レッドソックス、今オフ初のFAとのメジャー契約
現地2026年1月14日、ボストン・レッドソックスが今オフ初のFA選手とのメジャー契約に合意。フィリーズからFAとなっていたローテーションのレンジャー・スアレスと5年で合意です。
レンジャー・スアレスはポストシーズンに強いですからね。これは楽しみです。
レッドソックスは今オフはかなりスローな動き。動いていなかったわけではなく、大きなトレードはソニー・グレイ、ウィルソン・コントラレス、ヨハン・オビエドと3件決めております。ただ、これまではレッドソックスにとっては珍しくFA選手とのメジャー契約がなかったのです。
それもこれもアレックス・ブレグマンとの再契約を想定していたからなのですが、その肝心のブレグマンとのディールは不成立に終わり、カブスへ。結果、レッドソックスはブレグマンを失っただけでなく、ブレグマン加入で確執が生まれて物別れとなったラファエル・デバースも失ったのでした。デバースはクラブのアイコン的存在だっただけに残念過ぎる事態を招いていたのでした。
契約内容
レッドソックスとレンジャー・スアレスの合意内容はご覧の通り。
- 5 年/$130M (2026-30)
現時点ではオプション、オプトアウト、ノートレード条項などなく、シンプルに上記内容のままとのことです(今後もし更新されればこちらも変えておきます)。エージェントはボラス・コーポレーション。
AAV(Average Annual Value)は$26M。レンジャー・スアレスは1995年8月26日生まれで現時点で30歳。当該契約は35歳までカバーする内容です。
なお、レッドソックスは40manロスターがフルであり、このディールがオフィシャルとなる前にロスター調整をしなければなりません。
ローテーション強化へ
2025年を終えて見えてきたレッドソックスの課題はローテーション。ペイトン・トールやコナリー・アーリーなどプロスペクト達が台頭して、確かに層は厚くなってきてきたのですが、ギャレット・クロシェットと他の先発との間に大きなギャップがあったことは否めません。3連戦だと相手からするとクロシェで落としても他でなんとかなると高をくくることも出来たわけです。
そしてオフに着手したのはその見直しで上述のカージナルスからソニー・グレイ、パイレーツからヨハン・オビエドの獲得に至りました。ただ、ソニー・グレイのディールではリチャード・フィッツ、ウィルソン・コントレラスとのディールではNO.5でもあったハンター・ドビンズを手放したので、オフに入った当初よりは層は薄くなっていました。
ソニー・グレイは2026年は36歳で2025年のERAは4.28。2023年から2025年までは計531.0イニングを35勝25敗でERAは3.63、SO率は27%、BB率は6.1%、GB率は44.6%を記録。圧倒的ではないまでもクロシェに次ぐNO.2として期待はできそうです。
ヨハン・オビエドは2023年12月に再建型のトミー・ジョン手術を実施。2024年は全休となり、2025年は加えて広背筋を傷めて復帰は8月となりました。怪我のリスクはあるものの、パイレーツではNO.2スターターと機能していたので、獲得当初はクロシェ、グレイ、ベイヨーに次ぐNO.4として期待されていました。このオビエドがレンジャー・スアレスの加入により後ろにズレるくらいに今回のスアレスの加入は大きなものになったと言っていいでしょう。
その他、怪我から復帰予定のカッター・クロフォード、元エンゼルスの左腕のパトリック・サンドバルもNO.5、6の座をペイトン・トール、コナリー・アーリーらとともに争います。さらにカイル・ハリソン、デービッド・サンドリン、シェーン・ドロハン、タイラー・ユーバースタイン、そしてシーズン後半に復帰見込みのタナー・ハウクらもおり、再び層が厚くなりました。
ブレグマン喪失後の資金でまずは先発
そんな今オフのレッドソックスは一旦は野手補強に切り替え、候補としてアレックス・ブレグマンを筆頭にケーテル・マルテ、ブレンダン・ドノバン、アイザック・パレデスといった内野手をターゲットにして動いておりました。その流れで獲得したのがカージナルスからトレードで獲得したウィルソン・コントレラスです。2B、3Bを探りながらまさの1B獲得。1Bのカサスも正念場となりました。
ウィルソン・コントレラスを獲得後はアレックス・ブレグマンとの再契約にフォーカした動きを見せていましたが、ブレグマンは結果、カブスと合意。クラブ側も2026年に32歳となるブレグマンに対し、カブスほど資金を出す気がなかったのが喪失の大きな要因ですが、これは筆者としても納得は行きます。
そのブレグマンへの予算をこれからどこに向けるか?ということで投手に向けて欲しかったのですが、ブルペンを複数獲得するか?と思われましたが、先発のレンジャー・スアレスとのディールとなりました。
これにより、レッドソックスはMLB0球団の中で唯一、今冬にFA選手とのメジャー契約を結んでいないクラブというのを解消しました。
レンジャー・スアレスとは
2026年は30歳で開幕を迎えるレンジャー・スアレスはベネズエラ出身。2012年4月に16歳でアマチュアFAとしてフィリーズとサイン。そこからフィリーズ一筋でした。2018年にメジャー・デビュー。22歳の時でした。2018年から2020年までは経験を積むシーズンとなり、計44試合に登板し、そのほとんどがリリーフで、67.2イニングで7勝3敗、ERA 4.66。
2021年にスイングマンとして稼働したスアレスは39試合中12試合に先発し、13試合を締めました。このシーズンは106.0イニングに到達し、ERA 1.36をマーク。この実績がレンジャー・スアレスをローテーションとして押し出すきっかけとなりました。
2022年から本格稼働
2022年にフィリーズはワールドシリーズに進出しましたが、レンジャー・スアレスは29試合、155.1イニングを投げ10勝7敗、ERA 3.65、、129奪三振を記録。フィリーズのワールドシリーズ進出に貢献したレンジャーは3試合に先発し、リリーフとしても1度登板し、14.2イニングを投げて2勝を挙げ、ERA 1.23を記録しました。
レンジャー・スアレスを押し上げたのは前年の実績もさることながら、2022年途中に就任したロブ・トムソンの正しい目も大きく影響したと思います。
2023年は怪我で欠場することもあり、22試合、125.0イニングで4勝6敗、ERA 4.18と成績は落ちましたが、それでもで119奪三振を記録。ポストシーズンではタイワン・ウォーカーよりも信頼され、ザック・ウィーラー、アーロン・ノラに次ぐNO.3の先発投手として優先され、4試合に登板して18.2イニングでERA 1.93を記録。ブレーブスとのNLDSで1勝をマーク。DバックスとのNLCSでは敗れました。
絶好調だった2024年前半
2024年シーズンのスタートは好調で、6試合で5勝0敗、ERA 1.32を記録。4月のNLPOMを受賞したほど。5月も対戦相手を圧倒し続け、5月21日の10試合の先発後、9勝0敗でERAは1.36。もはやサイ・ヤング賞候補かと思われるほど好調でした
この好調もあり、オールスターにも初選出となりましたが、怪我のため欠場しました。ここから勝ち星は停滞し、さらに腰痛のため離脱し、復帰したのは8月24日のロイヤルズ戦。このシーズンは27試合に先発し、150.2イニングを投げ、12勝8敗、ERRA 3.46、SOは自己最多の145を記録。
ポストシーズンでも活躍しましたが、フィリーズはメッツに敗れました。
2025年はFA前のファイナル・イヤーということもあり、本人もかなり気合が入っていたと思われ、26先発で157.1イニングに登板。このイニング数はキャリアハイです。12勝8敗、ERA 3.20でした。
特徴
レンジャー・スアレスの球速は決して速いわけではありません。4シームのアベレージは、2022年と2023年には93mph強、2024年は91.8mph、2025年は91.3mph。低下傾向ではあります。ただ、彼の主力球はシンカーでそのアベレージは2025年は90.1mph。
確かに平均的より下のベロシティーと言わざるを得ませんが、コマンドが素晴らしいので安定しています。
そして上述のようにポストシーズンに強いのが彼の頼もしいところです。やはり大事な試合ほどコマンドの良さが効いてくるというところでしょう。
懸念
レンジャー・スアレスはシーズンを全休するような大きな怪我はないものの、毎年ILには入り、フルシーズンで稼働したことがないのが懸念でもあります。
長年悩ましているのは腰痛。これが年間30先発未達の大きな要因でもあり、仕事ぶりの割には過小評価されている点でもあります。
たとえ年間20-25先発となっても、5年間を全うしてくれれば御の字かと思います。
BOSの贅沢税
2025年に閾値$241Mに対して$246Mとなったレッドソックスは2026年も閾値$244Mを超えることになりました。
今回のレンジャー・スアレスのAAV$26Mがそのまま加算されたなら(繰延などないなら)、現時点のレッドソックスの40manロスターのサラリーの状況は$265M。超過$20M-$40M未満のレンジの税率は30%ですが、超過2年目ですので42%に上がります。
そしてまだ超過$40M未満ですので、贅沢税上のドラフトのペナルティーはありません。もし$40Mを超えた場合、アマチュア・ドラフトの指名権がクラブの一番高い指名順が10個下がります。
QOでのペナルティーはあり
ただし、レンジャー・スレレスは今オフクオリファイング・オファーをフィリーズから受けて拒否した上でのFAステータスでしたから、そのペナルティーはあります。
レッドソックスはタックス・ペイヤーですので、以下を喪失。
- ドラフト2番目と5番目に高い指名権が没収される
- それとととに次の契約期間のインターナショナルボーナスプールから$1M分を失う。
ブレスローがFAとの契約をなるべく避けようとしたのはこの点が大きいと思われます。やはりドラフト上位で指名した選手がチームの順位の上下を決める傾向がありますので。
なお、フィリーズはスアレス喪失の保証を受けることが出来ますが、タックス・ペイヤーでもありますので、4巡目終了後のピック権付与となります。
この後、BOSはまたトレードで動きそう
レッドソックスは2Bの問題がまだ決まっていません。その候補としてDバックスのケーテル・マルテにも接触していたわけです。ただ、マルテはDバックスが市場に出さないと決めましたので、もうありません。
まだ噂が消えていないのがカージナルスの2Bのブレンダン・ドノバン。2022年にGG賞を受賞し、HRは年間15-20本ほどですが、打率が素晴らしく.270以上は見込めます。2025年は,287。ただ、彼は左打者です。
上述のようにローテーションがかなり厚くなりましたので、ひょっとしたら、またトレードを決めるかもしれません。カブスのニコ・ホーナーも候補。そしてレッドソックスがボー・ビシェットに対してどれだけ予算を割けることができるかわかりませんが、今回のスアレスのディール成立でないかもしれません。もしフィリーズがビシェットと契約した場合、アレック・ボームかブライソン・ストットがトレード枠に入って来そうですので、そことのディールも可能性としてはあるでしょう。ほかにパドレスのジェイク・クロネンワースも噂ですが、彼は左打者です。右打者が欲しいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。









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