2021年以来のプレーオフ
現地2025年9月26日、直前のブルージェイズとの3ゲームシリーズで大健闘したレッドソックスはプレーオフまでマジックNO.1でファイナル・シリーズを迎えました。対戦相手は大失速しているデトロイト・タイガース。
ALEとWCの状況
このゲーム前までのALイーストとALセントラル、そしてワイルドカード・シリーズ進出の状況は以下の通り。
【ALワイルドカード争い】(現地2025年9月25日終了時点)
- ヤンキース:91勝68敗 ←PS進出決定及び地区優勝の可能性あり
- レッドソックス:87勝72敗
- タイガース:86勝73敗 ←ガーディアンズ(86勝73敗)と勝率で並んでいる
- アストロズ:85勝74敗
ALE & C
ヤンキースはALイースト首位のブルージェイズと91勝68敗と並んでおり、最後の対戦はオリオールズとのシリーズ。一方、ブルージェイズはレイズとの対戦で、ともにどちらかの勝ちと負けが同日に発生すると順位が入れ替わります。直接対決はブルージェイズが8勝5敗と勝ち越しており、仮に勝率が並んでフィニッシュした場合、ブルージェイズに分があります。
ALセントラルはガーディアンズとタイガースは勝率で並んでいますが、直接対決は7勝4敗でガーディアンズがリードしているので、ガーディアンズが地区首位という状況。ALイーストと同じでどちらかの勝ちと負けが同日に発生すれば順位が入れ替わり、仮に同率でフィニッシュした場合はガーディアンズに分があります。
(ALWC)レッドソックスは決戦!
レッドソックスはこのゲームに勝てばワイルドカード・スポットでのプレーオフ進出が決定。また、仮に敗れたとしてもアストロズも敗れるとやはりプレーオフ進出が決定します。
一方、タイガースはレッドソックスに勝って、なおかつアストロズも敗れるという条件で最低でもポストシーズン進出が決定します。
そのアストロズはエンゼル・スタジアムでエンゼルスとの対戦で、西海岸ですから3時間遅れのスタート。ガーディアンズはレンジャーズとの対戦をクリーブランドで行い、クリーブランドはボストンとの時差は無く、試合開始時間も7:10PMなのでつまりは同時スタート。
レッドソックス、タイガースとも眼の前のゲームに集中して行うことになります。
決戦はタイガースが先制
というわけで、この日はレッドソックスにとっての決戦だったのですが、その大事な3ゲームシリーズの初戦を任せたのは、ラファエル・デバースとのトレードで獲得したカイル・ハリソンでした。一方のタイガースは今季好調のケイシー・マイズ。
カイル・ハリソン、コントロールに苦戦
そのカイル・ハリソンは立ち上がり、ボールのキレはあったものの、コマンドが定まらず、ボール先行の投球が続き、1アウト満塁でライリー・グリーンを迎えるというかなり危ない状況を作ります。
しかし、肝心なところでまとめたカイル・ハリソンはライリー・グリーンから三振を奪い2アウト。最後はアンディー・イバニエスをLFライナーに仕留めてピンチを脱します。このLFライナーはジャレン・デュランの好守が光りました。
不安定なカイル・ハリソンは3イニングまでなんとか抑えていたものの、ついに4回表に捕まってしまいます。
4回表、先頭のアンディー・イバニエスに四球を出した後、ディロン・ディングラー、パーカー・メドウズに連続安打を許し、ノーアウト満塁のピンチ。
ここでハビアー・バイエスにRFへ痛烈なシングルを許してまずは1失点。さらに、ジャーマイ・ジョーンズにはLFへ痛烈な2ベースを打たれ、2人が生還して、計3失点。カイル・ハリソンはここで降板。3イニングで被安打7、失点3、BB 3、SO 6という内容でした。この被安打でよく3点で凌いだとも言えますが、それは彼が残したランナーをジャスティン・スレイトゥンとスティーブン・マッツが片付けたため。
この日、アレックス・コーラは早めのスイッチを試みました。
ケイシー・マイズが好投
さらにレッドソックスはタイガース先発のケイシー・マイズの完成された投球に苦戦。
2回裏には吉田選手のシングルをきっかけに、ナサニエル・ロウのグリーン・モンスター直撃の二塁打で2アウト2、3塁のチャンスを作りましたが、つづくウィリャー・アブレイユの捉えたゴロは2Bの正面に行き、得点ならず。
このチャンスを逃した後は1点を奪ったのみで、7回途中まで8三振を喫しました。
吉田、絶好調!
レッドソックスの得点ですが、3点を奪われた直後の4回裏にアレックス・ブレグマンが二塁打を放って出塁すると、4番DHの吉田選手がCFへゴロで弾き返して、ブレグマンを迎え入れ1点を返します。
吉田選手はこの日、2回裏にチーム初ヒットを放ち、4回裏にはこのタイムリー。さらに7回裏にも先頭打者としてLFへクリーン・ヒットを放って得点にも絡み、3安打の猛打賞。
7回裏は、ランナーとしても素晴らしく、直後にロミー・ゴンザレスが1Bライナーを放ったのですが、打球の位置と1Bの位置をよく確認していた吉田選手はこのライナーで1Bに戻り、ダブルプレーを免れました。この地味なベースランニングは大きかったと思います。これが守備も走塁も雑だった昨年との違いかと思います。
ローマン・アンソニーが不在の中、最も復調してほしかった吉田選手が非常にホットな状態になり、ブルージェイズ戦を含めた直近7試合の成績は、.433/.469/.633、HR 1、RBI 5に。頼もしい存在となっています。
ラファエラがサヨナラ安打!
1-3としたレッドソックスは、ブルペンが踏ん張ってこの点差をキープ。すると、7回裏に上述の吉田選手がシングルでチャンスメイクすると、1アウトからセダン・ラファエラのあわやHRという二塁打で1アウト2、3塁のチャンスを作り、ナサニエル・ロウの犠牲フライで吉田選手が生還して2-3の1点差に。
8回表、ギャレット・ウィットロックが三者三振を奪い、流れを作りました。
8回裏、レッドソックスはカルロス・ナルバエスがシングルを放ってチャンスメイクすると、ネイト・イートンが代走に。そのイートンは2塁への盗塁を成功させると送球が逸れる間に3塁を陥れ、つづくジャレン・デュランのタイムリーで生還。ついにレッドソックスが3-3の同点に追いつきます。ただ、この後はストーリーがダブルプレーを打ってチャンスを潰すと一気に勝ち越しとはなりませんでした。
9回表はアロルディス・チャップマンが登板。先頭のジャスティン・ヘンリー・マロイに二塁打を許し、グレイバー・トーレスには1Bへの進塁打を許し、1アウト3塁のピンチを招きますが、ワンシール・ペレスとスペンサー・トーケルソンから連続三振を奪い、ピンチを脱出。サヨナラのお膳立てを作りました。
9回裏、タイガースのマウンドは勝手知っているトミー・ケインリー。先頭の吉田選手は1Bゴロに倒れ、出塁出来ませんでしたが、ロミー・ゴンザレスがCFへラインドライブのシングルを放ってチャンスメイク。
すると、続くセダン・ラファエラが2球目のチェンジアップをCFのウォールに直撃する大飛球を放ち、これで1塁ランナーのロミー・ゴンザレスが長駆ホームイン。レッドソックスが4-3でサヨナラ勝ちを納め、見事にワイルドカード・スポットでのポストシーズン進出を決めたのでした!
打撃の好不調はあったものの、年間を通じて守備に打撃に走塁にとすべてにおいて貢献したセダン・ラファエラが最後に決めたのは良かったと思います。
1B不在の間、エイブラハム・トロも頑張りました。彼は今マイナーで、PSもロスターに残れるかどうかわかりませんが、賞賛に値する活躍だったと思います。
フェンウェイ・グリーン
なお、この日、チームは評判の良いフェンウェイ・グリーンのシティ・コネクト・ジャージを着用。このグリーンでは6勝5敗。その6勝はすべてサヨナラ勝ちで、そのうち5勝は金曜日の勝利ということになりました。
大苦戦の2025年、粘りを発揮!
レッドソックスは今季、FAでアレックス・ブレグマンを獲得。守備力強化を試みたものの、これがチームのスター選手であるラファエル・デバースのトレードに繋がりました。またそのアレックス・ブレグマンもオールスター前の1ヶ月半をハムストリングスを傷めて欠場。得点力を失ったレッドソックスはローマン・アンソニー、マーセロ・マイヤーのプロスペクトで補おうとしましたが、当然、上がったばかりでデバースとブレグマンの穴を埋めることは出来ず、5月は11勝17敗、6月は14勝12敗と苦戦しました。
しかし、7月に入り、メジャーのボールに慣れてきたローマン・アンソニーはタイムリーを量産。
さらに8月に入って打球も上がりはじめ、とんでもないHRバッターの片鱗を見せ始めたところ、追い込みとなる9月初めに左腹斜筋を傷めて離脱。
またも得点力を失ったレッドソックスはこれで終わりかと思いました。相変わらず、ブルペンも勝ちを吹き飛ばす。
しかし、今季はギャレット・クロシェという大エースを獲得。これが何より大きかったです。それにギャレット・ウィットロックとアロルディス・チャップマンが堅牢な投球を継続。ローテーションの柱としっかりした終盤を作ったレッドソックスは、やがて打撃陣もトレバー・ストーリーに当たりが戻り、アンソニー不在をカバーし始めました。
そしてアンソニー不在でなんとか機能してもらいたかった吉田選手が上述の通り、ブルージェイズ戦で大活躍し、この日も3安打。元の吉田に戻りました。
ポストシーズンも厳しい戦いは続きそうですが、ワイルドカードとALDSはどうやら馴染みのヤンキースかブルージェイズが相手になりそうです。2021年以来のALCS、そして2018年以来のワールドシリーズ制覇を目指します。
この日の結果
なお、この日、ALイーストはブルージェイズとヤンキースがともに勝利し、92勝68敗同士で直接対決で勝ち越しているブルージェイズの首位は変わらず。
ALセントラルはガーディアンズ、タイガースがともに敗れ、こちらも86勝74敗同士で直接対決で勝ち越しているガーディアンズが首位のままです。
また、ワイルドカードではアストロズがエンゼルスに敗れました。
【ALワイルドカード争い】(現地2025年9月26日終了時点)
- ヤンキース:92勝68敗 ←PS進出決定及び地区優勝の可能性あり
- レッドソックス:88勝72敗 ←PS進出決定
- タイガース:86勝74敗 ←ガーディアンズ(86勝74敗)と勝率で並んでおり、まだ地区優勝の可能性あり
- アストロズ:85勝75敗
残り2試合、タイガースとガーディアンズ、ブルージェイズとヤンキースの首位争いが面白そうですね。このどちらかがワイルドカードに入ってきます。
お読みいただき、ありがとうございました。
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