またもポール・スキーンズを援護する打者を獲得
現地2025年12月23日、ピッツバーグ・パイレーツがまたもオフェンス力を強化する補強を行いました。パドレスからFAとなっていたライアン・オハーン(Ryan O’Hearn)と2年契約で合意です。
現時点ではまだオフィシャルとなっていません。パイレーツは40manロスターがフルなため、ロスター調整が必要。その調整も含めて時間がかかっているのかと思われます。
パイレーツは今オフ、派手ではないですが、非常に活発に動いております。現地2025年12月19日には3チームトレードにてレイズのHRバッター、ブランドン・ラウを獲得。
パイレーツは2025シーズンのチーム打率が.235とMLBワースト3位を記録。サイ・ヤング賞を受賞したポール・スキーンズを援護するに至りませんでした。この貧打を限られた予算でなんと解消しようという明確な意思が見え、非常に良いですね。
契約内容
パイレーツとライアン・オハーンの合意内容はご覧の通り。
- 2 年/$29M保証 (2026-27)
- パフォーマンス・ボーナス(2年)
- PA 450/ 475 ごとに$0.1M
- PA 500/ 525 ごとに$0.15M
- パフォーマンス・ボーナス(2年)
AAV(Average Annual Value)は$14.5M。そしてPA(打席数)ごとにパフォーマンス・ボーナスが設定されており、試しに2025年のライアン・オハーンのPA数:544で計算すると、設定されているMAXを超えているので、$0.1+$0.1+$0.15M + $0.15M で $0.5Mということに。もしも2026年と2027年にそれぞれPA 544を超えれば2年で+$1Mということになります。
とんでもないラグジュアリー契約ではありませんが、$10M/年を超えると選手としては嬉しいでしょうね。しかも怪我に気をつけてということになりますが、打席に立つことでボーナスが入るのも良い設定だと思います。
前の契約
ライアン・オハーンの2025年のサラリーは前の契約に基づいて$8M。
前の契約はオリオールズと調停ファイナル・イヤーに1年/$3.5M (2024) + 2025 $7.5Mクラブオプションでサイン。このオプションには2024年に120試合、150試合に出場すると$0.5Mずつ上がる設定となっておりました。オリオールズはこのオプションを行使。オハーンは2024年に144試合に出場したので$0.5Mアップとなり$8Mに。
今回のパイレーツとの契約は単価としては2倍には届きませんでしたが、かなりいい線まで伸ばしてもらいましたね。
ライアン・オハーンとは
ライアン・オハーンは、1993年7月26日生まれの32歳。サム・ヒューストン州立大学出身で2014年にロイヤルズから8巡目指名を受けてプロ入りしました。
2022年までは泣かず飛ばず
そして4年後の2018年7月31日、ロイヤルズでメジャーリー・グデビュー。ホワイトソックスとの対戦となったそのデビュー戦で3打数1安打を記録し、その1安打がなんとHR。メジャーリーガーとして最高の船出となったでした。
しかし、オハーンはその後に低迷。8月13日の8試合目を迎える時点で打率は.130にとどまりました。がシーズン終盤に挽回。44試合でBA.262、ダブル 10本、HR 12本、RUN 23、RBI 30、OPS+155という好成績を残してシーズンを終えました。
このまま順調に育つかと思われたのですが、2019年に105試合に出場してBA .195と低迷。これが翌シーズンの2020年も続き(打率は同じく.195)、その後はロイヤルズで出場機会を減らして行き、2023年1月3日にオリオールズに金銭トレードされることに。
2023年から別人!
ライアン・オハーンはオリオールズに移籍してからその本領を発揮するのですが、トレード成立の2日後の2023年1月5日にロスター調整でDFAに。DFA後、オハーンはマイナーへアサインされます。これが本人にとってもオリオールズにとっても良い出来事に。
スプリング・トレーニング後に一旦はメジャーに上がったライアン・オハーンでしたが、5月に再びマイナーへ降格。しかし、降格後すぐにメジャーへ復帰。ここからがすごかったです。
2023年5月20日のブルージェイズ戦で3安打1HR、4RBIを上げたオハーンは6月、7月と打ちまくり、オールスター前の成績は.302/.349/.518、HR 7。
オールスター後も280/.302/.454、HR 7を放ち、シーズンを通して112試合で.289/.322/.480、OPS .801、HR 14、ダブル 22、RBI 60をマーク。オリオールズのオフェンスを厚くし、地区優勝にも貢献したのでした。
2024年はレギュラーとして142試合に出場。自身初のメジャーでのフルシーズンを.264/.334 /.427、OPS.761、HR15の好成績で過ごしたのでした。
2025年は5月の単月で365/.450/.542、OPS .992をマーク。この活躍もあり、オールスターにも出場。そして7月末までに.283/.374/.463、OPS .837をマークしたオハーンはオリオールズがコンテンダーでなくなったため、パドレスにトレード。パドレスでも.276/.350/.387、OPS .736をマーク。ナ・リーグ西地区で彼もドジャースに圧をかけたうちの一人です。
2025年はシーズンを通して144試合で、.281/.366/.437、OPS .803、HR 17、RBI 63をマーク。そしてオフになり、契約も切れたことからFAとして市場に出ていたのでした。
左投手も苦にせず
左打席のライアン・オハーンは他の多くの左打者と同様に左投手に弱く、右投手に強いという数字が顕著に出ていました。短縮シーズンの2020年だけなぜか右投手に弱かったのですが。
しかし、オリオールズに移籍後はその傾向も徐々に平らかとなり、特に2025年には左打者に対して.278/.358/.474を記録し、これは右投手に対する成績とほぼ同じ。
傾向でまだ顕著なのは、2025年は右投手から14本のHRを放ったものの、左投手からは3本のみである点です。それでももはや左投手も苦にせずと言っていい数字をマークしていると言っていいでしょう。
1B・OFもこなす
左投げのオハーンは守備面でも多才。主に1Bとしてプレーしておりますが、過去3シーズンはそれぞれOFで約150イニングの守備もこなしています。
パイレーツ、久々のFAのマルチイヤー・ディール
パイレーツは過去10年間、FA市場で最も不活発な球団のクラブの一つでした。今回のオハーンとのマルチイヤー・ディールは2016年にイバン・ノバと3年契約を結んで以来初のFA選手とのマルチイヤー・ディールとなります。
しかもFAの打者とのサインとなると2015年にジョン・ジェイソと結んだ2年/$8M以来。ちなみにクラブ史上最高額のFAとの契約は2014年にフランシスコ・リリアーノと結んだ3年/$39Mです。
PITでのポジション
打撃が大苦戦した2025年のパイレーツですが、最もいい成績を残したのが1Bのスペンサー・ホロウィッツで打率は.272、HR 11。この最もいい打者よりもライアン・オハーンの方が上です。
パイレーツはDHが決まっておらず、2025年にDHを務めたアンドリュー・マッカッチェンとは現在契約に至っておりません。
となると、ホロウィッツとオハーンで1BとDHをシェアする形がベターかと思われます。2025年にDHに入っていたブライアン・レイノルズはOFの守備に就くと。
パイレーツは今オフ、地味ではありますが、まだまだ動いて来る可能性大です。
お読みいただき、ありがとうございました。


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