2023年のポストシーズンで好成績
現地2025年12月14日、アリゾナ・ダイアモンドバックスは2025年のトレードデッドラインでレンジャーズにトレードした右腕のメリル・ケリー(Merrill Kelly)と合意。一旦はチームから手放した右腕をこのオフ、再び買い戻すという形となりました。
メリル・ケリーは、2023年にDバックスがワールドシリーズに進出した際、ポストシーズン全体で24イニングでERA 2.25という素晴らしい成績を残し、ファンから絶大な信頼を寄せられました。今回はフロント・オフィスの方もそのメリル・ケリーのちからを再び取り戻したいと思ったようです。
契約内容
Dバックスとメリル・ケリーの合意内容は以下の通りです。
- 2年/$40M (2026-27)
現時点ではフィジカル・チェックの結果待ちです。また、Dバックスは40manロスターがフルなので、メリル・ケリーのためにスペースを空けねばならず、そのロスター調整の時間も含めてオフィシャルになるまでは数日かかるかもしれません。
近年のアジア・リーグからの成功の先駆者
今オフ、トロント・ブルージェイズは海外のKBOで圧倒的な結果を出したコディー・ポンスと3年/$30Mで契約。この契約はメジャーでの活躍が半ば約束された実績がある中での契約で、その先駆者的な存在がメリル・ケリーです。
メリル・ケリーは2010年のアマチュア・ドラフトでレイズから8巡目で指名されてプロ入り。しかし、メジャーに上がることなく、2015年から2018年まで計4シーズン、KBOでプレー。この4シーズンで48勝34敗、ERA 3.86をマークしたメリル・ケリーは2018年12月にDバックスと2 年/$5.5M (2019-20) + 2021 $4.25M クラブオプション($05Mバイアウト)、2022 $5.25M クラブオプション(バイアウトなし)でサイン。
いかにも「様子見」というような内容の契約でサイン。とりあえずのメジャーへの道を手繰り寄せたのでした。この契約はロベルト・スアレスが阪神からパドレスに移籍する際の様子見契約とも似ていて、ロベルト・スアレスもメジャー1年目の契約は1年/$11M (2022)+ 2023 $5M プレーヤー・オプション($1Mバイアウト)という内容でした。
M・ケリーのメジャーのキャリア
そしてメリル・ケリーは2019年にDバックスでついにメジャー。30歳のシーズンでした。
メジャーでのルーキーシーズンは32試合に先発し、ERAはほぼリーグ平均の4.42に留まりましたが、13勝をマーク。何より183.1 イニングに登板したのが光りました。14敗を喫したものの、このシーズン、Dバックスは2位に躍進(85勝77敗)。その原動力となりました。
パンデミックの影響で短縮された2020年シーズンはわずか5試合の先発登板にとどまりましたが、3勝2敗、ERA 2.59と好成績をマーク。
2021年はDバックス自体が低迷。52勝110敗と100敗超えの苦しいシーズンで、メリル・ケリーも21試合の先発で7勝11敗、ERA 4.44と2019年よりも低下。ただ、このチーム状況の中、よく7勝を上げたものだという面もあります。
2022年は33試合/200 IP超え
2022年はDバックスのベストピッチャーとして復活を遂げ、7月には6試合に先発して4勝0敗、ERA 1.31を記録。いずれの試合も6イニング以上を投げたこともあり、7月のNL POM(Pitcher of the Month)を受賞。2022シーズンは先発では皆勤とも言える33試合に登板。これはNLでトップです。さらに、200.1イニングでついに200イニング超えも達成。このIPはNLでは5位でした。そして成績は13勝8敗、ERA 3.37。素晴らしいシーズンにしました。ただ、2022年のDバックスは74勝88敗で勝率5割を大きく下回り、4位でフィニッシュ。
Dバックスがワールドシリーズに進出した2023年。メリル・ケリーは30試合、177.2イニングに登板し、12勝8敗、ERA 3.29、SO187をマーク。もちろん、この成績がDバックスのポストシーズン進出を後押ししたことは言うまでもありません。上述のようにポストシーズン全体で24.0イニングを投げ、ERA 2.25を記録。NLDS、NLCSそしてWSとそれぞれのシリーズで1勝ずつをマーク。
特にワールドシリーズではレンジャーズ打線を相手に7回を被安打3に抑えるなど目覚ましい活躍を見せました。これがDバックスのファンを釘付けにしたイベントとなります。
2024年はILに入る
2024年、メリル・ケリーは4月23日に右肩大円筋の負傷によりIL入り。これが長引いて5月2日に60 days ILへ移管。復帰したのは8月11日でした。
2024年は13試合、73.2 IPに限られ、5勝1敗、ERA 4.03と復帰後はいい成績は残しました。ただ、彼がシーズンの大半を欠場したことでDバックスはポストシーズンを逃してしまいました。
2025年は復調
2025年、メリル・ケリーはヘルシーさを取り戻し、7月までの4か月で22試合に先発し、9勝6敗、ERA 3.22と好投。
7月31日、Dバックスは3人のマイナーリーガーとの交換で彼をワールドシリーズで戦ったレンジャーズにトレード。この年、Dバックスはプレーオフの可能性はあったがゆえに、何故出したのかよくわからないトレードでした。
レンジャーズ移籍後は10試合の先発で3勝3敗、ERA 4.23にとどまり、レンジャーズもポストシーズンに向け、ラッシュをかけることが出来ませんでした。
2025年は32試合の先発で184.0イニングを投げ、12勝9敗、ERA 3.52、SO 167、ERA+は117をマーク。
今回、Dバックスに復帰ということになりました。Dバックスの編成トップのマイク・ヘイゼンはいいGMなのですが、メリル・ケリーのトレードだけは今でも意味がわからないディールであります。
Dバックスのローテーション
Dバックスはエースのザック・ケリーがFAで抜けてはいるのですが、割と良いメンバーが揃いました。
- ブランドン・ファート
- ライン・ネルソン
- メリル・ケリー
- マイケル・ソロカ
- エドゥアルド・ロドリゲス
左腕がE・ロッドしかおらず、そのE・ロッドもどこまでヘルシーなのか今ひとつわからない不安なもあるのですが、E・ロッドもヘルシーなら、この5人はイニング・イートも期待出来、かなり優秀。
コービン・バーンズも数えたいところですが、彼はもう2027年の復帰と考えたほうが良いですね。ちなみにジョーダン・モンゴメリーもトミー・ジョン手術を受けてリハビリの最中でしたが、彼は7月のトレード・デッドラインでブルワーズにトレード。そしてこのオフ、ブルワーズからFAとなっています。
それこそ打線が援護すれば、Dバックスのローテーションはかなり乗って行けるメンバーかと思います。
後はブルペンです。AJ・パックもUCLの手術でもはや2027年と考えていいでしょう。クローザーを誰にするのか、チーム最多登板となったジャレン・ビークスに任せるのか?ベテランのライアン・トンプソンに任せるのか?あるいは補強するのか?このあたりは注目です。ブルペンでも豪腕のジャスティン・マルチネスがトミー・ジョン手術のリハビリ中。早ければ2026年の後半の復帰と言われていますが、2027年の復帰として見ておく方が良いでしょうね。
それにしてもDバックスはトミー・ジョン手術のリハビリのメンバーが帰ってきたら、恐ろしい事態になりますね!強いです。
お読みいただき、ありがとうございました。




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