7、BB9は2.2 、SO9は9.9という素晴らしさでMLB屈指の好投手と言っても過言ではありませんでした。
ヘルシーな最後のシーズンとなった2021年はNLサイ・ヤング投票で4位に入りました。
2023年1月時点のMLSは4.168。2024シーズンはFA前の最後のシーズンとなります。
ドジャースはシーズンを通してローテーションに苦しみながらも、現地2023年9月8日終了時点で86勝54敗でNL西地区でダントツ首位で、2位のDバックスに13.0ゲーム差の地位におります。
9月末には、過去11年間で10度目となる地区タイトルを手にしそうです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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