”No Hitter”アラート点灯試合!
4連敗中のドジャースは直近7試合のチーム打率が.246で、MLB16位。チームRBIはかなり悲惨で、18はMLB29位。ピッチングの方はどうかというと、チームERA 4.83はMLB 20位, チームBBは23なのですが、これはワースト7位。
湿った打線に加え、ディフェンスもピリッとしていない状態ゆえに、負けが混むのは当然という状態であります。そんな厳しい状態のドジャースは、チーム全体に漂うフラストレーションを打ち砕く何かインパクトのある好事が欲しいところでした。つまり浮上のきっかけ。
現地2025年9月6日、そのインパクトの好事が発生しました!!エースの山本由伸投手がオリオールズを相手に素晴らしい投球を披露。MLB.com、あるいはアプリは試合中、5回あるいは6回で投手がノーヒットノーランを継続していると、スコアに”NO HITTER”というアラートが出ます。この日、山本由伸投手がその”NO HITTER”アラートを点灯させたのです!
山本由伸、快調な滑り出し
この日はすべての球種のコマンドが素晴らしかったです。
1、2回を三者凡退に抑えた山本由伸投手。3回裏に先頭のディラン・ビーバーズに四球、ワイルドピッチもあり2塁への進塁を許し、さらにサミュエル・バサーヨにも四球を出して1アウト1、2塁のピンチで、ジャクソン・ホリデーを迎えますが、ここを落ち着いて4-6-3のダブルプレーに打ち取り、ピンチを脱出。終わってから振り返ると、この日直面した最大のピンチがこれでした。
中盤の4回、5回も三者凡退で片付けた山本由伸に、周囲がざわざわし始めます。
ドジャース、先制
そんな快調な山本由伸投手に対して、ドジャース打線は初回から積極的にしかけます。オリオールズの先発は元マイアミの左腕、トレバー・ロジャース。まず、前日に登板したばかりの大谷選手が、フルカウントからシンカーをRFへラインドライブで弾き返すシングルを放ち、チャンスメイク。ただ、この後はムーキー・ベッツが三振に倒れ、テオスカー・ヘルナンデスがダブルプレーに打ち取られて無得点。
しかし、3回表、先頭のミゲル・ロハスが2ベースを放ってチャンスを作ると、四球と送りバントで1アウト2、3塁としたドジャースは、大谷選手が打席に。大谷選手はヒットという訳にはいきませんでしたが、3塁ランナーを迎え入れるSSゴロを放ち、ドジャースがまずは1点を先制。
4回表、フレディー・フリーマンがトリプルを放ってチャンスを作るも、これを活かせなかったドジャースは5回表、まるで3回表を再現するかのようにミゲル・ロハスが2ベースとチャンスを作り、キケ・ヘルナンデスのシングル、そしてベン・ロードヴェットの送りバントで1アウト2、3塁で大谷選手の打席に。願ってもない場面でしたが、ここは大谷選手はスライダーで空振り三振。しかし、つづくムーキー・ベッツがSSへの内野安打を放って追加点。2-0とします。
アラート点灯!
6回裏も山本由伸投手は三者凡退に抑え、ここまで弾数は84球。ノーヒットノーランのアラートが点灯します。100球は超えそうでしたが、非常にいいペースでした。
ドジャース打線は7回表にムーキー・ベッツのタイムリー・トリプルで3点目をゲット。この1点も山本由伸投手に勇気を与えたと思います。
7回裏、ジェレマイア・ジャクソン、ガナー・ヘンダーソン、ライアン・マウントキャッスルと三者凡退に打ち取った山本由伸投手。7回を終えて球数は95球。
山本由伸投手はここからさらに精度が上がり、8回裏は2つのフライアウトと三振で難なく打ち取り、8回を終えて球数は104球。いよいよ、ノーヒットノーランが現実味を帯びてきます。
あとアウト1つでノーヒットノーランを逃す!
9回裏、山本由伸投手は先頭のアレックス・ジャクソンを3球三振に打ち取り、まず1アウト。つづくコビー・メイヨーは初球を簡単にフライを打ち上げ、CFフライで2アウト。あとアウト1つで大記録を達成です。
ここでバッターはリードオフのジャクソン・ホリデー。初球は97mphの4シームで1ストライクを奪うと、2球目のスプリットがアウトコースにはずれてボール。3球目の4シームは98.2mphを記録するもここもゾーンを捉えず、2-1カウント。5球目、カットボールはインコースのゾーンを捉えたのですが、これが失投だったと思います。反応しやすいバットの起動に置いてしまったという投球でした。
この打球が右中間スタンドのギリギリに入るHRとなり、山本由伸投手のノーヒットノーランは潰えました。残念でしたが、素晴らしい投球でした。
球数112球の熱投で、8.2 IPを被安打1、失点1、ER 1、BB 2、SO 10、HR1。山本由伸投手はここで降板。この降板は妥当です。ノーヒットノーランが崩れた後は緊張の糸が切れたように続けざまに連打を浴びるケースがあるので。
オリオールズの積極さに助けられる
この日、オリオールズは「早打ち」というより、とにかく「積極的」でした。どうやらチームの方針だったようでファーストストライクはほぼスイングをかけてきて、これが最後まで続きました。
山本投手はこの日、コマンドが抜群だったので、そこを逆手に取ってミスショット、あるいは空振りをうまく取り、非常に効率的な投球を繰り広げ、球数をセーブし、9回までノーヒットノーランを継続。
ただ、最後のジャクソン・ホリデーだけは1ストライク目をあえて見逃しました。2-1カウントとなり、ストライクを投じたところが甘くなったということに。
ドジャース、大惨事に直面
INCONCEIVABLE pic.twitter.com/toHSImUiRt
— Codify (@CodifyBaseball) September 7, 2025
ゲームはホリデーのHRで3-1となり、ドジャースは残り1アウトを奪うため、ここでブレイク・トライネンを投入。もはやこれでオリオールズも万事休すかと思われました。
ところが、ブレイク・トライネンはジェレマイア・ジャクソンに左中間への2ベースを打たれると、ガナー・ヘンダーソンにはスウィーパーがひっかかり、死球。さらにワイルドピッチと四球で満塁のピンチを作ります。
この後、コルトン・カウザーにも四球を与え、押出でスコアは3-2。
ブレイク・トライネンはノーヒッターが決まったと思ったのかもしれません。通常運転ではありませんでした。また、マウンド上では鉄仮面でしたが、明らかに何かに苛立っている様子。
結果、トライネンは残りアウトを取れず、逆転のランナーを残してマウンドを後にしました。
ここで出てきたのがタナー・スコット。スコットは1-1カウントから97.4mphの強い4シームを投じ、これがゾーンにも入っていなかったのですが、エマニュエル・リベラにCF前に運ばれ、ジ・エンド。3塁ランナーのガナー・ヘンダーソン、2塁ランナーのホルヘ・マテオをホームインし、オリオールズが4-3でサヨナラ勝利を納めたのでした。
ドジャースはもう悪夢としか言いようのない、負け方をしたのでした。
この日、パドレスはロッキーズに勝利したため、ドジャースとパドレスのゲーム差は1.0に。NLウエストはまたわからなくなってきました。
お読みいただき、ありがとうございました。
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