レッズにとって完璧な夜
現地2025年6月27日、金曜のナイト・ゲームということでお客さんのテンションも上がりがちですが、この日、グレート・アメリカン・ボールパークに集まった26,746人の大半のレッズ・ファンにとって素晴らしい夜となりました。もう、レッズにとって完璧な試合となりました。
ニック・マルチネスがニア・NO-NO
まずこの日の主役は先発のニック・マルチネス。
QOを受諾して残ったニック・マルチネス
今オフ、FAとなりクオリファイング・オファーを受諾してレッズに残留。
レッズとしてはQOの対価であるドラフト上位ピック権を狙ってのオファーだったのでしょうが、受諾されると$21.05Mのサラリーを支払う必要が出てきて、かなりギャンブル的な要素もあったのですが、仮に受諾されても、ニック・マルチネスなら怪我さえなければイニング・イートしてくれるという計算もあったのでしょう。結果は予想通り受諾。
その期待に応えるように今季のニック・マルチネスはこのゲーム前までは17試合に登板し、うち15試合に先発。86.0イニングを投げ、4勝8敗、ホールド1でERAは4.40。6月13日と19日は先発で炎上していましたので、直近2試合はリリーフに回っていて、このゲームで先発に復活というところでした。
冴えわたるチェンジアップ
豪球を持っているわけでもないニック・マルチネスはこれまでの数字の通り、打者を圧倒してきたわけでもありません。この日も4シームとシンカーは90-93mphを計測した程度。
しかし、いつも違ったのはオフスピードのチェンジアップが非常によく抜けていました。ベロシティーは77-78mph程度。しかも落ちるコースや落差も抜群でした。
また平均程度のファストボールは打者にとってはいつでも捉えられると錯覚させるところもあり、それも功を奏したと思います。
パドレス打線は凡打の山。途中からは気負いも発生し、さらに強いスイングを試みるも、これを嘲笑うかのようにチェンジアップで抜いて、最後は三振も増えて行きました。
投球内容はもう完璧と行っていいほどのものでした。
ランナーを出したのは1回表のジャクソン・メリルへの四球だけ。7回になり、やや捉えられた当たりを許すも外野手の正面に行ったり、パドレス打線は焦りも発生。
8回表も三者凡退に抑えられてからはいよいよ焦りも頂点に達したというところでした。
9回にノーヒッターは崩れる
9回表にもマウンドに上がったニック・マルチネスは8回を終えて105球。記録達成が現実味となる要素が揃っていました。
しかし、先頭のトレントン・ブルックスに1ストライク後、4球連続でボールを投げ、四球を与えます。そのボールもゾーンから外れており、ちょっと限界も見えてきてはいました。
そしてエリアス・ディアスへの2球目、この日威力を発揮してきたチェンジアップを左中間へHR性の打球を放たれ、エリアス・ディアスは確信歩きでした。しかし打球はウォールの頂上で跳ね返され、結果は二塁打に。これで112球となったニック・マルチネスは降板。
スタンディングオベーションで迎えられての誇らしい降板でした。
この後、レッズはテイラー・ロジャースが登板し、押出し四球で1点は奪われたものの、ギャビン・シーツを抑えてゲームセット。
ニック・マルチネスに勝ち星がつきました。
スペンサー・スティールが3HR!
前後しますが、パドレスの先発はディラン・シーズで、レッズは四球とパスボールを絡めて初回から2得点。
2回裏には1アウトからスペンサー・スティールが右中間スタンドにまずはこの日一本目のソロHRを放ち、3-0。
4回裏には先頭打者で回ってきたスペンサー・スティールがこの日2本目のソロHRを放ち、4-0に。
5回裏には松井裕樹投手にスイッチしたところを3連続長短打で2点を追加。さらに1アウト1塁でまたも打席が回ってきたスペンサー・スティールが今度はLFスタンドに2ランHRを放ち、このイニング4得点目。
スペンサー・スティールは3打席連続HRです。5回を終えてレッズは8-0とリード。この時点で試合は決まってしまいました。
ニック・マルチネスの好投にはこの打線の援護もあったのでした。余裕を持って投げられたということですね。
古巣へ恩返し
ニック・マルチネスと言えば、NPBで2018年から2020年にかけて日ハムに所属。2021年にはソフトバンクで投げ、2022年にMLBに復帰。その復帰先がパドレスでした。
パドレスでは2022-2023年に在籍し、主にリリーフで登板し、スイング・ロールで先発もこなしました。2シーズンで110試合に登板し、先発は19試合、ゲームクローズは21試合。トータルで10勝8敗、ERA 3.45と良い結果を残していました。
2023年オフにFAとなり、レッズと2 年/$26M (2024-25)でサイン。この契約は1年目終了にオプトアウトが入っており、ニック・マルチネスはそれを行使。レッズからQOをオファーされ、受諾したという流れです。
レッズはこの日の勝利で43勝目(39敗)。NLセントラルは好調でこの成績でも4位です。カージナルス、ブルワーズはすぐに捉えられる位置につけており、名称テリー・フランコーナ監督の手腕もこれから楽しみでもあります。
お読みいただき、ありがとうございました。
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