NLWCとNLDSを勝ち抜いた推進力
MLB tonightを見ていていい意味でちょっと笑ってしまったのがこのプレーオフで大いに機能しているDバックスのブルペン陣についての動画です。
こちらはDバックスがNLDSでドジャースをスウィープした日に投稿された分析と振り返りで、さすがによく見ているという内容の素晴らしい分析でした。
様々な角度から投じるDバックスのブルペン陣
まずは核となる4人の投手についての動画です。
そしてリリース・ポイントの分析。
LHP スリークォーター:ジョー・マンティプライ
まずは左腕のスリークォーターのジョー・マンティプライ。今ポストシーズンでは、ブルワーズとのNLWC G1、ドジャースとのNLDS G1とG3に登板。
主に2番手、あるいは打順によって3番手で登板し、3試合の合計のERAがなんと0.00。出塁もNLWCでBBを1つ出したのみ。0.2 IP、0.2 IP、1.1 IPと3バッター・ミニマムが無ければ1ポイントで起用したであろう投手ですが、ことごとく抑えています。
レギュラー・シーズンでは35試合で、39.0イニングを投げ、2勝2敗、ERA 4.62。ポストシーズンで化けましたね。
32才、2012年のフィリーズの28巡目指名です。
RHPサイド:ミゲル・カストロ
実績もあるミゲル・カストロはもう30才を超えているのかと思いきや、まだ28才でした。
2022年にヤンキースでALCS G1とG3に登板したのが初のポストシーズンで、2試合を投げてERAは0.00でした。今季は2度目のポストシーズン。
2023年はNLWCのG1で登板し、0.2 IPでBB 1のみでスコアレス、NLDSではG1に登板し、8回の大事な場面で登板しましたが、ドジャースの反撃に合い、1.0 IPで、被安打1、失点2、BB2、SO 1。NLDSのERAは18.00になってしまいましたが、ベンチとしてはむしろ信頼のおけるサイドワインダーです。
レギュラー・シーズンでは75試合に登板し、6勝6敗、ERAが4.31。オリオールズのイメージの強い投手ですね。2017年から2020年途中まで在籍しました。
LHPオーバースロー:アンドリュー・ソールフランク
ドジャースとのNLDS Gm2を見て、そのコマンドの良さに驚かされたのが左腕のオーバースローのアンドリュー・ソールフランク(Andrew Saalfrank)でした。
キケ・ヘルナンデスには結果的にCFへ抜けそうな2Bへの内野安打を打たれて失点しましたが、初球のストライクを外のゾーン外から中に入れるカーブで取るなど、非常にテクニシャンだと思いました。
25才のルーキーで、ポストシーズン直前の9月5日にデビュー。レギュラー・シーズンでは10試合、10.1 IPで被安打7、失点2、自責点0、BB 4、SO 6、HR 0。
レギュラー・シーズンでの実績を買われ、そのままポストシーズンでもロスター・イン。
NLWCではG2の8回に登板。0.2 IPでパーフェクトでした。NLDSでは2試合に登板し、G2で0.1 IP,G3で0.1 IPを投げ、ERAは0.00。ロブロ監督も左打者のここぞという場面でこのルーキーを使っています。ベロシティーは速くないですが、カーブのコマンドが良いです!
RHPサイドより下:ライアン・トンプソン
踊るように投げるサイドワインダーがライアン・トンプソン。元レイズにいた投手なので、あのフォームは馴染みのある方が多いかも。グラブ側の手が開き気味なのが特徴的です。
今季は地獄からの復活です。レイズにいた2022年9月に右広背筋を傷めたライアン・トンプソンは、60 Day ILに入り、今季の開幕後も状態が改善せずにILを延長していました。マイナーでのリハビリを開始したのは、5月21日からで招集、降格を繰り返しました。今季、レイズでは18試合、17.2 IPで1勝2敗、ERAは6.11と苦戦。
8月6日にまたもやILとなったライアン・トンプソンは8月16日にレイズの40manロスターから外れるDFAとなり、同日リリース、そしてFAとなりました。
それを拾ったのがDバックスで、8月19日にマイナー・ディールでサイン。トリプルAで試投した後、8月27日にメジャーに上がりました。
怪我も治ったライアン・トンプソンはDバックスで残り1ヶ月で13試合、13.0 IPを投げ、ERAは0.69。完全に戦力となったのでした。
2023年のポストシーズンではNLWC G1、G2、NLDS G2,G3の4試合に登板。ほぼ1.0イニングずつ投げ、ここまで計5.0 IPで被安打5、失点2、自責点2、BB 1、SO 4。HRは0。ERAは3.60。ドジャースとのNLDS G3で6回表に被安打4、失点2の集中打を浴びましたが、それまではERAは0.00でした。
見事に復活を遂げましたね。
RHPオーバースロー:ケビン・ギンケル
Dバックスのブルペン陣の中で唯一、トラディショナルなオーバースローなのが、ケビン・ギンケル(Kevin Ginkel)です。
この人は29才で、2016年のDバックスの22巡目指名の投手。ドラフトではジャイアンツ、レッドソックスから指名を受けましたが、拒否。上位ピックを狙ったものの、22巡目でのプロ入りとなりました。なお、2014年にジャイアンツからピックされた時の16巡目が一番高いピックでした。
2019年にデビューし、以降はDバックスのブルペンとして投げ続け、2023シーズンは60試合で、9勝1敗、ERAは2.48とキャリアハイの成績を残しました。
今季が初のポストシーズンとなったケビン・ギンケルはここまで4試合に登板。NLWC G1、G2,NLDS G2、G3に投げ、ERAは0.00。NLDSではヒットさえ許していません。非常に安定しております。
RHPサイド上気味:ポール・シーワルド
そして最後はご存じ、ポール・シーワルド(Paul Sewald)です。
2022年、マリナーズでALWC、ALDSを経験したポール・シーワルドは今季は2度目のポストシーズン。
ここまで4試合に登板。NLWC G1、G2、NLDS G2、G3。9回のセーブシチュエーションをことごとくものにし、ここまで4セーブ。4試合で打たれたヒットは2本のみ。スコアレス、BB0、SO 5。完璧です。まさに守護神です。
レギュラー・シーズンではマリナーズで、45試合、43.0 IPで21SVをマークし、ERAは2.93。
マリナーズはトレードデッドラインで売りに転じ、ポール・シーワルドをDバックスへ。アンドレ・ムニョスでカバー出来るという公算があったのでしょうね。そのマリナーズはポストシーズン進出を逃しました。
守護神を得たDバックスは8月初旬こそチームがうまく機能せず、12勝15敗。9月に4連勝を2度マークするなど、15勝12敗に。
歯車が回りだしたのはシーズンも後半のことで、そこからはポール・シーワルドの価値がうんと高まりました。
ポール・シーワルドのDバックスでの成績は20試合、13SVでERAは3.57。
ロブロ監督、上手に回す
先発ローテーションとともに、ブルペンもロブロ監督はうまく回し、可能な限り連投とならないようにケアしています。
今度はフィリーズとのNLCS。大声援の中でのG1、G2です。バランスの良い左右の打者を要するフィリーズにどう対処するのか非常に興味深いです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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