2025 AL MVP
現地2025年11月13日、アメリカン・リーグのMVPが発表され、筆者などは間違いなくマリナーズのカル・ロリー(Cal Raleigh)と高を括っていたのですが、結果はヤンキースのアーロン・ジャッジ(Aaron Judge)に決まりました。
ナ・リーグは大谷選手とカイル・シュワーバーでどれだけ票が割れるのか?という点が興味深ったのですが、下記の記事でも書かせていただいた通り、シルバー・スラッガー賞のNL DHで大谷選手が選ばれた時点で、投票者が違うとは言え、MVPは大谷選手でほぼ決まりだと思いました。結果は大谷選手の満票。
ア・リーグは間違いなくカル・ロリー・・・と思ったところ、ジャッジでしたね。
ALバッティング・スタッツ
ではまず、シーズンの打撃成績を見てみましょう。
| Stats | Rank |
|---|---|
| OPS | 1. A・ジャッジ(NYY): 1.145 2. G・スプリンガー(TOR): .959 3. C・ロリー(SEA) : .948 |
| HR | 1. C・ロリー(SEA) :60 2. A・ジャッジ(NYY): 53 3. J・カミネロ(TB): 45 |
| RBI | 1. C・ロリー(SEA) :125 2. A・ジャッジ(NYY): 114 3. V・パスカンティーノ(KC): 113 |
| BA | 1. A・ジャッジ(NYY): .331 2. B・ビシェット(TOR): .311 2. J・ウィルソン(ATH): .311 |
| OBP | 1. A・ジャッジ(NYY) : .457 2. G・スプリンガー(TOR): .399 3. V・ゲレロ・Jr.(TOR): .381 |
| SLG | 1. A・ジャッジ(NYY) : .688 2. C・ロリー(SEA) :.589 3. G・スプリンガー(TOR): .560 |
| H | 1. B・ウィット・Jr. (KC) : 184 2. B・ビシェット(TOR): 181 3. A・ジャッジ(NYY) : 179 |
| Run | 1. A・ジャッジ(NYY) : 137 2. C・ロリー(SEA) :110 3. J・ロドリゲス(SEA): 106 |
| TB | 1. A・ジャッジ(NYY) : 372 2. C・ロリー(SEA) :351 3. J・カミネロ(TB): 322 |
HRとRBIはカル・ロリーが圧倒。OPSはアーロン・ジャッジが圧倒し、しかもジャッジはBA(打率)でもタイトルを獲っており、OBP,SLG、Run、TBでもジャッジがトップ。その意味ではナ・リーグのMVP争いと似てはいます。HRとRBIはカイル・シュワーバーがトップでしたが、OPSは大谷選手が圧倒し、他の項目も大谷選手がカイル・シュワーバーを上回っていました。
AL・NLともに同じ物差しではあるかと思います。投票はジャッジを評価した記者が多かったということになりますが、キャッチャーというポジションを加味してもカル・ロリーに評価する記者がもっといてもとは思いました。
投票結果
投票結果はこちら。投票はBBWAAの記者30名が1位から10位までを記入。1位には14ポイント、2位には9ポイント、3位には8ポイントが付与され、4位以下は順位が下がるごとに7-6-5-4-3-2-1と10位まで1ポイントずつ下がる方式です。
1位から4位まで
1位から4位まではご覧の通り。1位票はジャッジがロリーを4票上回りました。ただ、どの記者もジャッジかロリーを1位か2位に投票しています。これは、マイク・トラウトがアレックス・ブレグマンを今回と同じ票(1位が17票、2位が13票)で破った2019年以来、最も接戦となったMVP争いに。
| # | Name | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 7 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | アーロン・ジャッジ (Yankees) | 17 | 13 | 355 | ||||
| 2 | カル・ロリー (Mariners) | 13 | 17 | 335 | ||||
| 3 | ホセ・ラミレス(Guardians) | 19 | 6 | 5 | 224 | |||
| 4 | ボビー・ウィット・ Jr. (Royals) | 9 | 19 | 1 | 1 | 215 |
ちなみにNYの記者2名はジャッジとロリーに分かれておりました。
ホセ・ラミレス、ボビー・ウィット・Jr.も上位に入りましたね。
5位以下
5位以下はご覧の通りです。ポイントだけに省略させていただきました。
| # | Name | Points |
|---|---|---|
| 5 | タリク・スクーバル(Tigers) | 139 |
| 6 | フリオ・ロドリゲス(Mariners) | 136 |
| 7 | ジョージ・スプリンガー (Blue Jays) | 125 |
| 8 | ギャレット・クロシェ(Red Sox) | 74 |
| 9 | ジュニオール・カミネロ(Rays) | 37 |
| 10 | ジェレミー・ペーニャ(Astros) | 32 |
| 11 | バイロン・バクストン(Twins) | 30 |
| 12 | ニック・カーツ(Athletics) | 29 |
| 13 | ヴラディーミル・ゲレロ・Jr.(Blue Jays) | 14 |
| 14 | コディー・ベリンジャー(Yankees) | 7 |
| 15 | マイケル・ガルシア(Royals) | 7 |
| 16 | ボー・ビシェット(Blue Jays) | 5 |
| 17 | ライリー・グリーン(Tigers) | 3 |
| 18 | アロルディス・チャップマン(Red Sox) | 1 |
| 19 | ヤンディー・ディアス(Rays) | 1 |
| 20 | ジェイコブ・ウィルソン(Athletics) | 1 |
投手のタリク・スクーバルは3位が最高で1票、6位が最も多く10票を獲得。
ジャッジは2年連続通算3度目の受賞
アーロン・ジャッジは2年連続の受賞で、通算3度目の受賞。
MVPを3回以上受賞した選手はジャッジが13人目。バリー・ボンズは、NLで計7回のMVP受賞(1990年、1992~93年、2001~04年)で、歴代最多記録保持者。 2025年のNL MVPに選出された大谷選手は、2024年のNL、そして2021年と2023年のALを含め、計4度の受賞です。
ALで3度受賞した他の選手は7人目で、過去にはジミー・フォックス(1932~1933年、1938年)、ジョー・ディマジオ(1939年、1941年、1947年)、ヨギ・ベラ(1951年、1954~1955年)、ミッキー・マントル(1956~1957年、1962年)、アレックス・ロドリゲス(2003年、2005年、2007年)、マイク・トラウト(2014年、2016年、2019年)などがおります。
ちなみにNLでの3度の受賞者はスタン・ミュージアル(1943年、1946年、1948年)、ロイ・キャンパネラ(1951年、1953年、1955年)、マイク・シュミット(1980~81年、1986年)、アルバート・プホルス(2005年、2008~2009年)です。
2年連続でMVPを受賞した選手は、両リーグを通じて今回で20回目。NLのバリー・ボンズは1992~93年で1回、2001~04年の4年連続を右のように分割すると(2001~02年、2002~03年、2003~04年)計4回の達成。大谷選手はリーグをまたがり3年連続の受賞ですが、それを含めると2回(2023:AL〜24:NL、2024年~25)ということに。
またALでの連続受賞は8人目で、近いところではフランク・トーマス(1993~1994年)、ミゲル・カブレラ(2012~1913年)がおります。
NYYは計23回目
ヤンキースの選手がMVPを受賞するのはこれで23回目。1931年以来のBBWAA投票において、単一クラブによる最多受賞記録となります。2位はカージナルスで18回でNLでは最多。
ヤンキースで3回受賞している選手は4人目で過去にはジョー・ディマジオ(1939年、1941年、1947年)、ヨギ・ベラ(1951年、1954~1955年)、ミッキー・マントル(1956~1957年、1962年)が達成。
またヤンキースで2回受賞しているのはロジャー・マリス(1960~1961年)とアレックス・ロドリゲス(2005年、2007年)、そしてルー・ゲーリッグ(1936年)。
1度の受賞者はジョー・ゴードン(1942年)、スパッド・チャンドラー(1943年)、フィル・リズート(1950年)、エルストン・ハワード(1963年)、サーマン・マンソン(1976年)、ドン・マッティングリー(1985年)です。
マリナーズでは3度目の次点
カル・ロリーの2位受賞は、マリナーズの選手としては3度目となります。他に次点となったのは、1994年にフランク・トーマス(CWS)に次ぐ2位となったケン・グリフィー・ジュニア、1996年にフアン・ゴンザレス(TEX)に次ぐ2位となったアレックス・ロドリゲスがおります。ケン・グリフィーはその後、1997年にMVPを受賞し、アレックス・ロドリゲスはレンジャーズで1回(2003)、ヤンキースで2回(2005/2007)の受賞しています。
ホセ・ラミレスは3度目の3位
なお、ガーディアンズのホセ・ラミレスは、2017年と2018年に続き、キャリア3度目の3位となりました。ちなみにホセ・ラミレスは2020年の投票ではホセ・アブレイユ(CWS)に次ぐ2位となっています。
今回、ALはアーロン・ジャッジに決まりましたが、ヤンキース戦を対戦相手の視点で見ると、上位打線、とりわけジャッジのターンは怖いのは確かで、ランナーがいてジャッジに回り、たとえタイムリーを打たれたとしてもシングルヒットであればもう御の字という視点で見てしまいます。
その上で、それでも今回はカル・ロリーで良かったんでないの??とは思ってしまいます。
お読みいただき、ありがとうございました。


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