ローリングスのゴールドグラブ賞
現地2025年11月2日、ローリングス・ゴールドグラブ賞の受賞者が発表されました。
ローリングスのゴールドグラブ賞は選考総数25パーセントはSABR(セイバー)の守備指標によって決定され、残り75パーセントは30人の監督全員と各チームから最大6人のコーチの投票によって決定されます。
ユーティリティー部門だけはSABRとローリングスが算出した守備計算式によって、別の方法で決定されております。
初受賞が8名!
今回、キャリア初受賞となったのはナ・リーグ4名(メイスン・ウィン、ピート・クロウ=アームストロング、ローガン・ウェブ、ハビアー・セノーハ)、ア・リーグ4名(ディロン・ディングラー、マイケル・ガルシア、タイ・フランス、セダン・ラファエラ)の計8名。
もしもア・リーグで初受賞となったマックス・フリードも入れれば9名ですが、守備のいいマックス・フリードはキャリアとしてはすでにブレーブス時代に3度受賞しております。
National League
- C: パトリック・ベイリー(Patrick Bailey)ジャイアンツ (2年連続)
- 1B: マット・オルソン(Matt Olson)ブレーブス (3)
- 2B: ニコ・ホーナー(Nico Hoerner)カブス (2)
- 3B: キブライアン・ヘイイエス(Ke’Bryan Hayes)パイレーツ/レッズ (2)
- SS: メイスン・ウィン(Masyn Winn)カージナルス (初)
- LF: イアン・ハップ(Ian Happ)カブス (4年連続)
- CF: ピート・クロウ=アームストロング(Pete Crow-Armstrong)カブス (初)
- RF: フェルナンド・タティス・Jr.(Fernando Tatis Jr.)パドレス(2)
- P: ローガン・ウェブ(Logan Webb)ジャイアンツ (初)
- UT: ハビアー・セノーハ(Javier Sanoja)マーリンズ (初)
American League
- C: ディロン・ディングラー(Dillon Dingler)タイガース(初)
- 1B: タイ・フランス(Ty France)ツインズ/ブルージェイズ(初)
- 2B: マーカス・セミエン(Marcus Semien) レンジャーズ(2)
- 3B: マイケル・ガルシア(Maikel Garcia) ロイヤルズ (初)
- SS: ボビー・ウィット・Jr.(Bobby Witt Jr.) ロイヤルズ(2年連続)
- LF: スティーブン・クワン(Steven Kwan)ガーディアンズ (4年連続)
- CF: セダン・ラファエラ(Ceddanne Rafaela)レッドソックス (初)
- RF: ウィリャー・アブレイユ(Wilyer Abreu)レッドソックス (2年連続)
- P: マックス・フリード(Max Fried)ヤンキース (4: ATL:3/NYY:1)
- UT: マウリシオ・ドゥバン(Mauricio Dubon)アストロズ (2)
Finalist
ファイナリストは各ポジションで3名ずつ選出され、そのうち1名が受賞者。残り2名を掲載しておきます。
| Pos. | NL | AL |
|---|---|---|
| C | カーソン・ケリー(CHC) ルイス・トーレンス(NYM) | アレハンドロ・カーク(TOR) カルロス・ナルバエス(BOS) |
| 1B | ブライス・ハーパー(PHI) スペンサー・スティール(CIN) | ヴラディーミル・ゲレロ・Jr.(TOR) カルロス・サンタナ(CLE/CHC) |
| 2B | ハビアー・エドワーズ(MIA) ブライス・トゥラン(MIL) | アンドレ・ヒメネス(TOR) ルイス・レンヒーフォ(LAA) |
| 3B | ライアン・ミクメーン(COL-NYY) マット・ショー(CHC) | アーニー・クレメント(TOR) ホセ・ラミレス(CLE) |
| SS | ニック・アレン(ATL) ムーキー・ベッツ(LAD) | コーリー・シーガー(TEX) テイラー・ウォールズ(TB) |
| LF | トミー・ファム(PIT) カイル・ストワーズ(MIA) | ワイアット・ラングフォード(TEX) タイラー・ソダーストーム(ATH) |
| CF | ビクター・スコット2世(STL) ジェイコブ・ヤング(WSH) | カイル・イズベル(KC) フリオ・ロドリゲス(SEA) |
| RF | コービン・キャロル(AZ) サル・フレリック(MIL) | アドリス・ガルシア(TEX) キャム・スミス(HOU) |
| P | マシュー・ボイド(CHC) デービッド・ピーターソン(NYM) | ジェイコブ・デグロム(TEX) ルイス・セベリーノ(ATH) |
| UTL | ミゲル・ロハス(LAD) ジャレッド・トリオーロ(PIT) | アーニー・クレメント(TOR) ダニエル・シュニーマン(CLE) |
ブルージェイズのアーニー・クレメントは3Bとともにユーティリティーでもファイナリストに残っておりました。
そしてワールドシリーズGm7で旬となったミゲル・ロハスもファイナリストには入っておりました。今年はキケ・ヘルナンデスのファイナリスト入りはならず。
OAA NO.1はボビー・ウィットとPCA
ポジションを問わずMLBの全選手の中で最多のOAA:Outs Above Average(+24)を記録したのが、SSで2年連続受賞となったボビー・ウィット・Jr.(KC)とCFで初受賞となったPCAことピート・クロウ=アームストロング(CHC)。この二人の守備は観客を魅了しますが、実際、数字も素晴らしいのが出ておりました。
アウト・アバブ・アベレージ(OAA)は、野手が記録した全ての個々のプレーの累積効果であり、処理したプレーの数とその難易度を考慮した守備スキルを守備範囲ベースで測る指標。
例えば、アウト確率25%のプレーを捕球した野手は+0.75、処理に失敗した野手は-0.25となるような計算で内野手と外野手では計算方法が異なりますが、平たく言うなら、どれだけ難しい打球を処理したか?という指標でもあります。
優れたセダン・ラファエラ
レッドソックスのセダン・ラファエラはユーティリティーでもありますが、CFのファイナリストとなり、見事に初受賞。OAA+21を記録。これを上回るOFはカブスのピート・クロウ=アームストロングだけ。文句なしの受賞です。
ラファエラのDRS(Defensive Runs Saved))は+20で、MLBのOFの中でスティーブン・クワンに次いで2位。
またOutfielder Jump Leaderboardでは平均よりも5.3フィート(161.544cm)も優れた数値を記録。これはMLB NO.1で、2位がPCAの4.4。やはりラファエラはぴょんぴょん飛んでいるイメージ通りでもあります。
DRS NO.1はアーニー・クレメント
なお、DRS NO.1は受賞ならなかったブルージェイズのアーニー・クレメントでした。
ワールドシリーズでも大活躍でトロントの打撃のつなぎのキーマンでもあったアーニー・クレメントは守備でも素晴らしかったです。
ワールドシリーズではミズノのMマーク時代のグラブを使っていたのが印象的でもあります(ローリングスの主催なのにミズノを出してすみません)。それにしてもミズノはMマークに戻せませんかね??
| 順位 | 選手名 | ポジション | DRS |
|---|---|---|---|
| 1 | アーニー・クレメント(TOR) | (主に3B/2B) | 22 |
| 2 | スティーブン・クワン(CLE) | LF | 22 |
| 3 | セダン・ラファエラ(BOS) | CF | 21 |
| 4 | キブライアン・へイエス(PIT/CIN) | 3B | 19 |
| 5 | パトリック・ベイリー(SFG) | C | 19 |
| 6 | マイルズ・ストロー(TOR) | CF | 18 |
タイガースからは2016年以来
ALキャッチャーとして初受賞となったタイガースのディロン・ディングラーはクラブ史に名を残したイバン・ロドリゲス(2004年、2006-07年)、ランス・パリッシュ(1983-85年)、ビル・フリーハン(1965-69年)らの伝統を引き継いでの受賞。
驚くことにタイガースの選手のGG賞受賞は、2016年に2Bとして受賞したイアン・キンズラー以来のこと。あらゆるポジションを通じてそれ以来初の受賞者となりました。
捕手の争い
ディロン・ディングラーは2025年が初のフルシーズン。目覚ましい活躍を見せ、捕手のスタットキャストの指標であるBlocks Above Averageでは(+10)。、Fielding Run Valueは(+12)を記録。
実は両指標ともALではアレハンドロ・カークの方が上で、BAAは+21でダントツ、Fielding Run Valueも1位はジャイアンツのパトリック・ベイリーの31でダントツではありましたが、ALではアレハンドロ・カークが22でトップ。
Catchers CS Above Avrerageという盗塁死が平均よりどれくらい上回っているかの指標では、ディロン・ディングラーは両リーグを通じて10位(+4)で、アレハンドロ・カークは28位(0)。結構、見栄えのするプレーなので、この印象もあったかもしれません。ちなみにこの指標でのNO.1はメッツのルイス・トーレンス(+12)でダントツ。2位はALでトップであったレッドソックスのカルロス・ナルバエス(+9)でした。
なお、捕手の多くの指標でリードしていたのはジャイアンツのパトリック・ベイリーでした。ALはアレハンドロ・カーク受賞でもおかしくなかった数値でした。
AL RFはW・アブレイユ
AL RFはレッドソックスのウィリャー・アブレイユが2年連続受賞に!DRSが+15でこれはALではアドリス・ガルシア(+16)に次いで2位とかなり優秀で、実際、アブレイユの守備は安心感しかありません。
ただ、懸念だったのは2025年は怪我で出場試合が少なかったのです(115試合)。ゆえに今季はさすがに無理だろうなと思っていたら、フィナリストになり、2年連続受賞に。
どうも試合数などは100試合をある程度超えていれば、対象ということのようですね。アドリス・ガルシアは135試合、ルーキーのキャム・スミスは134試合。
守備のいいガーディアンズはRFと1Bが痛いところだったので、ALのRFはファイナリストも含めた相対比較でアブレイユが受賞したというところでしょうか。
ランナーが進塁を躊躇するアーロン・ジャッジがファイナリストにも入っていませんでした。
アンディー・パヘスが入らず
なお、筆者は今季のNLのOFはドジャースのアンディー・パヘスが受賞するものと思っておりました。好プレーを連発していましたので。ただ、NL CFはPCAがいますので、受賞は難しくとも、せめてファイナリストには入っているだろうと思っていたら、そこも漏れておりました。残念。パヘスも球際に強すぎる選手かと。
たまに「おや?」と思うこともありますね。
筆者などはMLBをよく見ている方とは言え、さすがに全試合を最初から最後まで隈なく見ているわけではありませんから、見落とし、現場でないとわからない視点があるのは事実で、見る側のアップデートも必要でしょうね。
お読みいただき、ありがとうございました。


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