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【MLB2026】MLB選手会のトップが交代!クーデター未遂事件の対象となったブルース・マイヤー氏が暫定トップに

トニー・クラーク氏が辞任

 現地2026年2月19日、MLBPA( Major League Baseball Players Association)こと、メジャー・リーグ選手会はブルース・マイヤー氏(Bruce Meyer)暫定事務局長(the interim executive director of the union)に全会一致で選出されたと発表しました。

 マイヤー氏は、副事務局長(deputy director)からの昇格です。

トニー・クラークに何があった?

 MLBPAの事務局長と言えば、トニー・クラーク氏(Tony Clark)ですね。

 ご承知のようにメジャー・リーグは現行の団体交渉協定(CBA=Collective Bargaining Agreement)が2026シーズン終了後の12月1日に期限を迎えます。

 そして現行のCBA締結が揉めたのも記憶に新しいところで、99日に及ぶロックアウトに突入しました。これがあるために、NPBから挑戦する選手達も今オフにやってしまいたいとポスティングを申請した理由にもなりました。その選手会の事務局長としてメインに交渉にあたっていたのがトニー・クラーク氏です。

 大事な交渉を10ヶ月後に控えての辞任といういうことでその理由も気になるところですが、それが2点ありまして、1つはまずクラーク氏が選手会のライセンス料で運営されている団体に株式を保有していた疑いで連邦捜査の対象となったこと。そしてもう1つが義理の妹との不適切な関係

 今はもっぱら「不適切な関係」が取り沙汰されております。その「不適切な関係」も1点目の内部調査を法律事務所が行っていたところ、不適切な関係が明らかとなるメッセージが見つかったのでした。

 組合はクラーク氏の辞任を求めました。

メイヤー氏に至る過程

 クラーク氏の辞任路線が決まり、組合は「では誰が舵を切るのか?」ということで後任を探していたところ、長年にわたり、MLB選手会のナンバー2であり、トップ交渉官を務めてきたメイヤー氏を推すことにしたのでした。

 上述のように大事な交渉を10ヶ月後に控え、シーズンも始まる中、ゴタゴタと後任探しが長期化するのは組合の役職に就く選手にも影響することです。実際、選手は8名が執行委員会を構成しており、その中の一人はハーバード大出身の左腕投手のブレント・スーター。

 よって、今後はメイヤー氏がMLBPAの首席交渉官として活動します。ただ、今のところ暫定トップです。

トニー・クラークの仕事

 トニー・クラーク氏は前事務局長のマイケル・ワイナー氏の死後、2013年12月に事務局長に就任。これまでの事務局長は組合幹部や弁護士が務めていたため、クラーク氏は元選手としての初めての事務局長就任となりました。

選手時代のクラーク

 トニー・クラーク氏は1972年6月15日生まれの53歳(現地2026年2月20日時点)。ケン・グリフィー・Jr.よりも年下になります。

 1990年のアマチュア・ドラフトでタイガースから1巡目で指名されてプロ入り。身長が6フィート8インチ、なんと203cmもあります。選手会の報道で見るトニー・クラーク氏の画面から滲み出るデカさの要因でもあります。

 右投げスイッチヒッターで1Bでした。1995年にデビューし、翌96年にROYで3位に。1997年には160安打、.276/.376/.500、HR 32、RBI 117をマークしてMVP投票で18位に。

 2001年にはオールスターに出場。その後はレッドソックス、メッツ、ヤンキース、Dバックス、パドレス、Dバックスと2009年、37歳までメジャーでプレー。通算成績はメジャー15シーズンで1559試合に出場。.262/.339/.485、OPS .824、HR 251、RBI 824をマークし、かなり堅実な打撃を披露した選手でした。

CBAの更新は2回

 そんなクラーク氏は2013年に就任して以降、最初に締結されたのが2017-21年のCBA。そして2度目のCBA更新が前回の2022-26年のCBA。

この彼にとっての2度目のCBAは、以前の合意よりも優れていると一部の人々から評価されました。CBT(贅沢税)の基本基準額(閾値)は、2021年の$210Mから2022年は$230Mに引き上げられ、税率設定に4段階目が追加。以前の最高額よりさらに$20Mほどアップしました。ミニマム・サラリーは2021年の$0.555Mから2022年には$0.7Mに引き上げられ、毎年$0.02Mドルずつ増加。また、調停前の選手のボーナス・プールも設定されました。

 あとは制度的にはトニー・クラーク氏の時代には色々と変更されました。これはロブ・マンフレッドMLBコミッショナーの仕事ともリンクしますが、2022年からナ・リーグにもDHが導入されたり、ピッチ・クロックの導入、シフト・リストリクション、ビガー・ベース、プレーオフ制度変更(12チーム)、ドラフトをオールスターウィークに実施、ドラフト・ロッタリーの採用など。

 なお、フィールド内のルール変更は45日前なら選手会との同意なしに出来るというのもCBAの中に入っていますが、なにかあったときはMLBPAも一応吟味します。

ブルース・マイヤー氏とは 

 ブルーズ・マイヤー氏は2018年にトニー・クラーク氏の下で組合の主導交渉担当者の1人としてMLBPAに採用され、それ以前はNBA、NHL、NFLの選手会に携わってきたベテランでした。

 彼にとってMLBでの初のCBA交渉は前回の2021年12月の交渉で、上述のように2021年12月からロックアウトとなり、それが99日間続いて3月に解消。これは1994-95年のストライキ以来の大きな出来事でした。

 2022年はあわや短縮シーズンになるか?というところまで来ましたが、なんとか162試合でスケジュールを組めたのでした。

クーデター未遂事件!

選手会一部→マイヤー更迭を企てる

 その合意から2年後、事件が起こります。メジャーリーグとマイナーリーグの選手代表の一部は、2024年3月にトニー・クラーク氏に対し、NO.2のブルース・マイヤー氏を交代させ、元組合弁護士のハリー・マリノ氏をユニオンの事務のトップに任命するよう圧力をかけたのでした。これはクーデター未遂事件として認識されています。

 ハリー・マリノ氏はマイナーリーガー擁護団体の代表を務め、MLB選手会傘下のマイナーリーガーの組合結成を支援。2023年にはリーグとマイナーリーグのCBAが交渉されました。

 なお、MLBPA内でマイヤー氏とマリノ氏は当時、緊張関係にあったと報じられています。

抗議の主張

 抗議をした一部の委員会の選手たちの主張は、マイヤー氏の戦略への不信感、並びにスコット・ボラス氏や現オーナー陣と足並みが揃いすぎているという点でした。その抗議者達は具体的には法務チームの刷新や選手会の支出監査を求めていることから、要はNO.2がスコット・ボラスやオーナー陣と癒着しているのではないか?お金でエージェントのボラスやオーナー陣に掴まれているのではないか?と疑ったわけです。

 しかし、マイヤー氏は自身の実績を擁護する長文の書簡の中で、この認識を強く否定。

 この動きは注目を集めましたが、内部クーデター未遂事件となり、最終的には失敗に終わりました。クラーク氏はマイヤー氏を留任。この動きに最も関与した選手たちは、後に2024年12月に執行委員会から投票で排除されました。

このクーデターの影響は?

 今回、選手たちが構成する委員会も上述のようにスムーズさを最優先して一旦はマイヤー氏を交渉トップとして位置づけることに合意。

 ただ、まだクーデター未遂事件はまだ2年前のことで生々しさが残ります。まだくすぶっている方面もありそうです。選手達にとっては今回のトニー・クラーク氏の一連のスキャンダルは迷惑なことこの上ないのですが、うがった目で見ると、トニー・クラーク氏は失脚に近いものがあります。

 2026年オフ、次のCBAではおそらくオーナー陣はサラリーキャップの導入を強く求めるでしょう。ドジャース、メッツの資金力も問題視されていますから。

 揉めることは必至です。果たして選手会はこの体制のまま交渉に突入するでしょうか?

 この組合トップの人事がどうなるのか?も注目です。ただ、選手は忙しいでしょうから、ブルース・マイヤー氏は基盤を盤石なものにしていくでしょう。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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