デバースが環境が変わり、変化
現地2025年6月17日、ジャイアンツでのデビュー戦で勝ち越しRBIダブルを放ち、早速、ジャイアンツの周辺に良い火を灯したラファエル・デバース。ジャイアンツにはとてもいい効果が出始めております。
BOSにも感謝
その試合前、ジャイアンツはラファエル・デバースのプレス・カンファレンスを実施。編成トップのバスター・ポージーも臨席して、背番号16のユニフォームとともにラファエル・デバースの入団を正式に発表しました。
ラファエル・デバースは、2023年にレッドソックスとサインし、2024年から始まった10年/$313.5M (2024-33)の延長契約の2年目を迎えていていましたが、両者の間に緊張が高まり、最終的に現地2025年6月15日にジャイアンツへのトレードが決定。見事なまでの離婚劇に至りました。
後日談としてジャイアンツの他に、ブルージェイズ、ブレーブスなども手を上げていたことがわかっております。
ドミニカ共和国出身のラファエル・デバースは2013年にアマチュアFAとして16歳でレッドソックスとサイン。ここまでのプロ生活において「レッドソックスに感謝し、ジャイアンツでの新たなスタートを楽しみにしている」と語りました。
また、「レッドソックスでのことは過去のことだ。僕は一日一日を大切にする人間だし、ここにいる今、ベストを尽くすつもりだ。彼らが僕をここに連れてきた理由は、勝つためだと思う。僕は勝つことと競争することが好きな人間なんだ」とも語っております。
どこでも守る!と宣言
BOSとの離婚劇
レッドソックスとの離婚劇の詳細は上記のリンクにも記載しておりますが、概要だけ書きますと、今オフにレッドソックスはFAでアレックス・ブレグマンとサイン。守備にも穴があったレッドソックスはブレグマンの守備力と勝負強さに期待してサインしたのでした。それにラファエル・デバース自身も2024年は12個のエラーを記録し、内野の左側を固めたかったレッドソックスはデバースに対し、ブレグマンに3Bを譲り、DHロールに就くことを要請。DHに関しては吉田選手の肩の手術の具合も関係しておりました。
デバースは当初はDHへの転向を拒否。打者は守備でもリズムを作ると言われますから、打撃オンリーになることに拒否感が出るのは選手としても当然のことです。
ただ、最終的にデバースはクラブ側に譲歩。新しい役割を引き受けました。開幕直後はこの変更が影響してか、大スランプに陥ったデバースでしたが、その後すぐに回復。ALのRBIタイトルを争うほど、ホットな状態に戻したのでした。
ところが、新たな問題が発生。1Bのトリストン・カサスがシーズン序盤で膝の腱を断裂。シーズン・エンドとなり、1Bに空白域ができてしまったのです。この緊急事態にクラブ側は今度はデバースに1Bへの着任を要請。
あとはご想像通りで、どちらの側のスタンスでもそれぞれの言い分は通る状態で、両者の考えは平行線をたどり、状況は悪化の一方。レッドソックス側もぷるスペクト達への影響も考慮し、厳しい姿勢で望むことを決断し、ついには離婚劇に至った・・・という流れです。
レッドソックスにとってラファエル・デバースは生え抜きのスター選手であり、2018年のワールドシリーズ・チャンピオンの最後に残ったメンバーでした。ムーキー・ベッツ、ザンダー・ボガーツはすでに西海岸で活躍しているのはご承知の通りです。せっかく長期契約を結んで「デバースだけは守った」と思ったフロント・オフィスですが、結果的には最悪の結果になってしまったのです。
ボブ・メルビンの構想
デバースは早速、フィールド上の話もしています。監督のボブ・メルビンはデバースとの話し合いについてこのように述べました。
「今日、彼(デバース)と少し話をした。彼は、あなた(メルビン)がプレーしてほしいところならどこでもプレーするし、打ってほしいところならどこでも打つよ 」と言ったと。
そしてデビュー戦にDHを任せることを明かしたメルビンはデバースに1Bの準備もさせるとも発言。
ジャイアンツは3Bのマット・チャップマンが右手を傷め、あと数週間の欠場が見込まれる一方、現在、3Bの穴を埋めているケーシー・シュミットの出来には満足しており、「デバースは今のところDHと1Bを行き来することになりそうだ」とも。
また、メルビンはもう少し1Bのウォーミングアップをさせてから、近々1Bでの先発も考えているとも。
またデバースは「チームが必要とするもの、彼らが望むものは何でも、僕はここでチームを助ける」と。さらに「僕はチームの一員であり、どこに置かれても100パーセントの力を発揮するつもりだ。僕はチームの一員に過ぎない。発言権はない。彼らは僕の上司だから、彼らが僕をどこに置いてもプレーするつもりだ」と。
この100点満点の回答にレッドソックス・ファンは、「1B、守るんかい!」と総ツッコミを入れたいところですが、環境や状況が変われば、考え方が変わるのも当然で、逆に言うとレッドソックスのフロント・オフィスのアプローチの仕方がいかに硬直させたかということもわかります。
まさか、BOS戦で1B!?
ジャイアンツはガーディアンズのシリーズ後はレッドソックスと対戦。このシリーズはかなり注目されておりますが、ひょっとしたら、ジャイアンツはこのシリーズでデバースを1Bに起用するかもしれません。
さすがにそれをやれば、「当てつけ」にしか捉えられず、BOS-SFG間で新たな火種を生みそうではありますが、忖度しないアメリカなら十分にあり得ることです。
デバースが嬉々として1Bを守っていたら、BOSファンはもう泣くしかありませんね。
デバースを大歓迎しているポージー
デバースが加入したことでジャイアンツの長打力と得点力は間違いなくアップします。
デバースについてポージーはこのように評価。
「偉大な選手は世代を超越する能力を持っており、ラファエル・デバースはそのような選手の一人だ」と。また、「勝負がかかったときに究極の感覚を持つ選手だ。周りのチームメイトを良くするタイプの選手でもある。ラファエル・デバースは男だ。彼はトップにいた。彼はすべてを勝ち取った。彼がワールドシリーズ優勝をサンフランシスコに持ち帰る手助けをするのを見るのが待ちきれない」と。
また、OBのバリー・ボンズとも会ったデバースは「彼に会うだけで、僕はすでにかなり良くなっていると思う」との楽しそうな冗談も出しました。
一方、BOSは打線が早速沈黙
新しい出会いがあり、新しいスタートを切っているデバース。
一方、デバースが抜けたレッドソックスはマリナーズとの初戦は2-0で勝ち、ローマン・アンソニーにも一発が飛び出し、良い傾向も出ましたが、Gm2では0−8で敗戦。
このゲームは移籍後もずっと苦戦が続いているウォーカー・ビューラーが、カル・ラレーにグランドスラムを打たれるなどして、2イニング目に5失点。さらに、4イニング目にもカル・ラレーにタイムリーを打たれて3失点を計上し、序盤で試合が決まってしまいました。
打線に迫力なし
先発がゲームを壊せば、どのクラブでも試合をひっくり返すのは容易ではありませんが、引き算になっている今のレッドソックスにそれを跳ね返す力はなく、この日はなんとたったの2安打でシャットアウト負け。BBも2つ選んだだけで、打線の落ち込みはかなり深刻。
ジャレン・デュランとマーセロ・マイヤーのHR性の大きな当たりがもし入っていれば、状況は変わっていたかもしれませんが、まるで迫力がありませんでした。ブライアン・ウーには思う通りに腕を振らせていたような状況でした。
ビッグリーグ馴れの期間であるローマン・アンソニーやマーセロ・マイヤーの成長を促すしかありませんが、その間にコンテンダーでいられる保証はありません。
FAで獲得したトレバー・ストーリーにも頑張ってもらいたいですが、もはや守備に期待するしかなさそうです。
吉田の復帰も画策中
レッドソックスの打線の解決策はまずはアレックス・ブレグマンが戻ってくることが大事。マーセロ・マイヤーが上がってきたことでブレグマンのリハビリのペースが緩やかになった傾向はありますが、彼の復帰が待たれます。
また、ウィリャー・アブレイユの復活も待たれるところです。
そしてレッドソックスはDHのポジションに吉田選手の復活を画策しております。これはもう当然の流れではあります。
吉田選手は現状では打撃はOKと言われています。肩を手術したのでリハビリ中ですが、スローイング・プログラムは120フィート(36.576 メートル)まで進んでいるようです。
60 Days ILの問題
ただ、ネックなのはレッドソックスはロスターを空けるため、吉田選手を5月22日付けで60 Days ILに移行させている点です。
規定では60 Days ILに登録された場合、「復帰するまでに最低60日間はILに登録され続けなければならない」とされており、一度それに登録されると、「この期間を短縮したり、60日よりも早く復帰させたりするオプションはない」とされています。
吉田選手が60日間の満了の7月22日より早く出場する機会は筆者の知る限りはありません。
知っていることとしては、もしもリハビリ出場を行う場合は、開始から20日以内にアクティベート、つまりILから外す必要があるのですが、果たしてそれが60 Days ILの期間未達の場合であっても適用できるのかは不明です。
ひょっとしたら、何か但し書きのような規定があるかもわかりませんが、どうなのでしょうか?
吉田選手の60 Days ILへの移管も編成の判断の誤りでした。すべてにおいて後手後手のレッドソックスではありますが、果たして復活するのかどうか?
何かこのままトレード・デッドラインで「売り」のチームになりそうなのが怖いです。
ただ、いい面も出てくるかもわかりませんので、状況を静観ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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