ただし、オプトアウトではない!!
MLB2020シーズンは始まったばかりですが、後ろを見ると、もう残り2ヶ月を切ってしまっているというなんとも言えない状況になっています。
その短くて、貴重な2020シーズンですが、その短さが仇となって、どうやらシーズン・アウトとなる事案が出てきました。しかも、レッドソックスに。
ハイム・ブルームCBOが会見
現地2020年8月1日、レッドソックスのハイム・ブルームCBO(Chief Baseball Officer ←この肩書、素敵ですね)は2019年のレッドソックスのローテーションをリードし、キャリアハイの19勝を上げたエドゥアルド・ロドリゲス(Eduardo Rodríguez)がシーズン・シャットアウトになることを記者陣に伝えました。
COVID-19罹患後の心筋炎
ハイム・ブルームCBOによると、エドゥアルド・ロドリゲスは現地7月27日頃に「心筋炎(myocarditis:マイオカーダイディティス)」と診断され、これは、この夏の早い段階でCOVID-19 に罹患したことに起因する症状であるとのことです。
心筋炎とは
その「心筋炎」ですが、どういう症状かと言うと、福井県の済生会病院のサイトがわかりやすかったので下記に一部引用させていただきます。ぜひ、下記のリンクのページで全文をご確認ください。
心筋炎とは、主にウイルスが心臓の筋肉(心筋)に感染し心筋細胞に炎症が起こり、心筋の本来の機能が失われ、ポンプである心筋の収縮不全や不整脈を生じる疾患です。
心筋の炎症を起こす原因には、ウイルス以外の細菌や寄生虫による感染、薬物や毒物による中毒性、膠原(こうげん)病などの全身疾患に続発するものがあります。
(中略)
ウイルス性心筋炎の場合は、多くが一過性で数週間の経過で治癒します。しかし、「劇症型心筋炎」といって高度な収縮不全となってしまった場合には回復に1-2ヶ月かかったり、心筋炎が回復したあとも心筋のダメージが残って慢性の心不全に至る場合もあります。
外部リンク:福井縁済生会病院
要はCOVID-19 の罹患後に発症したとのことですが、これが「COVID-19 の後遺症」と言っていいのかどうかは現段階ではわかりません。COVID-19 に関してはまだわかっていないことも多く、ここは慎重に書かないといけません。
ただ、今回はその発症の起因がCOVID-19 であることは確かなようです。
まもなく復帰見込みであったが・・・
エドゥアルド・ロドリゲスは7月半ば頃にはCOVID-19 から回復。現地2020年7月18日にはサマーキャンプに遅れて参加。ブルペンの投球も行っていました。
したがって遅れた分を取り戻す期間を含めても、8月の早い段階でシーズンインするものだと思っていました。
しかし、やはり体調が万全でなかったと見えて、診察したところ「心筋炎」ということに。
COVID-19 罹患時「100才になったようだ」
なお、チームに欠かせない存在のE・ロッドですが、実はロッカールームでも人気者。COVID-19 で苦しんでいた時もリモートでチームのメンバーに挨拶。その中で「100才になったようだ」との感想を漏らしていました。これは冗談のようで案外本音だったかもしれません。
朗報としてはフルリカバリーの見込み
話を「心筋炎」に戻しますと、心筋炎のリスクとして、
心筋炎が回復したあとも心筋のダメージが残って慢性の心不全に至る場合もあります。
外部リンク:福井縁済生会病院
とあるように、かなり怖い症状であることは確かなのですが、病院での診断の結果、E・ロッドはフルリカバリーが見込めることは確かなようです。
回復期間と短いシーズン
「それなら、2020シーズンも復帰できそうじゃないか」と思いたいところですが、ここで冒頭に書きましたように短いシーズンが仇になってきます。
E・ロッドの心筋炎の症状はそれほど重症ではないものの、これはまさに時薬(ときぐすり)の要素があり、1ヶ月から2ヶ月は様子を見たほうがよいようです。
よって仮に早い回復で数週間で「完治」と診断されたとしても、そこからリハビリ、実践へのチューンナップを行っていったら、あっという間に一ヶ月は経過。もうシーズンエンドの9月27日がそこに迫っている状況になってしまうということに。よって、最善のカムバックスケジュールを立てたとしても間に合わないということから、シーズン・シャットアウトということになりました。
ただし、オプトアウトではない
ただ、E・ロッドもシーズン復帰を諦めている訳ではなく、ベストを尽くすとのことで、現地2020年8月1日時点でシーズン・オプトアウトということではありません。
これは現実的な話として、サラリーの問題もあると推察します。自らオプトアウトを宣言した場合、サラリーはゼロになるわけですから。
レッドソックス、2本柱の一つが崩れる
デービッド・プライスはドジャースへ移籍(シーズンオプトアウトではありますが・・・)、クリス・セールはトミージョン手術ということで、ハイム・ブルームCBOとロン・レニキー監督は当初、ネイサン・イオバルディとE・ロッドをローテーションの2本柱にすることを見込んでいました。
ところが、今回のE・ロッドの診断によってこれが崩れ、柱はネイサン・イオバルディの1本という実に厳しい状況にレッドソックスは追い込まれました。
ネイサン・イオバルディで2つ勝ってはいるが
現地2020年8月1日時点で、レッドソックスは3勝6敗で、ALイースト最下位。3勝のうち2勝はイオバルディ登板日で稼いではいるものの、1本では心もとないですね。
内部昇格
ハイム・ブルームCBOはFA市場も当たるつもりですが、一旦は内部昇格で埋め合わせるしかないとも考えているようです。
ブライアン・マタ
プロスペクトとして、チームNO.4プロスペクトのブライアン・マタ( Bryan Mata)がおります。190cmのスターター右腕で21才。ベネズエラ出身で、2シームで93-97mphを計測するパワー型。変化球はスライダーがいいという評価。非常に綺麗なフォームです。
タナー・ハウク
あるいは、チームNO.10プロスペクトのタナー・ハウク( Tanner Houck )も候補の一人。24才の右腕で、2017年アマチュア・ドラフトのレッドソックス1巡目指名の投手。ファストボールは2シームが92-96 mphのレンジ。変化球はスライダーが高評価。縦に割れます!
ダーウィンゾン・ヘルナンデス
そして2019年にリリーバーとして活躍したパワー左腕のダーウィンゾン・ヘルナンデスもその候補。ただし、ダーウィンゾンもCOVID-19 からの回復待ちです。
ハイム・ブルームCBO、1年めで贅沢税とプロスペクト枯渇の問題に取り組み、はたまた、プライスとベッツが移籍したトレードで見返りが少ないとクレームを付けさせられたり(これは上の意向があったと想像しています)、今回のCOVID-19 起因のトラブルに対応したりと、なかなか厳しい初年度を迎えています。レイズで鍛えられた彼ならやり遂げてくれるでしょう。
とにかく、エドゥアルド・ロドリゲスの心筋炎が完治することを願います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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