クリス・ブライアントがILへ
現地2025年4月14日、コロラド・ロッキーズはDHのクリス・ブライアント(Kris Bryant)を10 Days ILに入れたと発表しました。空いたスポットには捕手のブラクストン・フルフォード(Braxton Fulford/26歳)が入ります。マイナーからのメジャー契約です。
また、ロッキーズはブラクストン・フルフォードの40manロスターの枠を空けるため、右腕のジェフ・クリスウェルを60Days ILに移管。26歳のジェフ・クリスウェルは2025年3月にトミー・ジョン手術を受け、シーズン全休が決まっていました。
K・ブライアント、長期離脱の可能性も
ロッキーズ監督のバド・ブラック(Bud Black)はブライアントの症状に対して「数日前から気になっていたんだ。我々は少し積極的になって、彼をILに入れることにした。うまくいけば、10日以内に復帰できるだろう」と現場を預かる指揮官の公言として、良いシナリオを語っております。
しかし、クリス・ブライアントは、ロサンゼルスの著名な整形外科医ロバート・ワトキンス医師の診察を受けたところ、腰椎変性椎間板症(lumbar degenerative disk disease)であると判明。
これはちょっと厄介です。よって、バド・ブラックも本音としては最悪の想定をして頭を悩ましているところです。
腰椎変性椎間板症=相当痛いはず
腰椎変性椎間板症とは椎骨の間でクッションの役割を果たす椎間板に亀裂が入って損傷を起こすことで中の水分が抜け、椎間板が硬くなり、椎間板のクッション機能が失われ変形が始まり腰痛を引き起こす症状のこと
一般的に加齢に伴う自然な現象とも言われますが、スポーツ選手であれば、怪我や使い過ぎによって加速するとも言われています。
そして痛みや神経圧迫などの症状を引き起こすことから、クリス・ブライアントは今、かなりの痛みと戦っているはずです。
33歳のシーズンを迎えているクリス・ブライアントはオフシーズンに背中を強化するための厳しいプログラムにこなし、対策は立てていたのですが、IL入りということに。
休養とリハビリで治ればよいのですが、この椎間板変性症は、一般的には継続的な疼痛管理と場合によっては外科手術を必要とするケースも。良くて疼痛管理で不快感を克服しながらのプレーということになりますが、もはやそんなことは地獄の苦しみ以外の何ものでもありません。ゆえに、長期的な課題に発展することは必至です。
2016 WSファイナル・アウトを奪う
クリス・ブライアントと言えば、カブス時代はまぶしいくらいに輝いておりました。
2015年にデビューし、.275/.369/.488、OPS .858、HR 25、RBI 99をマークしたブライアントはオフにNL ROYを受賞。
そして、カブスが2016年にワールド・シリーズ・チャンプを獲った時、最後のサード・ゴロを喜びが弾けるように捌いたのがクリス・ブライアントでした。
ブライアントはこの年のNL MVPにも輝きました。
通算100号HRを放ったのは現地2018年5月9日で、2015年のデビューから3年しか経過していない時期でした。
今ではプロスペクトを早期にデビューさせることのメリットがCBAにも記載されていますが、そのMLS操作の代表例となったのがクリス・ブライアントでした。
2021年にカブスからジャイアンツに移籍し、シーズン25HRを放ったのが最後の輝きになっております。
2015年から2021年にかけてオールスターに4度出場したブライアントは、打率.278、平均HR数 31、平均 RBI 89を記録。
コロラドで苦戦中
2021年終了後にFAとなったクリス・ブライアントは大方の予想を裏切って2022年3月16日にコロラド・ロッキーズとサイン。7年/$182M (2022-28)のメガ・ディールでした。
本人はネバダ州の出身ですが、コロラドは近いので地元に帰るくらいの感覚だったのかもしれません。また、HRパークという利点も考慮にあったのかもしれませんね。
ところが、コロラドへの移籍後は怪我に悩まされ続けてきました。足底筋膜炎、足の骨打撲、かかとの問題、指の骨折、背中の張り、肋骨下部の打撲、そして今回の背中の問題・・・。
あのクリス・ブライアントが2022年から2025シーズンの現時点まで3シーズン強でたった170試合しか出場していないのです。
2022年から2024年までは3シーズン計で159試合二出場し、.250/.332/.381、OPS .713、HR 17、RBI 60。
2025年も11試合を終えてスロースタートで、打率.154、安打数 6、RBI 1、SO 13、本塁打なし。
ロッキーズの経営にも影響
今回の腰椎変性椎間板症の発症はコロラドの経営に影響を与えそうです。
経営的に一番の問題点は7年/$182M (2022-28)の長期投資がほぼ失敗に終わる見込みである点。発展途上のクラブの顔として、ベストな選択でしたが、5年目の今、上述のように想定外の低迷にとどまっています。
特に編成上は大きな問題で、スモール・マーケットのロッキーズにとっては、このメガ・ディールの負担は選手獲得の余白を奪い、編成がままなりません。ただでさえ、ヒッターズ・パークの球場を本拠地としているのに投手獲得に割く資金がないのです。
ロッキーズはノーラン・アレナドの延長契約の時も「この額はどうか?」と思うくらいのメガ・ディールを結び、ちょっとセンスを疑うところがあるフロントを持っているのですが、アレナドの場合はカージナルスにトレード出来たので、負担も無くなったわけです。
しかし、今回のクリス・ブライアントの場合、厄介な怪我ですから、他クラブへのトレードはもう絶望的。自己資金で最後まで解決せざるを得ない状況。
ひょっとしたら、フロントは「アレナドの時のように売ればよい」というのがどこかにあったのかもしれませんが、それは定かではありません。
いずれにせよ、クリス・ブライアントの怪我が治り、また輝いてくれることを祈るばかりです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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