ドジャースは再契約せず
現地2025年12月30日、ロサンゼルス・エンゼルスはドジャースからFAとなっていたベテラン右腕のカービー・イェーツと1年契約で合意しました。
ドジャースは再契約するか?とも思われたのですが、2025年のERAが5.23と低下傾向が見え始め、且つ2026年に39歳になる点もあってか深追いしませんでした。
契約内容
エンゼルスとカービー・イェーツの合意内容は以下の通り。現時点はフィジカル・チェックの結果待ちです。
- 1年/$5M保証(2026)
イェーツのエージェントはBHSCことビバリーヒルズ・スポーツ・カウンシル( Beverly Hills Sports Council)で、先日カブスとサインしたハンター・ハービーと同じです。
前の契約
カービー・イェーツは2025年はドジャースと以下の内容でしたので、今回の契約はかなりダウンという内容でした。
- 1 年/$13M (2025)
- サイニング・ボーナス:$3M
- サラリー: $10M
- パフォーマンス・ボーナス: $0.5M/ 50, 55 リリーフ
2025年はそれでも50試合に登板しましたので、サラリーはサイニング・ボーナスも含めて$13.5Mです。
2024年が素晴らしかったイェーツ
ベテランのカービー・イェーツの2025年のサラリーが良かったのは前年の2024年の成績が抜群に良かった点にあります。
レンジャーズで61試合に登板し、そのうち50試合を締め、セーブポイントは33。7勝2敗でERAはなんと1.17。
また、61.2イニングで奪三振はなんと85。SO9だと12.4。SO%はリーグ平均が21.9%だったのに対し、イェーツのそれは35.9!そして対戦した打者の打率は.199。驚異的な数字を叩き出していたのでした。
スプリットの威力
しかも4シームのWhiff %(空振り率)は35.2%。ここまで4シームに威力を持たせているのには理由があって、スピンレートの高い4シームであることはもちろんのこと、やはりスプリットのちからが大きいと言っていいでしょう。
カービー・イェーツのスプリットの投球割合は2024年は38.7%。4シームが60.7%でしたから、残りのほとんどがスプリットということに。スライダーは0.6%でした。
3球種しかない中、GB%(ゴロ率)が45.5%で、いかに芯を外して凡打を打たしているかがわかります。このGB%も2023年は35.6%でしたので2024年は大いに改善。それはHard Hit %にも比例して現れており、2023年が40.2%、2022年に至っては45.5%でしたが、2024年は33.1%に激減していました。
故障に悩まされた2025年
イェーツは健康でさえあれば最強のリリーバーとなる可能性があります。
しかし、2024年の活躍とは裏腹に2025年はドジャースで苦戦。 やはりこれも故障の影響と言えるでしょう。キャリア初のワールドシリーズ・チャンプを経験したものの、ハムストリングの肉離れが2回、腰の負傷が1回と、計3回もIL入りとなり、投球回数は41.1イニングに留まりました。
2025年のERA5.23はキャリアワーストであり、4シームのアベレージ・ベロシティーは92.8mphであり、2024年の93.6mphを下回りました。
SO率は29.6%と依然として高い数値を維持していたものの、ホームランには苦しみ、HR率は2024年の1.3%から5.1%へと激増してしまいました。
キャリアを通じた故障履歴
イェーツはキャリアを通して怪我に悩まされてきて、アマチュア時代も含めて下記のような履歴があります。
| Date | Injury | Details |
|---|---|---|
| 2006年 | トミー・ジョン手術 | カレッジ時代、2006/2007 の2シーズンを棒にする |
| 2010年 | 右肩の捻挫 | レイズからドラフト指名されたのが2009年。その翌年の2010年のシーズン終了後に右肩を手術. |
| 2018年4月 | 右足首腱炎 | パドレス在籍時、10 Days DL |
| 2020年8月 | 右肘炎症 (骨棘) | パドレス在籍時、8月に骨棘の除去手術を実施し、残りシーズンを離脱 |
| 2021年3月 | 2度目のトミー・ジョン手術 | 2021年はブルージェイズ。2022年はブレーブスに在籍。2021年は全休、2022年も大半は離脱 |
| 2022年9月 | 右肘炎症 | ブレーブス在籍時、15 days ILに入り、そのままシーズン・エンディング |
| 2025年 | 右ハムストリング痛および腰痛 | ドジャース在籍時、年間を通じて3度ILへ。PSでのロスターからは外れる |
このようにパドレス時代の2020年は肘の骨棘のため、わずか4.1イニングしか投げられず、同年オフにFAとしてブルージェイズとサインしたものの、キャリア2度目のトミー・ジョンで1イニングも投げらることが出来ずにオフにFAとなりました。
ブレーブスで2年在籍して67.1イニングに留まり、出場さえしていれば良い数字を出していたのですが、ILの期間が長かったです。
そして2025年もドジャースでは腕は問題なかったものの下半身を痛め、思うような投球となりませんでした。
ヘルシーなら素晴らしい戦力
オールスターに2度選出されたイェーツ投手は、2019年にはナショナル・リーグで最多の41セーブを記録し、上述のように2024年はテキサス・レンジャーズでERA 1.17を記録。
2019年の60.2イニングでERA 1.19と2024年のERA 61.2イニングでERA 1.17はまさにアンタッチャブル。
ヘルシーなら素晴らしい戦力になる可能性があります。
エンゼルスには2度目
イェーツは2016年オフにヤンキースからウェーバーにかけられた際、クレームオフしたのがエンゼルスでした。ただ、1度目の2017年在籍時は4月終盤にDFAとなり、1.0イニングしか登板せずにウェーバーにかけられてパドレスに移籍していました。
マイク・マダックスとのコンビが復活
今回の契約でイェーツにとって朗報なのは、2024年レンジャーズ時代に投手コーチを務めたマイク・マダックスがエンゼルスの投手コーチを務めている点。これは良いように動くのでは?と期待せずにはいられません。
エンゼルスのブルペン
カート・スズキが新監督になるエンゼルスは今オフは積極的に動いており、元ブルージェイズのクローザー、ジョーダン・ロマーノとベテラン左腕のドリュー・ポメランツとも契約済み。
また、元レイズのロバート・スティーブンソンが3年/$33M (2024-26)で最終年でもあり、カービー・イェーツも加えたベテランの4人が機能すればブルペンもかなりよくなると思われます。
本来ならブルペンに加えたいベン・ジョイスが2025年5月に右肩関節唇断裂の手術を受けいるため、復帰は不透明。
その意味でもイェーツがヘルシーでさえあれば、カート・スズキ体制を盛り上げることが出来ますね。
お読みいただき、ありがとうございました。



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