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【WBC2023準々決勝】アメリカ、敗色濃厚からトレイ・ターナーのグランドスラムで逆転勝ち

USA 9 @ 7 ベネズエラ

 かなり激しく動いたゲームでした。

 現地2023年3月18日、マイアミで行われたWBC 2023 準々決勝の最後のゲームとなったUSA @ ベネズエラ戦は序盤、中盤、終盤と激しく動いたゲームで、なかなか見られない展開となりました。

 そうなったのは、投手の出来でした。

スタメン

 両チームのスタートはご覧のメンバー。双方ともに破壊力抜群。

 アメリカの先発投手はランス・リン(CWS)。ベテランは春先のスタートがよくないものですが、この大会ではランス・リンは絶好調。事前に相当入念な準備をしてきたと思われます。さすがです。

 ベネズエラ先発はマーティン・ペレス(TEX)。Pool Dでいきなりの大一番となった現地11日のドミニカ共和国戦で先発し、初回に先制点を許すも、3.1イニングを投げ、被安打4、失点1、BB2、SO 4と好投した実績がありました。

Pool D4勝のベネズエラ

 戦う前に次のゲームである準決勝の対戦相手が変わりました。予定ではこのゲームの勝者が準決勝で日本と対戦することになっていましたが、主催側から日米決戦が決勝で行われる方が盛り上がるからという理由でこのゲームの勝者はキューバとの対戦に変更。

 しかし、戦前、筆者はベネズエラがUSAに勝ち、準決勝に上がってくるのでは?と思っていました。USAの打撃陣は確かに破壊力抜群なのですが、なんと言ってもドミニカ共和国、プエルトリコを下してPool D1位通過のベネズエラです。投手力もベネズエラが優勢に思えましたし、マーティン・ペレス、パブロ・ロペスの調子が良く、このゲームはマーティン・ペレスが抑えるというふうに見ていたからです。

 しかし、初回から波乱でしたね。

試合展開

マーティン・ペレスが1アウトで3失点

 そのマーティン・ペレスはやや不運な面もありました。リードオフのムーキー・ベッツの当たりはシフトを敷いていたので、SSゴロが2B内野安打に。さらにマイク・トラウトの当たりは長打を警戒していたCFのロナルド・アクーニャ・Jr.の前に落ちるヒット。その送球がボールデッドとなる間にそれぞれムーキーとトラウトが進塁してアメリカが打者二人で1点を先制。

 2点目はポール・ゴールシュミット(STL)のうまい打撃が光り、次打者のノーラン・アレナド(STL)のRFへのシングルも打者が勝利した当たりとなりました。

 次打者のカイル・タッカー(HOU)の当たりは野手のいないところに飛んだので、またしても不運な当たりに。タッカーのCF前シングルでUSAは3点目。ベネズエラはここでマーティン・ペレスを諦め、ホセ・ルイーズにスイッチ(CWS)。

ルイス・アラエズが追撃の2ラン

 このまま引き下がる訳にはいかないベネズエラは、先頭のホセ・アルトゥーベ(HOU)がランス・リンからシングルを放ち、出塁。

 ここで前年のバッティング・チャンプのルイス・アラエズ(MIA)に回ったのですが、この大会はアラエズはかなり苦しんでいたのですが、この打席ではRFへ大きなHRを放ち、これが2ランHRとなり、ベネズエラが2点を返し、ゲームの流れをなんとか堰き止めました。

USAが追加点

 スコア3-2でアメリカが1点をリードし、一旦はゲームは落ち着きました。

 この後、次の1点をとちらが取るか?という状況で均衡を破ったのはアメリカ。ベネズエラのマウンドは3回からルイス・ガルシア(HOU)。今大会、良い仕事をしています。

 4回表、先頭のカイル・シュワーバー(PHI)がRF前シングルで出塁。つづくJ.T.リアルミュートの当たりは、SSへの内野安打。SSのアンドレ・ヒメネス(CLE)がいいプレーを見せたのですが、これがスローイング・エラーとなり、ランナーがそれぞれ進塁。

 1アウト後、ムーキー・ベッツがCFへ犠牲フライを放ち、アメリカが4点目を上げ、スコアは4-2。

 5回表、ルイス・ガルシアは2アウトを奪うも、カイル・タッカーにRFへ大きなHRを打たれ、アメリカが5-2とリードを拡げます。

D・バードが乱調

 中押し点を上げたアメリカは5回裏のマウンドにロッキーズの守護神、ダニエル・バードを投入。先発のランス・リンは4回、被安打4、失点2、BB1、SO2、HR 1。2回から4回まで無失点に抑えたところが良かったですね。

 そのダニエル・バードですが、先頭のグレイバー・トーレスに対して明らかにボールとわかる四球。つづくアンドレ・ヒメネスはチェックスイングがSS前に転がる内野安打(3Bアレナドがファンブル)となり、ノーアウト、ランナー1、2塁のピンチ。

 さらに、ワイルド・ピッチでランナーをすすめると、打席のアルトゥーベには死球を与え、アルトゥーベは左手を傷め、ゲームから離脱し、満塁のピンチに。

 つづくアンソニー・サンタンダー(BAL)の時にワイルド・ピッチで1点を与え、スコアは5-3に。サンタンダーにも四球を与え、再び満塁に。

 ダニエル・バードはアウトを奪えず、被安打1、2 BB、1 HBP、4失点でマウンドを降りました。

 かつてイップスでメジャーから離れたことのあるダニエル・バード。ちょっと心配です。

 アメリカはここでジェイソン・アダム(TBR)を投入。しかし、ジェイソン・アダムはこの流れを断ち切ることが出来ず、サルバドール・ペレス(KCR)の二塁打などで、さらに3点を奪われ、ベネズエラはこのイニング4得点で、ついに6-5と逆転。

ルイス・アラエズ、2本目のHRで追加点

 7回裏、アメリカのマウンドは、パイレーツのクローザーのルイス・べドナー。ベネズエラは2アウトを奪われるも、ルイス・アラエズにこの日2本目のHRが出て、追加点。7-5とリードを拡げます。

 点差は僅差ではあるものの、さすがにこのHRは効いたと思いました。

ホセ・キハーダ、2イニング目に乱れる

 アメリカがもうだめかも?と思ったのは7回表のホセ・キハーダ(LAA)の投球が良かったから。すべてファストボールでアメリカ打線をねじ伏せました。

 ところが、8回表、ホセ・キハーダは先頭のティム・アンダーソンに四球、カイル・シュワーバーの代打、ピート・アロンゾにはRF前にうまく運ばれ、ピンチ拡大。さらに、リアルミュートには死球を与え、ノーアウト満塁とピンチを拡げてしまいます。

トレイ・ターナーが逆転グランドスラム

 ここでベネズエラはシルビーノ・ブラチョ(CIN)にスイッチ。バッターはトレイ・ターナー。ブラチョはトレイ・ターナーに対して2球で追い込み、強気な投球を見せていたのですが、3球目、チェンジアップを痛恨のコントロール・ミス。ほぼ、ど真ん中にきたそれをトレイ・ターナーが見過ごすわけもなく、難なくLFへ弾き返し、これがグランドスラムとなり、アメリカが死にかけたところから再生しました。このグランドスラムで4点を奪ったアメリカは、9-7と逆転に成功。なんというシナリオなのでしょうか。

 8回裏のアメリカのマウンドはデビン・ウィリアムス(MIL)。ランナーを出すも、質の良いボールでベネズエラ打線を打ち取り、無失点で切り抜けます。

 9回裏、あまりかのマウンドはライアン・プレスリー(HOU)。この大会は完璧な投球を続けています。プレスリーは、ヒメネス、エスコバー、サンタンダーと三者凡退に打ち取り、スキのない投球を披露。

 アメリカがベネズエラを9−7で下したというゲームでした。

【GAME SCORE】

【YOUTUBE】USA vs Venezuela Highlights | 2023 World Baseball Classic

 勝敗の確率はご覧のように大きくぶれていることから、いかに激しく動いたゲームだったかがよくわかります。

ピッチャーは冷静が一番

 7回表終了後に喜びすぎたホセ・キハーダ(LAA)。あれで自分の役割は終わったと思ったかもしれませんね。予想外のイニングまたぎとなったからか、8回は強気が影を潜めました。

 たしかにすごい仕事をしたのですが、投手は冷静な方が不気味で良いなと思った次第です。決して、キハーダのせいと言っている訳ではありません。

 ベネズエラ、抜群に強かったのですが、ここで敗退。惜しかったです。

日本の投手陣のERAは1.80 

 準決勝4チームを見て思ったのは、日本の投手陣が一番良いという点です。

 アメリカは、8回、9回はかなり強いのですが、中盤が非常に弱いです。ベネズエラはかなり良い布陣だったのですが、やはり波があるというところ。

 それに対して日本の投手陣は出る投手すべてが最高品質の投球を披露し、それは数字にも出ております。

【WBC スタッツ チームERA(現地2023年3月18日時点)】

  1. 日本: 1.80
  2. ドミニカ共和国:2.73
  3. キューバ:3.20
  4. メキシコ:3.33
  5. プエルトリコ:3.35
  6. ベネズエラ:3.40
  7. コロンビア:4.75
  8. USA: 4.81

 対戦する打線が違うものの、日本はドミニカ共和国より1試合多いのに、チームERAが驚異の1.80です。もしも、日本がPool Dでベネズエラ、ドミニカ共和国、プエルトリコと対戦していたなら、この数字は難しかったでしょう。しかし、対戦相手がどこであれ、良い品質で投げてくれていたと思います。

 準決勝は、現地2023年3月19日にキューバ:アメリカ戦、現地20日(日本時間21日)にメキシコ@日本の対戦です。そして決勝は現地21日。休みなしの3連戦です。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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