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【MLB2025】エマニュエル・クラセが賭博の不正投球容疑で起訴。MLBキャリアどころか、人生の危機に直面

2人の右腕が起訴

 すでに大きな話題となっておりますが、現地2025年11月9日、クリーブランド・ガーディアンズの2人の右腕投手、エマニュエル・クラセ(Emmanuel Clase)ルイス・オルティズ(Luis Ortiz)が、スポーツ賭博に関与した容疑でブルックリンの検察当局(ニューヨーク東部地区連邦検事局)に起訴されました。

 このうち、ルイス・オルティズは同日に自宅のあるボストンのローガン空港で逮捕され、その様子も動画で上がっておりましたが、エマニュエル・クラセは現時点では拘束されていません。

投球に関する賭けの容疑

 2人の右腕が何をしたのか?については司法省(the Department of Justice)は以下の罪で起訴しております。

  • 電信詐欺共謀罪
  • 誠実なサービスに関する電信詐欺共謀罪
  • 贈収賄によるスポーツ競技への影響力行使共謀罪
  • 資金洗浄共謀罪

ボールかストライクかの賭け!?

 両投手が行ったのは「投球に関する賭けを不正に操作する計画に関与した容疑」なのですが、その具体的な中身は、「ボールかストライクか」あるいは「94.95mphより速いか、遅いか」という類の賭けへの関与。こんな賭けがあるのか?とむしろ多くの方が呆気に取られたと思いますし、具体的には下記の埋め込みに事細かに書かれております。

 個別に要約すると以下となります。

クラセの関与

  • 2023年5月頃から、ガーディアンズのリリーフ投手であるエマニュエル・クラセは、不正なスポーツ賭博師たちと共謀し、自身が投げる特定の球種に関するプロポジションベット(「プロップベット」)を操作することに同意した。
  • 賭博師たちは、クラセと事前に打ち合わせ、時にはMLBの試合中にも連絡を取り合いながら、クラセが投げる球速や球種に関する情報を入手し、それに基づいて賭けを行っていた。
  • クラセは、これらの不正な投球を打席の初球に投げることが多かった。特定の投球がボールと判定されるようにするため、クラセはそれらの球をストライクゾーンから大きく外れた地面に投げ込んでいた。
  • 賭博師たちは、クラセから提供された将来の投球に関する内部情報を利用して、オンラインのスポーツブックで数千ドルもの大金を賭けていた。
  • クラセは、非公開の事前情報を提供する見返りとして、賭博者から賄賂やキックバックを受け取ることがあった。
  • また、この不正行為を資金面で支援するため、賭博者に事前に金銭を提供することもあった。起訴状には、クラセが不正操作を行った試合の事例が多数記載されており、その中にはニューヨーク東部地区で行われたニューヨーク・メッツ戦も含まれている。
  • クラセは投球を不正操作することで、共謀者である賭博者たちに少なくとも40万ドルもの不正な賭け金による利益をもたらした。

オルティズの関与

  • 2025年6月頃、ガーディアンズの先発投手であるルイス・オルティズは、この犯罪計画に加担した。オルティスはクラセと共謀し、賄賂とキックバックの見返りとして、2試合で意図的にボール球を投げる(ストライクではなく)ことに事前に同意した。
  • 2025年6月15日のMLBの試合前、オルティスは共謀者たちと、特定の投球でボール球を投げることと引き換えに賄賂を受け取ることに合意した。
  • 賭博師たちは、オルティスに不正な投球の見返りとして5,000ドル、クラセに不正投球の手配の見返りとして5,000ドルの賄賂を支払うことに同意した。
  • 2025年6月27日のMLBの試合前、オルティスは共謀者たちと、賄賂と引き換えにボール球を投げることで2度目の不正投球を行うことに合意した。
  • 賭博師たちは、オルティスに不正な投球の見返りとして7,000ドル、クラセに不正投球の手配の見返りとして7,000ドルの賄賂を支払うことに同意した。
  • 2025年6月27日の試合前、クラセは現金5万ドルを引き出し、そのうち1万5,000ドルを共謀者に渡した。共謀者はその金を使って試合中にオルティスの不正投球に賭けた。オルティスは賄賂のために不正投球を行うことで、共謀者である賭博師たちに少なくとも6万ドルの不正な賭け金による利益をもたらした。

 クラセの行為によって賭博師は70万ドル、オルティズの行為で共謀した賭博師は6万ドルの利益を得たとされ、検察側は両選手と共謀した賭博師は賭博プラットフォームから合計で少なくとも45万ドルを稼いだと見ています。

最大65年の懲役刑

 起訴状に記載されている容疑はあくまで申し立てであり、有罪が証明されるまでは無罪と推定されます。ただし、有罪判決が下された場合、両名は通信詐欺共謀罪で最高20年、誠実義務違反を伴う通信詐欺共謀罪で最高20年、贈収賄によるスポーツ競技への影響力行使共謀罪で最高5年、資金洗浄共謀罪で最高20年の懲役刑に処される可能性があります。これら全てが有罪ですと、最大65年の懲役刑です。

E・クラセはシーズン途中で調査が入った

 2025シーズン、ガーディアンズはALセントラルを制覇。ALで勝率が3位でしたので、ポストシーズンにはワイルドカード・シリーズから参戦。しかし、タイガースに敗れてここで敗退。ただ、7月の時点でガーディアンズが地区優勝を遂げることとポストシーズンに進出することなど誰が予想できたでしょうか。それくらいトレード・デッドラインの時期は絶望的であり、「売り」が噂され、実際、シェーン・ビーバーをブルージェイズにトレードに出すなどして動きました。

 7月に「もう今季は無理」と判断させた大きな材料が、このエマニュエル・クラセの賭博容疑による離脱でした。

 エマニュエル・クラセは2021年から本格的なクローザーとなり、2022年から2024年にかけて3年連続で40セーブ以上をマーク。2022年、2024年にAL リリーバー・オブ・ザ・イヤー(Relievers of the Year)を受賞。

 2025年も7月26日の最終登板までに24セーブをマークしていました。最も重要なクローザーが抜けたので、しかもかなりセンシティブな容疑をかけられ、よほどの濡れ衣でない限り、復帰は時間がかかると思われたのでした。

ドジャース命拾い

 ドジャースは今季もブルペンで苦しみましたが、今季の場合はシーズン当初からブレイク・スネル、タイラー・グラスノー、リバー・ライアン、クレイトン・カーショウなど先発陣が離脱したことにより、ブルペンが過負担となり、シーズン終盤に疲弊したのが原因でした。ただ、佐々木朗希投手の出現により、救われのはご承知の通りです。

 トレード・デッドラインで編成がもっとも狙っていたのが、このエマニュエル・クラセだったのです。ただ、これもクラセの賭博容疑調査の離脱により、トレード話が潰えてしまい、結果、ブルペンを補強することなく終わったのでした。おそらく情報を得ていたのでしょうけど、よく獲得に至らなかったなというところでしょう。

MLBキャリアどころか、人生の危機

 投手のさじ加減で賭博師が儲かるというのは、もはや抱き込まれる運命しかない種類の賭博でしかありません。ましてやMLBはポリシーとして賭博に厳しいことも重々承知していたはずなのになぜ、こんなことに関与したのか、今ひとつ意味がわからない事件となりました。

 100年前の1919年のブラックソックス事件(八百長事件)では選手の一人が家族を含めてその筋の人に脅迫されていたという事実がありました。今回の件は、そもそも賭博師と交流を持ったきっかけは何だったのかも明るみになればと思っています。そうでないと、普通の神経ならこんな危ない橋を渡ろうと思いません。今すぐの数万ドルを得るか、将来にわたる数ミリオン・ドルを複数年で得るかと考えた場合、どう考えても後者でしょう。

 仮に積極的に関与し、「試合の中の1球くらいなら・・・」と思って関与していたとしたら、野球に対する冒涜ですし、厳しく非難されてしかるべきですが、これは最終的な判決が出ないことには軽々にコメントできないです。

 ただ、判決が出る前の現時点でも、MLBのポリシーは厳しいので、2人のキャリアは終了してしまう可能性が高いです。

2人のプロフィール

 エマニュエル・クラセはもともとはアマチュアFAとしてパドレスとサイン(2015年)。2018年5月にトレードでレンジャーズへ移籍。2019年12月にレンジャーズがコーリー・クルーバーを獲得したトレードでインディアンズに移籍。インディアンズ移籍後の2020年5月にPEDs(禁止薬物)の使用で80試合のサスペンションを受けたことがあります。覚醒したのは、そのサスペンション明けの2021年からです。

 ルイス・オルティズは2018年にアマチュアFAとしてパイレーツとサイン。2022年にパイレーツでメジャー・デビューし、先発に従事。2024年12月にパイレーツ、ブルージェイズ、ガーディアンズとの3チームトレードでガーディアンズに移籍。キャリアハイは2024年で37試合で15試合に先発し、7勝6敗、ERA3.32でした。

 お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

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