デビン・ウィリアムス、堂々とヒゲも整えられる
現地2025年12月1日、ニューヨーク・メッツはヤンキースからFAとなっていた”エアー・ベンダー”ことデビン・ウィリアムス(Devin Williams)と3年契約で合意しました。
2025年は本来の力を発揮できなかったデビン・ウィリアムスですが、ブルワーズ時代の投球が戻れば、メッツにとって大きな力となります。メッツはヤンキースと違ってフェイシャル・ポリシーは厳しくないですからこれで心置きなくデザインしたヒゲを披露することが出来ますね。
契約内容
メッツとデビン・ウィリアムスの合意内容はご覧の通りです。
- 3年/$51M (2026-28)
- サイニング・ボーナス:$6M (このうち$2M分は分割で受取り)
- 2026:$15M | 2027:$15M | 2028: $15M
- 計$15Mが繰延払い($5M/年)
- トレード・アサイン・ボーナス: $1M
デビン・ウィリアムスの2025年のサラリーは調停を避けて1年/$8.6Mでしたので、今回の契約で単価も上がりました。
また、$51Mの額面を3年で割るとAAV(Annual Average Value)は$17Mになりますが、サラリーのうち毎年$5Mは繰延払いとなりますので、贅沢税へのインパクトとは少し薄らぎ、約14.8Mになると思われます。
デビン・ウィリアムスはヤンキースからQOをオファーされていないので、メッツは贅沢税の計算を考慮するのみです。なお、贅沢税のペナルティーによるドラフト・ピック権への影響はあります。
メッツの贅沢税
2025年は閾値$241Mに対して、約338.3Mとまたしても強烈な超過を見せたメッツ。ドジャースに次いでMLB NO.2のサラリーです。メッツは2022年から4年連続で超過。
2026年は$244Mが閾値ですが、デビン・ウィリアムスの約$14.8Mを加えると、現時点で$274M強という計算。5年連続超過は決定的です。
フアン・ソトの$51Mとフランシスコ・リンドーアの$34.1M、そしてトレードで獲得したマーカス・セミエンの$24Mなどがあるわけですから、超過を防ぐことはまず不可能ではあります。
千賀投手にも影響
なお、メッツのPOBO(President of Baseball Operations)のデービッド・スターンズは今オフは盛んに千賀投手のトレードを示唆しており、今回のデビン・ウィリアムスの獲得で、それがさらに現実味を帯びてきました。というのも、千賀投手の贅沢税上のインパクトは$15Mで、もしもトレードされれば、今回のデビン・ウィリアムスの金額と相殺される形になるからです。現時点の$274M強は2人のサラリーが乗っておりますが、千賀投手がトレードされれば、贅沢税上はその$15Mは減ります。と言っても交渉次第ですので、千賀投手のサラリーをある程度メッツが肩代わりした場合は$15M満額が減額される訳ではありません。
とは言え、メッツはまだまだこれから$30M以上/年のインパクトを放つ大型選手の獲得も視野に入れているでしょうから、贅沢税上のサラリーはこれからさらに上がる見込みです。
デビン・ウィリアムスとは?
デビン・ウィリアムスは1994年9月21日生まれの31歳。
ドラフトは2013年で、ブルワーズから2巡目指名を受けてプロ入り。当初は先発投手としてメジャーへの準備を行っていましたが、マイナーで頭角を現すまでに時間がかかりました。
2019年にリリーフに転向してからは飛躍し、同年内にダブルAからメジャーに昇格。
さあ、これからフルシーズンへ!というときに、2020年にコロナパンデミックが発生。またしてもマイナーへ戻るのか?とも思われましたが、このシーズンのデビン・ウィリアムスはメジャー屈指のセットアッパーとして大きく飛躍しました。60試合中、22試合に登板。27.0イニングを投げてERAはなんと0.33を記録!このアンタッチャブルな成績により、NL ROY(新人王)とReliever of the Year(最優秀リリーフ賞)を受賞。
2022年途中からクローザーへ
2021年まではセットアッパーとして登板していたデビン・ウィリアムスですが、2022年のトレード・デッドラインでブルワーズは単価が上がってきたジョシュ・ヘイダーをパドレスにトレード。
クローザーがいなくなったブルワーズはデビン・ウィリアムスをクローザーとして起用するようになったのでした。2022年は15セーブをマーク。ただ、ブルワーズは2022年もコンテンダーではありましたが、大守護神の放出で現場は大混乱となり、結局、このシーズンは2018年から続いていたポストシーズン連続出場記録を4でストップさせる事態に。ただ、2023年からは再びポストシーズンに出場し続けております。
当初クローザーに難色を示していたデビン・ウィリアムスでしたが、2023年はフルシーズンでクローザーを務め、61試合中、49試合を締め、36セーブをマーク。オフには2度目のリリーバー・オブ・ザ・イヤーを受賞。クローザーとして確固たる地位を獲得しました。
そんな矢先、2024年3月、デビン・ウィリアムズは背中の疲労骨折を患い、IL入り。復帰したのは7月28日で、この年は22試合で14セーブにとどりました。
そして2024年12月、ブルワーズはまたしてもサラリー・シェッドを実施。単価の高くなったデビン・ウィリアムスをヤンキースにトレード。そして今オフに至るというところです。
2020年から高品質投球を継続
デビン・ウィリアムスは2020年から2024年まで驚異的なERAを記録。
- 2020: ERA 0.33 (27.0 IP)
- 2021: ERA 2.50 (54.0 IP)
- 2022: ERA 1.93 (60.2 IP)
- 2023: ERA 1.53 (58.2 IP)
- 2024: ERA 1.25 (21.2 IP)
この4シーズンの平均ERAは1.70です。
2025年は苦戦
そんなデビン・ウィリアムスですが、ヤンキースでの2025年はかなり苦戦。67試合、62.0 イニングに登板したものの、ERAは自己ワーストの4.79。
これが年齢を重ねた要素と見るべきか、あるいは圧の強いヤンキースで本領を発揮出来なかったと見るべきか、メッツはどうやら後者と見て獲得に動いた模様です。
実際、ヤンキースを出てのびのびする選手は数多くおりますから、ヘルシーであれば2026年は苦戦するどころか、大いに活躍する可能性があります。
メッツ、E・ディアスは追わず
メッツはクローザーのエドウィン・ディアスがFA。今回、デビン・ウィリアムスが入ったことでもうエドウィン・ディアスは追わないと見ていいでしょう。
まだ市場にはロベルト・スアレスもおり、メッツがさらなる強力なブルペン補強を試みる可能性はありますね。
エアー・ベンダー(空気を曲げる)と称されるほど威力のあるチェンジアップを投げるデビン・ウィリアムスですが、2026年は期待したいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。







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