ついにメジャーでABSが稼働
現地2026年3月25日、ヤンキース@ジャイアンツ戦で始まった2026年のレギュラーシーズンですが、今季のフィールド上の大きな変更点であるABSチャレンジ・システムがついに稼働を開始しました!
ABSとはAutomated Ball-Strike の略です。
ソニー製のホークアイを使用
このABSシステムのテクノロジーはホークアイ(Hawk-Eye)・トラッキングカメラを使用します。
このカメラはソニー製のコンピューター・ビジョン・システムで、MLBの全球場に設置された12台の高解像度カメラを使用してボールと選手の動きを高精度(±0.1インチ)で追跡。
2020年に導入されたこのシステムは、データ分析のプラットフォームであるStatcastを支え、投球、ヒット、動きをリアルタイムで分析することで、選手育成、放送を支援。そしてABSシステムもこのホークアイを使用します。
これまでのトラックマンは?
それまでMLBでは2010年代からトラックマン(TrackMan)が導入されておりました。
トラックマンはレーダーを用いて「点」でデータを捉え、打球・投球の速さや回転数を計測。それらは非常に正確でした。ただ、現在はトラックマンに代わり、画像認識技術であるこのホークアイ(Hawk-Eye)を用いたシステムへ移行しています。なお、トラックマンはまだマイナーの球場などで採用されています。
ホークアイは選手の基本的な動きだけでなく、選手の腕、脚、バットといった骨格構造をマッピングし、単なる「塊」ではなく、メカニクスやスイング軌道の詳細な分析を可能にします。
データはGoogle Cloudにアップロードされ、放送局やファン向けに高度な指標を提供。ABSの判定を球場の大画面に即座に示すのもこのシステムの一環です。
また、ABSは3Dイメージングと連携して投球を追跡し、ストライクゾーンを越えたかどうかを判定。
さらにこのシステムはフィールド全体をカバーし、打球の軌道、選手の速度、守備位置をより高精度で追跡します。
ゾーンの認識
このホークアイがどのようにストライク・ゾーンを認識するか?ですが、ABSのストライクゾーンは二次元で、長方形。幅はホームプレートと同じ17インチ(約43cm)で、高さは打者の身長に基づいて設定されます。
ストライク・ゾーンの上部が打者の身長の53.5%、下部が打者の身長の27%という設定。
重要な点として、打席での立ち姿勢がストライクゾーンの認識に影響を与えることが挙げられます。つまり、各打者のストライクゾーンは、特定の構えではなく身長に基づいて測定されるため、ややしゃがみ込む打者はストライクゾーンの上限と下限が普段よりも高く感じ、逆に直立した打者は下限が低く感じるケースがあります。
Today is the day the Automated Ball-Strike (ABS) system officially gets implemented across the PCL, including right here in OKC.
— Alex Freedman (@azfreedman) May 17, 2022
Below is the reference sheet MLB has provided.
We salute our new robot overlords. pic.twitter.com/xpVR2MFyPM
特別イベントのスタジアムではABSはなし
ABSのシステムは30クラブのフランチャイズ・スタジアムで導入されていますが、以下のゲームはシステムが導入されていないゆえに、ABSチャレンジ・システムなしにゲームが行われます。
- 2026年のメキシコシリーズ
- フィールド・オブ・ドリームスのゲーム
- リトル・リーグ・クラシック
- その他、特別なサイトで行われるゲーム(例えば2025年のスピード・ウェイ・クラシックなど)
運用方法
さてゲームでの運用のルールです。
チャレンジの当事者
ストライクかボールかの判定を申請する人は限られており、打者、捕手、投手のみです。リプレー検証などは権利を行使するかダグアウトから指示がありますが、ABSはダグアウトからの申請はなし。
頭をタップ
そしてリクエストする場合は、頭をトントンとタップしてアピールします。すると約15秒で球場のスクリーンに映し出されるという流れです。
(重要)1試合につき2回のチャレンジ
とれも重要な点ですが、ABSでは各クラブは9イニング制の試合で2回のチャレンジ権を有します。そしてチャレンジに成功すれば1回分のチャレンジ権を保持できますが、失敗した場合はそれで1回を消失。
9回でチャレンジ権を使い果たしたとしても、延長戦で1回ずつチャレンジ権が追加されます。
投手のチャレンジを禁止しているクラブも
難しいのは使い時です。ストライク・ボールの微妙な判定は1試合につき何度もあったりしますが、このシステムは2回しかチャンスがありませんので、やたらめったらチェレンジするのは危険。
理想は、試合の最も重要な局面でのみで行使すること。
ただ、本当に難しくてどの局面が重要な局面となるかを正確に予測するのは不可。9回の時もあれば、1回に使いたいときもあります。
ゆえにクラブ内で何らかのルールを設けることは有効です。
マイナーリーグの一部のチームは、例えば、1イニング目はチャレンジ権を行使できないようにしたり、守備側では投手ではなく捕手のみがチャレンジ権を行使できるようにしたりしています。投手は自分の投じた球に対して甘くなる傾向がありますから。
2025年のトリプルAでのケースでは前半4イニングよりも後半5イニングでチャレンジの件数が大幅に多かったのも当然と言えるでしょう。
ABS1号はNYYのJ・カバイェーロ
現地2026年3月25日の開幕戦では早速、ABSチャレンジ・システムによる判定の見直しが行われました。
チャレンジしたのはヤンキースのSS、ホセ・キャバイェーロ。彼が使用したのは4回表の打席。
ストライク判定に異議を唱えましたが、これはアンパイアーが判定が正解。ヤンキースは4回で1つ目の権利を失いました。
お読みいただき、ありがとうございました。

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