5年で4度のNLセントラル制覇
YOUR MILWAUKEE BREWERS ARE NL CENTRAL CHAMPS FOR THE THIRD STRAIGHT SEASON 🏆#MagicBrew pic.twitter.com/bm0HzxVOou
— Milwaukee Brewers (@Brewers) September 21, 2025
現地2025年9月21日、ミルウォーキー・ブルワーズは3年連続、そして過去5年で4度目となるNLセントラルの地区優勝を決めました!おめでとうございます!
この日、ブルワーズは1-5でカージナルスに敗れたのですが、同日、2位のカブスもレッズに0-1で敗れたため、ブルワーズの地区優勝が決まりました。
ブルワーズの地区優勝の履歴
ブルワーズは今回でクラブ創設以来計7度目の地区優勝(AL/NL含む)となっています。
- AL East (1): 1982
- NL Central (6):2011/ 2018/ 2021/ 2023/ 2024/ 2025
ブルワーズは1969年にシアトル・パイロッツとしてクラブが創設され、1970年に現在のミルウォーキー・ブルワーズにフランチャイズもチーム名も変更。1969年から1971年までの3シーズンはALウエストに所属していました。
1972年からはALイーストの所属となり、10年後の1982年にALイーストを制し、これがクラブ創設後初の地区タイトルとなりました。この年はプレーオフでALも制し、ワールドシリーズにも進出。しかし、ワールドシリーズではカージナルスの前に敗退しました。
1981年ストライキの年
実は前年の1981年にもブルワーズはALイーストで1位になっているのですが、1981年は6月12日から7月31日までストライキが起こり、シーズンは前期・後期のスプリット制に。ALイーストは前期がヤンキース、後期はブルワーズが1位となり、年間を通じても1位はブルワーズだったのですが、特殊シーズンゆえ、ALイーストの地区プレーオフシリーズ(ディビジョンシリーズ)で雌雄を決し、これにヤンキースが勝利。よってこの年は地区優勝にはカウントされておりません。
栄光の2018年以降へ
話はブルワーズ初の地区タイトルから10年後の1992年に飛びます。この時点でMLBはAL/NLともにイースト/ウエストの2地区制でALがそれぞれ7チームずつ、NLがそれぞれ6チームずつの計26チームの体制でした。
1993年にNLイーストにフロリダ・マーリンズとNLウエストにコロラド・ロッキーズが加わり、両リーグともに各地区で7チームずつとなり、計28チームの体制となりました。ブルワーズは1993年までALイーストに所属。
1994年は開幕からストライキがありましたが、この年からMLBはイースト・セントラル・ウエストの3地区制となり、ブルワーズは1994年から1997年までの4シーズンをALセントラルとして過ごします。1997年までは計28チームのままで、両リーグともにイーストが5、セントラルが5、ウエストが4という編成でした。
1998年はALイーストにタンパベイ・デビルレイズ、NLウエストにアリゾナ・ダイヤモンドバックスが加わり、計30クラブとなりますが、ALはイースト:5、セントラル:5、ウエスト:4、NLはイースト:5、セントラル:6、ウエスト:5という編成で、この年からブルワーズはNLセントラルに移りました。この体制は2012年まで続きます。ブルワーズが2度目の地区タイトルを獲ったのが2011年でこの編成の時代のことです。
2013年にNLセントラルにいたアストロズがALウエストに移籍。これにより各地区5チームずつの現在の編成となっております。
そしてブルワーズは2018、2021、2023、2024、2025と地区タイトルをかっ攫っている状態です!!
ちなみに過去8年間で行くと、実に7回のポストシーズン出場と5回の地区優勝です。
「魚雷」に沈んだ最悪の開幕
今季の開幕前、NLセントラルの注目はもっぱらカブスに集中。ドジャースとの東京開幕シリーズが控えていたこともありましたが、カイル・タッカー、マシュー・ボイドらの獲得で大きな戦力プラスがありました。
それに比べ、ブルワーズはクローザーのデビン・ウィリアムスをヤンキースに出し、FAのウィリー・アダムスをそのまま流してジャイアンツに持って行かれ、ブランドン・ウッドラフは開幕に間に合わず・・・と勝てる要素がほぼ見つかりませんでした。唯一の救いは2024年も戦力ダウンを囁かれつつも、ジャクソン・チューリオというとんでもないルーキーの台頭のおかげで打線がつながり、結局優勝してしまったという彼が2年目を迎えるということくらいでした。イェリッチもかつてほどの活躍も見込めず。
そして2025年の開幕。ヤンキー・スタジアムでのヤンキースとの4ゲームシリーズはまさに地獄でした。魚雷(トルピード)バットに替えたジャズ・チザムらに計15本のホームランを打たれ、計36失点の大惨敗のスウィープ。
次のロイヤルズとのGm1でも11失点で大敗し、0勝4敗でのシーズン・スタートで、これはもうこのまま戦力ダウンで沈むのかと思われました。
ただ、悪い中での唯一の希望はオープニング日にフレディー・ペラルタが先発して5回を失点2のみ(被本塁打2)に抑えたことでした。ローテーションの軸は機能すると感じただけでも御の字ではありました。
連勝街道!
3月は0勝4敗と最悪のスタートを切った2025年のブルワーズですが、4月に入り、16勝11敗と勝ち越し。この時点で3月の4つの借金を相殺して貯金1。
ただ、この後少しペースダウンし、5月24日時点で25勝28敗と借金3に。ちなみにどうしてこの日の成績をピックアップしたかというと、これが今季のワーストの勝率だったからです。
ブルワーズはこの後の5月25日から8月16日までの計69試合の中で8連勝、11連勝、そして球団記録となる14連勝をマーク。この間、なんと53勝を上げて行ったのです。これだけ勝てばもう優勝するしかありません。
この間、7月21日には好調だったカブスをついに捉え、悠々と抜いて行きました。
そして優勝を決めた156試合の時点でドジャースさえ凌ぐMLBNO.1の勝率(.613)を誇り、MLB NO.1の得失点差(+185)、1試合あたり5.06得点の破壊力(NL2位)、NL NO.1のERA (3.61)、NL5位のフィールディング・パーセンテージ(.987)、NL NO.1の盗塁数(160)と好守走すべてにおいてバランスのよい数字を叩き出したのでした。なお、送りバントは25個でこれはNL 3位タイです。
ジェイコブ・ミズロウスキーの台頭
2024年の野手のジャクソン・チューリオが大いに力を発揮しましたが、2025年はピッチングの方で大物が出現。
100mphを連発したジェイコブ・ミズロウスキー(Jacob Misiorowski)の台頭です。彼の出現はまさに衝撃。あまりに衝撃的過ぎてルーキーながらオールスターにも出場しました。
ブルワーズは彼を壊さないように大事に起用。シーズン終盤になって打たれるケースも出てきましたが、出力を抑えながらの投球を学んでいる最中かと思います。14先発、63.2 IPでERA 4.38、SO 84です。
フレディー・ペラルタ、CYへ!
上述したエースのフレディー・ペラルタは、優勝を決めた翌日の22日のパドレス戦に登板。惜しくもゲームに敗れましたが、5回を2失点と好投。
今季は32先発で17勝6敗、ERA 2.68をマーク。このエースのおかげでブルワーズは安定感のある戦いを繰り広げております。
NLサイ・ヤング賞候補です!
クイン・プリースターも活躍
また今季は元パイレーツのトップ・プロスペクトのクイン・プリースターがようやく力を発揮。13勝2敗、ERA 3.25です。
打線
ブルワーズは今季はよく打つのです。中でも捕手のウィリアム・コントラレスの活躍は特筆です。捕手でこれだけ打てば、打線がつながるのは明白。
- 【C】ウィリアム・コントラレス:.263 /.359/ .404、OPS .763
- 【2B】ブライス・トゥラン:286/.355/.434、OPS .789
- 【3B】ケイレブ・ダービン:265/ .341/ .399、OPS .740 / 二塁打 25
- 【RF】サル・フレデリック: .292/ .356/ .413、OPS .769
- 【LF】アイザック・コリンズ:.262/ .364/.409、OPS .773
- 【OF/DH】クリスチャン・イェリッチ:.266/.346/.460、OPS .806
- 【1B】アンドリュー・ボーン:.317/.382/.505、OPS .887 (60試合)
デビン・ウィリアムスの代わりにNYYから獲得したケイレブ・ダービンは大当たりでしたし、アイザック・コリンズに至ってはルール5出身です。こういった埋もれていた素材を磨き上げるのもブルワーズのうまいところです。
マーフィー&ウィークス
ブルワーズは2024年から指揮を執っているパット・マーフィー監督の手腕も光ります。またマーフィー監督のもとでアソシエイトマネージャーを務めるリッキー・ウィークスもいい仕事をしていると言っていいでしょう。このコンビはなかなかのものです。リッキー・ウィークスは選手時代の活躍はよく知っていましたが、コーチでもいい仕事をしていますね。
レギュラー・シーズンでの強者
レギュラー・シーズンを圧倒してきたブルワーズは一時だけでなく年間を通してMLB NO.1の勝率を上げているわけですから、ここは最も賞賛されるべきポイントです。
ブルワーズは、過去、ポストシーズンではあまり良い結果が出ていません。むしろ、ブルワーズを倒したところがワールドシリーズに進出しているというジンクスをもたらせているほど。今季はとにかく打撃がいいので、それも払拭するかもしれまsねん。
ポストシーズンでは戦い方が代わります。投手にもけが人が出ているので、ひょっとしたら、ジェイコブ・ミズロウスキーをリリーフに持ってくるかもしれませんね。ブルワーズはNLDS(5戦制)からのスタートで、Gm1は現地10月4日(土)にアメリカンファミリーフィールドで開催されます。
お読みいただき、ありがとうございました。
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