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【MLB2023】ヤンキース、トップ・プロスペクトのアンソニー・ボルピーを開幕ロスターに(追記あり)

NYYのSSの座はトップ・プロスペクトに

 3月30日のオープニング・デーまであと4日と迫った現地2023年3月26日、ア・リーグ東地区でボストン・レッドソックスのライバル、ニューヨーク・ヤンキースが大きな決断をしました。

 ヤンキースは、21才のアンソニー・ボルピー(Anthony Volpe)を開幕ロスターに選出したことを発表しました。

【YOUTUBE】Anthony Volpe Gets the Call | New York Yankees

 これにより、ヤンキースのSSの座はアンソニー・ボルピーであることが事実上決定しました。

激しかったSS争い

 2022シーズンの大半をダブルAで過ごしたアンソニー・ボルピーは、最後の1ヶ月だけトリプルAでプレー。今春はまだ40manロスター外だったがゆえに、NRI(Non Roster Invitee)としてメジャー・キャンプに参加していました。

 WBCで野球界が大いに盛り上がっていた中、実はSSの座を巡ってヤンキース内では非常に激しい争いが繰り広げられていました。

それなりの活躍も、決め手に欠けたIKF

 その筆頭がIKFこと、アイザイア・カイナー=ファレファ(Isiah Kiner-Falefa)。2018年、レンジャーズでメジャー・デビューしたアイザイア・カイナー=ファレファは、2020年の短縮シーズンに3BとしてALのゴールドグラブ賞を受賞。フルシーズンになった2021年にはSSとして158試合に出場し、HR 8本ながら、打率.271、OBP .312、SLG .357、RBI 58をマーク。決定的だったのが、右打者で 172安打を放ったこと。これで彼の株がグンと上がりました。

 ロックダウンが明けた翌日の2022年3月12日、レンジャーズはミッチ・ガーバーを獲得したトレードで、アイザイア・カイナー=ファレファをツインズにトレード。ところが、その翌日の2022年3月13日、今度はヤンキースにトレードされることとなります。

 このトレードはブロック・バスターで、ヤンキースからは正捕手のゲイリー・サンチェスとジオ・ウルシェラがツインズに、ツインズからヤンキースには、3Bのジョシュ・ドナルドソンとアイザイア・カイナー=ファレファが動きました。

 これでピンストライプをまとうことになったアイザイア・カイナー=ファレファは、2022年は主にSSとして142試合に出場。打率.261、OBP .314、SLG .327、HR 4、二塁打20、RBI 48、SB 20をマーク。メジャーの野手としてそれなりの数字を残しました。

 しかし、そこは外野(メディア)がうるさいニューヨーク。物足りなさを感じたのですね。

ペラーザ好きのブーン

 ヤンキースは2022年に22才のプロスペクトを昇格させました。それがオズワルド・ペラーザ(Oswald Peraza)。ペラーザは2022年9月2日にメジャー・デビュー。18試合で49-15、打率.306、OBP .404、SLG .429、HR 1、二塁打3、RBI 2をマーク。そして、短い期間ながら、アーロン・ブーン監督はSSとして11試合に先発させるという思い切った起用も実施。さすがにポストシーズンではALCSで3打席に立ったのみで、結果は出ませんでしたが、アーロン・ブーン監督がかなり期待をかけたのがわかる起用でもありました。

 メジャー実績のある2人とメジャー未経験のアンソニー・ボルピーによるSS争いでしたが、メジャー未経験のアンソニー・ボルピーがSSの座を射止めました。

ボルピーのスプリング・トレーニングの成績

 この3人のスプリング・トレーニングの成績を比較するとご覧の通りです。

PLAYERGABH2BHRRBISBBBBAOBPSLGOPS
ボルピー17511663558.314.417.6471.064
IKF15361021343.278.341.417.758
ペラーザ1542821124.190.306.250.616
2023年スプリング・トレーニング成績比較

 結果はアンソニー・ボルピーの圧勝でした。アイザイア・カイナー=ファレファは本当に平均以上の成績をコンスタントに上げるのですが、やはり決定打に欠く成績に。オズワルド・ペラーザは大苦戦で、マイナーへアサインされることが決定しています。

アンソニー・ボルピーとは?

 アンソニー・ボルピーは、2001年4月28日生まれの21才。開幕してすぐに22才になります。

 ニュージャージー州出身で、高卒時の2019年にヤンキースから1巡目指名されてプロ入り。全体30位です。右投げ右打ち。

 2023年1月に発表されたMLBパイプラインのトップ・プロスペクト100では5位にランクイン。

 ドラフト翌年の2020年はコロナ・パンデミックによりマイナーのゲームがキャンセルとなったため出場はなし。2021年はクラスAとクラスA+を併せて109試合に出場し、412-121、打率.294、OBP .423、SLG .604、HR 27、RBI86をマーク。

 2022年はダブルAで110試合に出場し、422-106、打率.251、OBP .348、SLG .472、HR 18、二塁打 31、三塁打 4、RBI 60、SB 44。

 トリプルAでは22試合で、89-21、打率.236、OBP .313、SLG .405、HR 3、RBI 5、SB 6。 

 2022年はマイナーで計21HRを放っていることから長打も期待できるバッターですが、どちらかと言えばそもそもはコンタクトヒッターではないかと思うのです。2022年の盗塁数50からわかるように彼の持ち味はスピードではないかと。スイングを見ておわかりの通り、サバイブをかけて長打も打てる軌道にしているというところでしょうか。

 ボストン目線から言えば、フィールドを自由に駆け巡られると厄介だと思います。チームに勢いももたらせますし、はつらつプレーはやはり王道ですから。

家族

 カイル・ヒガシオカのようなハンサム・フェイスのアンソニー・ボルピーですが、母親のイザベラさんはもともとはフィリピンのご出身で麻酔科医。お父さんはアメリカ人で泌尿器科医。両親ともにお医者さんというなかなかのエリートさんです。

NEXTジーターとして期待される 

 SSのポジションや、ともにニューヨーク州のお隣のニュージャージー州の出身で地元中の地元の選手ということでアンソニー・ボルピーは、ドラフト時からNEXTジーターとしてファンからも大いに期待されていた選手です。今回の開幕ロスター入りで、若いうちにデビューという点でもジーターとの共通項目が増えました。デレク・ジーターは1995年に21才でデビューしています。

 おそらくこれからメディアも大いに騒ぐことになるでしょうね。

IKF、またもトレードカードか?

 メインSSとしてアンソニー・ボルピーを起用するヤンキースは、アイザイア・カイナー=ファレファを内野のバックアップとして起用することになりそうです。勿体ない話ではありますが。

 また、ヤンキースは先発のローテーションがピンチです。よって、スターター獲得にIKFをトレードに出す可能性もあります。もっとも、ペラーザが苦戦している今は、IKFをすんなり出してしまうと、バックアップが不安定ですから、ボルピーが落ち着いてからになるとは思います。

開幕戦でデビュー&2戦目で初ヒット

 アンソニー・ボルピーは、現地2023年3月30日のジャイアンツとの開幕戦に9番SSで出場。しかし、この日はBBで出塁し、初盗塁を決めるも、ヒットは出ませんでした。

 現地2023年4月1日の開幕2戦目、やはり9番SSでスタメン出場したボルピーは、初回の第1打席でシングルヒットを放ち、見事にメジャー初ヒットを記録しました。

 そしてこの日はマルチ安打も達成。カミーロ・ドバルからクリーンヒットを放っています。彼が活躍するとモメンタムが発生しますね。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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