ビューラー、プレーオフのマウンドに上がる資格を得る
現地2025年8月31日、フィラデルフィア・フィリーズは右腕のウォーカー・ビューラー(Walker Buehler)とマイナー契約で獲得。フィジカル・チェックにパスすればオフィシャルとなります。
これでウォーカー・ビューラーは9月1日までにフィリーズに入団するため、プレーオフ出場資格を得ることになりました。
ビューラーは一旦、フィリーズのトリプルAアイアン・ピッグに配属されます。
レッドソックスからリリース
ウォーカー・ビューラーは2024年のワールドシリーズで胴上げ投手となった後、FA資格を取得。レッドソックスが獲得に至り、1年/$21.05M (2025) + 2026 ミューチュアルオプションという条件でサインしました。2024年がトミー・ジョン手術空けで安定しなかったものの、プレーオフではまずまずの投球を披露していました。レッドソックスはオフの間のケアそしてメンテナンスを経れば、本来のビューラーに近づく可能性もあると賭けたのです。
しかし、ビューラーはレッドソックスで23試合に登板し、うち22試合に先発。112.1イニングを投げ、被安打120、失点72、ER 68、BB 55、SO 84、ERA 5.40。イニング・イートだけはしてくれたものの、本来のビューラーの姿とはほど遠いままでした。
レッドソックスは一旦はビューラーをブルペンに配属。実際、1度だけロングリリーフで登板。2.1イニングで被安打2、HR 1、失点2、ER 2、BB 1、SO 2でした。
ピリッとしないビューラーの姿がそこにあり、またチームも進化が必要な局面となり、ビューラーの穴を埋めるべく、ロバート・フィッツをローテーションに起用したものの、そのフィッツも負傷したことで、トップ・プロスペクトのペイトン・トールが昇格。ロスターを空けるため、ビューラーはDFAではなく一気にリリースという形となったのでした。
フィリーズはほぼ無償
ビューラーの$21.05M (2025)は残債が$3.4Mほどありますが、ビューラーはFAとなり、フィリーズとサインしたので、その大部分はレッドソックスが負担することになり、フィリーズはメジャー最低年俸の日割り分のみで良いことになります。またその日割り分はレッドソックスの残債から差し引かれます。
おそらくブルペンがメインでの起用
ザック・ウィーラーはIL中
フィリーズは大エースのザック・ウィーラーが肩周辺の血栓と胸郭出口症候群で早期の復帰はかなり難しい状態。クラブ側はまだ正式にはシーズン・エンドの発表はしておりません。これはプレーオフの相手に対して「ひょっとしてウィーラーが出るかも」という疑念を抱かせる狙いもあるかもしれません。
ただ、準備する現場からすると、ウィーラー不在の準備を着々と進めるしかないと思われます。
フィリーズのローテーションですが、ザック・ウィーラーが抜けたとしても、クリストファー・サンチェス、レンジャー・スアレス、ヘスス・ルザルド、アーロン・ノラ、タイワン・ウォーカーとかなり優秀なローテーションを組めます。アーロン・ノラはまだ不安定なところがありますが、彼がいるのは心強いことは確かです。これだけのローテーションがいるので、フィリーズはビューラーに先発ローテーションの1枠を任せるのはなさそうです。
ビューラーはメジャーへ上がってきた場合、テストも兼ねて何度か先発で起用される機会もあれど、プレーオフの10月にはリリーフに回るのではないかと思われます。
フィリーズのブルペンは8月15日に足首にカムバッカーが直撃してゲームを離脱したヨアン・ドゥラン(Jhoan Duran)が、すでに復帰してクローザーを任されております。また左腕のホセ・アルバラードもILから復帰。現地2025年8月31日のブレーブス戦では9回に勝ち越し2ランを浴びましたが・・・。それでも彼がセットアップを担うのは間違いありません。
そしてオライオン・カーカリングはゲーム中盤のブルペンで大いに機能。セットアップも担い、さらにマット・ストラム、タナー・バンクスも。ビューラーはデービッド・ロバートソンと同じような位置づけになるかもしれませんが、ロングも行けるリリーフとしても出場機会はありそうです。
再び輝くきっかけに
キャリア2度目のトミー・ジョン手術後、上述のように不安定な投球を続けるウォーカー・ビューラーが移籍後すぐにかつてのドジャースのエース級の活躍を取り戻せるかどうかはなかなか難しいとは思います。もしも急にベロシティーが戻れば別ですが、それはオフシーズンをまたいでからの様相になると思われ、まずはコマンドということになるでしょうか。
ビューラーは2024年のドジャースのプレーオフ進出時に、かつての輝きを少しだけ放ち、NLCSとWSでは計10イニングを無失点に抑え、ドジャースのWS制覇に貢献。Gm5の最後を任されたというのもビューラーが信頼を得た証でもありました。
あのすごいビューラーがすぐに見られなくとも、まずはコマンドの良いビューラーが見られればと思います。
ウォーカー・ビューラーは31歳。大谷選手と同じ年です。オフのFAのためにもフィリーズでいい爪痕を残してもらうことに期待したいと思います。
下記の埋め込みは2019年の ナショナルズとのNLDS Game 5でのピッチング。 これが本来のビューラーです。
筆者はひょっとしたら、ドジャースが呼び戻すのではないか?と思われましたが、フィリーズでした。
お読みいただき、ありがとうございました。
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