ついにノーラン・アレナドの移籍が決定
現地2026年1月13日、2024年オフから1年にも亘り、トレードの噂の渦中にあったノーラン・アレナドのディールがついに決定。
スーパー3Bのノーラン・アレナドはアリゾナ・ダイヤモンドバックスの3Bとして残りのキャリアを全うすることになりそうです。
そしてDバックスはこのスーパー・スターを格安でゲットすることに成功。打撃には翳りが見えるものの、衰えていないディフェンスを2年間キープできるという大きなメリットを得ています。
トレード概要
まずはトレードの概要ですが、このトレードで動くのは2人で1:1ですが、アレナドのサラリーの一部はカージナルスと元いたロッキーズが引き受けるという内容です。
DバックスGet
- ノーラン・アレナド(Nolan Arenado/35)3B | B/T: R/R | GG賞 10度
- キャッシュ・コンシダレーション(STL:$26M + COL: $5M)
カージナルスGet
- ジャック・マルチネス(Jack Martinez/23)RHP | 2025 Dバックス8巡目指名
Dバックスは2年でたった11Mドルの負担
上述のキャッシュ・コンシダレーション(STL:$26M + COL: $5M)の内訳となる根拠を説明しましょう。それにはまず、アレナドの現契約を知る必要があります。
N・アレナドの現契約
ノーラン・アレナドの現契約は当時在籍していたコロラド・ロッキーズと2019年2月にサインした延長契約。当時からアレナドは出たがっていたんですが、ロッキーズが半ば金でねじ伏せたという内容。だからかなり高いです。この姿勢が結果的にロッキーズのここ数年の大苦戦の原因でもあったので、フロントが一掃されました(記事)。
- 8 years/$260M (2019-26) +2027 延長契約($15M)
- サラリー:
- 2019:$26M |2020-24:$35M/年| 2025:$32M |2026:$27M
- 2021年終了後にオプトアウト可
- フル・ノートレード条項あり
- アウォード・ボーナス設定あり
- サラリー:
- 2021年2月にSTLへトレード
- 一旦、ノートレード条項を撤回
- ロッキーズがアレナドのサラリーを計$51Mまで負担することに合意
- 2021年 $35Mのうち約$14.5MをCOLが負担
- 2023年 $35Mのうち$16MをCOLが負担
- アレナドがオプトアウトを行使しない場合(行使しなかった)
- 2022年 約$5.5MをCOLが負担
- 2024-26年 $5M/年 x 3年をCOLが負担
- 2021-2026年のサラリーの一部を繰延払いにすることに合意
- 2021年 $35Mのうち$20Mを繰延(2022-31に受取)
- 2022-2026年: $6M/年を繰延 (2032-41に$3Mずつ受取)
- 2021年終了後のオプトアウトを保留し、2022年終了後に変更(行使せず)
- STLが2027年のサラリー:$15Mで延長契約
さすがルーキーから10年連続のゴールド・グラバーです。もはや情報量が多過ぎますが、これがアレナドと一緒に付随するキャッシュ・コンシダレーションと関連してきます。
残債
2026年からの契約の残りは$27M(2026) + $15M (2027)の計$42M。
このうちロッキーズ-カージナルス間でトレードが成立した時の合意内容がまだ活きており、2026年の$27Mのうち$5Mをロッキーズが負担します。
そしてカージナルスはなんと計$26Mを負担!
よって、Dバックスの2年間の負担はたった$11M($42M-$5M-$26M)!!
そしてDバックスはこの$11Mを2026年に$5M、2027年に$6Mで負担するのみ。資金が豊富とは言えないDバックスがこのトレードに合意したのはこのような金銭的なメリットがあったのでした。そしてこんな格安でスーパー・ディフェンスを2年間も使えとは!!
DバックスのPOBOはマイク・ヘイゼンです。
2025年、HOUへのトレードを拒否したアレナド
トレードの噂の渦中にあったノーラン・アレナドは2024年オフ、アストロズへのトレードがほぼ決まりかけていました。しかし、アレナドはトレード拒否権を行使。ディールは破綻となりました。これはアレナドの中で2019年オフに大騒ぎとなったアストロズのサイン・スティーリング問題が引っかかったためと報じられています。
アストロズはその破綻の直前にカイル・タッカーをカブスにトレードし、いわば梯子を外された形となり、結果、2025年は地区タイトルをマリナーズに奪われました。
アレナドの打撃
ただ、そんなノーラン・アレナドはオフェンスが降下しています。
近年では2022シーズンに打率.293、OBP.358、SLG .533、HR 30を記録。しかもエリート・ディフェンスもキープしてNL MVP候補に名を連ねる活躍を見せました。2023年は打率.266、OBP.315、SLG .459を記録し、前年より大きく落ちたとは言え、それでもリーグ平均を上回っていました。しかし、2024年には打率.272、OBP .325、SLG .394、HR 16と平均程度にまで落ち込み、2025年は打率.237、OBP .289、SLG .377、HR 12と大幅に落ち込みました。HR 12本は2013年のルーキーイヤー以来、フルシーズンで最低の数字です。
また2025年は内容も悪くBB率6.4%で、これも2015年以来最低。SO率 11.2%はMLB平均の21.2%よりは大幅に低いものの、打撃のあらゆる面の衰えは隠しきれません。
これが移籍してどれくらいリカバーするかが課題でもあります。
ただ、守備は依然として素晴らしいものがあり、ここはDバックスとしては大きなメリットです。
Dバックスの内野
Dバックスは3B補強を真剣に考えており、アレックス・ブレグマンの争奪戦にも参加。ただ、これは資金的に難しいこともあり、割と早めに候補から消えました。ただ、3Bを探しているのは事実で、アレナド獲得により、SSのヘラルド・ペルドモとともに三遊間は鉄壁レベルとなります。
ジョーダン・ローラーはOFへ
Dバックスには2023年にデビューし、コービン・キャロルに次いで躍動する野球を展開する候補でもあったジョーダン・ローラーが育っていないのが痛いところでもありました。
2023年のポストシーズンのロスターにも入れ、英才教育を施していたのですが、2024年はマイナーで1年を過ごし、2025年も打率.100台。どうも打撃がついてきておりません。
本来なら、ローラーが3Bの候補でしたが、Dバックスはトレードで補ったということになります。これにより、ジョーダン・ローラーの3Bはほぼない形となり、そのフィジカルの良さを活かしてOFにコンバートになる可能性が出てきました。
DバックスはOFのジェイク・マッカーシーをロッキーズにトレードしたこともあり、そういう編成で動いているように思います。
(STL)ジャック・マルティネスとは
カージナルスが獲得したジャック・マルチネスは2003年3月12日生まれの22歳。2026年は23歳で開幕を迎えることになります。ドラフトは2025年のDバックスの8巡目指名。身長は6フィート4インチ(193cm)、右投げ右打ち。
ディビジョン3から1へ転校
出身はアリゾナ州立大学ですが、そこに至るまでに2度転校しており、アメリカの大学の転校は日本の転校とは少し感覚は違うと思います。日本では引き抜きを防止する上で出場制限がかかる可能性が高いですが、アメリカは転校してすぐに試合にも出られます。
テキサス州のハイスクールを出た後は地元のトリニティー大学(NCAAディビションIII)に2年間在籍。NCAAのディビションIIIはスポーツよりも学業に重点をおいています。1年生 (freshman)の時は4勝1敗、ERA 6.66。2年生(sophomore)ではほぼリリーフのみで6勝0敗、ERA 2.12を記録。
3年生(Junior)でディビジョンIのルイジアナ・ラファイエット大(Louisiana-Lafayette)に転校。ディビジョンIはスポーツにもかなり力を入れており、ドラフトされるメジャー・リーガーの出身校のほとんどはこのレベル。ジャック・マルチネスはここでもほぼリリーフで登板し、ERA 4.40。
そして4年生(Senior)で同じくディビジョンIのアリゾナ州立大学(ASU)に転校。同大学のニックネームはサンデビルズ(Sun Devils)。ここで大学での唯一の経験となった先発を体験。フルシーズンで15試合、77.1イニングに登板し、6勝4敗、ERA 5.47、SO 110。
特徴として特筆すべき点は奪三振率で32.3%と非常に高いです。ただ、BB率は9.7%とこちらはコントールが課題となっています。
先発投手として4シームは93-95mphを投げ、MAXは97mphですが、この4シームのコントロールがかなり荒れているという状態。変化球は80mph台前半のスライダーと78-82mphのチェンジアップ、そしてカーブも操ります。
プロ未デビュー
どうして大学時代のことをメインに書いたかというとまだプロデビューしていないからです。オールスター・ウィークの7月半ばにドラフトが行われ、大方の選手はそのままルーキー・リーグかシングルAのショートシーズンでプロデビューを迎えて、2ヶ月ほどプレーします。
たまにそのプロとしての試運転期間を経ずに年をまたいでプロデビューするケースがありますが、ジャック・マルチネスがまさにそうです。これには色々な個人的な事情もあってのことでしょう。
そんなマルチネスのトレード前はDバックスのトップ30に入っていませんでした。プロデビューしていませんからね。現時点の評価は奪三振の多さから言ってリリーフの方が適正があると見られています。リリーフも肝心なところで四球を連発するわけに行きませんから、コントロールを磨くところからスタートするでしょう。そうすると制球力が向上すればローテーションに入る可能性も。チェンジアップが良さそうなので面白そうです。カージナルスの育成がうまく行けばまさに宝くじ級!
カージナルスのメリット
カージナルスはアレナドを出して未デビューの宝くじ級のプロスペクトをゲットしたわけですが、カージナルスのメリットはこれだけではありません。
編成トップとなった元レッドソックスCBOのハイム・ブルームはこのアレナドの問題を金銭的に大きな負担を強いてでもやり遂げたかったのは、3Bにプロスペクトを起用したかった点にあります。つまり若手選手にチャンスを与えたかったと。
3Bの候補はノーラン・ゴーマン、トッププロスペクトのJJ・ウェザーホルト、あるいは元トッププロスペクトで三塁手から外野手に転向したジョーダン・ウォーカーらがおりますが、おそらくJJ・ウェザーホルトをNO.1に考えているでしょう。
STLは大型トレードを連発
カージナルスは今オフ、立て続けにベテランのトレードを成立させています。そのうちの2人がレッドソックスとのディールでソニー・グレイ、ウィルソン・コントレラスが動きました。これは中地区に明るいレッドソックスCBOのクレイグ・ブレスローと元レッドソックスCBOのハイム・ブルームとの関係もあるでしょう。
そしてアレナドで3人目。2025年にNL中地区4位に沈んだ伝統クラブが2026年にどう巻き返すのか、興味深いところです。
そしてDバックスはドジャースという高い壁にどう挑むのか、面白くなってきましたね。
アレナドのアウォード
最後にノーラン・アレナドの強烈なアウォードを列挙しておきます。
- NLオールスター選出:8度 (2015-2019 & 2021-2023)
- NLゴールドグラブ賞:10年連続受賞 (2013-2022)
- NLプラチナグラブ賞: 6年連続受賞(2017-2022)
- NL シルバースラッガー賞受賞:5度 (2015-2018 & 2022)
- NL トータル・ベース1位:2度 (2015 & 2016)
- NL 最多二塁打:1度 (2017: 43)
- NL 最多本塁打:3度 (2015:42 |2016: 41 | 2018: 38)
- NL RBI 1位:2度 (2015:130 | 2016: 133)
- 20HR以上のシーズン: 8度 (2015-2019 & 2021-2023)
- 30HR以上のシーズン: 7度 (2015-2019, 2021 & 2022)
- 40HR以上のシーズン: 3度 (2015, 2016 & 2019)
- 100 RBI 以上のシーズン: 7度 (2015-2019, 2021 & 2022)
- 100 Runs Scored 以上のシーズン: 4度 (2016-2019)
お読みいただき、ありがとうございました。




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