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MLB、全選手に対しベネズエラ・ウィンターリーグへの参加を禁止

MLBはアメリカ政府の方針に従う

現地2019年8月23日、MLB機構はマイナーリーグも含めたMLB傘下全ての選手にベネズエラ・ウィンターリーグへの参加を禁止しました。

ベネズエラ・ウィンターリーグとは

ベネズエラ・ウィンターリーグはLVBPLiga Venezolana de Béisbol Profesional、英語:Venezuelan Professional Baseball League)によって毎年10月から行われるリーグ戦。12月までの二ヶ月は1次リーグ、1月からは2次リーグが行われ、勝ち上がったチームは2月に行われるカリビアン・シリーズに参加して、優勝を決定します。

カリビアン・リーグに参加している国はベネズエラの他に、ドミニカ共和国、プエルトリコ、メキシコ、キューバ。それぞれのリーグの優勝チームが一同に会してカリブ1を決定するというもの。

ベネズエラ出身の選手に影響

MLBの選手に影響が出るのは、ベネズエラ出身のメジャーリーガー、あるいはマイナーリーガー達。シーズンオフに里帰りをしたときにこのウィンターリーグに参加して腕を磨くということが通例になっており、ここへの参加が認められなければ、近隣のリーグに参加せざるを得なくなります。

他のリーグに鞍替えすることで、他のリーグの選手の出場機会が減り、問題が出るかもしれません。

アメリカ政府は、マドゥロ政権のベネズエラに対し、アメリカ国内の資産凍結や商取引を禁じる制裁を科しており、その流れがMLBにも波及しました。詳細は後述します。

ベネズエラ出身の主要な選手

ベネズエラ出身の選手は2019シーズンにビッグリーグでプレーしたことのある選手だけでも133名(これはWIKI調べ。Baseball Referenceだと投手と打者でリストがダブっていたのでWIKIを参照しました)。

ウィンターリーグに参加するのは、この133名の中から参加する選手もいますし、そしてまだメジャーに上がっていないマイナー選手もいます。数十人がドミニカ共和国など他のウィンターリーグのチームに所属替えすることになりそうです。

ベネズエラ出身の選手のごくごく一部のリストです。

  • ロナルド・アクーニャ・ジュニア(ATL)
  • ホセ・アルトゥーベ(HOU)
  • ミゲル・カブレラ(DET)
  • アズドルバル・カブレラ(WSH)
  • フェリックス・ヘルナンデス(SEA)
  • ウィルソン・ラモス(WSH)
  • ホセ・アルバラード(TBR)
  • アニバル・サンチェス(WSH)
  • カルロス・カラスコ(CLE)

有名どころとなった彼らであってもケガであまりゲームに出られなかった場合、オフシーズンにウィンターリーグに参加して、実践の勘を蘇らすということをやったりします。

また、メジャーで一攫千金を狙う12-13才の少年たちは、16才時のサインを獲得するためにドミニカ共和国に移っている選手もいるとのことです(Passanさんの記事より)。

ベネズエラが睨まれてしまう理由

簡単に背景を記しておきたいと思います。

まずベネズエラですが、2019年1月時点でインフレ率が268万%を記録しました。そこから下落したと言っても、2019年5月時点で81万%。

このハイパーインフレに伴い、2018年8月20日にデノミネーションを行っています。つまり通貨の切り下げで0を5個取ってしまう策に出ました。10万分の1の価値です。桁を削らなければ、札がいくらあっても足りないからです。

これは通貨に価値がないためそうしているのですが、ではなぜそのような事態になったのか。

インフレになった理由

現マドゥーロが政権を取ったのは2013年。その前は53代大統領のウゴ・チャベスでした。

ウゴ・チャベスはいわゆる反米左派政権。もともとベネズエラは石油がたくさんとれる国で埋蔵量だとサウジより上とも言われています。もっとも開発や品質は別にしてとにかく石油埋蔵量が非常に多い国。

チャベス政権時代は原油高もあり非常に景気がよく、それをいいことにバラマキ政策をやっていました。

しかし、その原油価格が暴落します。そんなときに次の政権を担ったのが現在のマドゥーロ。元バスの運転手で労組の活動家。奥さんが弁護士でチャベス政権がクーデターを起こされた際に活躍したのが奥さんでその引きがあって大統領に就任したと言われています。

つまり、経済の知識ゼロ。

経済の知識なしで大統領に就任→チャイナが支援

原油価格暴落で経済が悪化したベネズエラ。そこに目をつけてお金を貸してくれるところが出てきました。それがチャイナ。

2014年チャイナがベネズエラを戦略的開発パートナーから包括的戦略パートナーに引き上げ。チャイナのやり口は一帯一路でもおなじみですが、財政を融資し、返済できなければその国のインフラを乗っ取るというもの。チャイナは石油による返済をもとに2014年600億ドル融資。

こういう時に立て直しに入ればいいのですが、マドゥーロはあろうことか、さらにバラマキを継続。前政権のやり口を真似ることしかしませんでした。

2016年に通貨が下落。通貨はボリバル。革命家ボリバルを理想とし、ベネズエラ・ボリバル共和国にしています。

2016年の100ボリバル公定レートが米ドル換算で15セント。市中の実勢公定レートでは2セント以下に下落。

そうするとお金が足りなくなる。通貨を刷りまくる。

仮想通貨

ベネズエラは2017年12月仮想通貨「ペトロ」を発行。これは原油価格と連動した仮想通貨だったようです。詳細は省きますが、経済が破綻しているがゆえに石油生産設備で働く人に給料が払えないなど、石油の生産ができず。

2018年2月ペトロのプリセール。しかし、アメリカは2018年3月にペトロの購入を禁止。ロシア、インド、パレスチナ市場でペトロは一応、販売はされました。

2019年1月、アメリカはアメリカ国民とアメリカ企業に対しベネズエラ政府やベネズエラ国営石油会社(PDVSA)が新たに発行する債権の取引を禁止する経済制裁を発動しました。

議会機能停止→事実上の独裁体制に

ややさかのぼりますが、2017年から反マドゥーロデモが頻発。チャイナがまたお金を融資。その流れでマドゥーロは野党封じ込めのため、2017年7月に議会を閉鎖。事実上、一党独裁体制に。

2018年3月、最高裁が野党が過半数を占める議会の機能を停止。4月、内政干渉を理由に米州機構脱退を宣言。2018年5月、マドゥーロ再選。

国民が大脱出

2018年12月「72時間以内に現行の100ボリバル紙幣を撤廃し硬貨に入れ替え、500、5000、2万ボリバルの新紙幣を発行する。」と宣言。そうすると国民はジャンク紙幣になることを怖れていまのうちに米ドルに換算すべく国境のコロンビアに殺到。

2018年12月15日になって新紙幣が出回らず。

マドゥーロは失態のお詫びをすることなく、コロンビア・マフィアのせいと人のせいにする。コインは28日から流通、しかし新紙幣は2019年1月からということに。

国民絶望→コロンビアへ→メキシコへ→アメリカへ。違法移民の震源地の1つがベネズエラです。

フアン・グアイドが暫定大統領に就任

2019年1月にマドゥロの2期目就任の正統性を否認し、フアン・グアイドが暫定大統領に就任。憲法の一部を根拠としています。

このフアン・グアイドをアメリカは支援しています。

マドゥーロに任せておけば、お金がないのにチャイナから融資をしてもらってさらにバラマキをつづけより経済が悪化するだけでなく、チャイナに乗っ取られ、安全保障上も危うくなるからです。ベネズエラだけではありません。周辺の中米国、ドミニカ共和国、キューバにおいても波及する可能性があるため、とにかくマドゥーロ政権を倒すことを主眼においています。

インフレにより、食料や医薬品などの生命に関わる物資が国民に渡っていないのは報道のとおりです。

とにかく、トランプさんの気まぐれなどではなく、マドゥーロをなんとかしないとベネズエラ国民はもとより、アメリカへの治安の影響、経済の影響、安全保障上の影響を考慮しての策の一貫がMLBの方にも影響してきたのでした。

お読みいただき、ありがとうございました。

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