最後の最後に最高のゲーム展開
現地2025年11月1日、ドジャース@ブルージェイズのワールドシリーズGm7は最後の最後に最高の展開に。まさに熱戦で現地では日付を超えて11月2日にゲームセットという状況に。
ブルージェイズが先制したものの、ドジャースはミゲル・ロハスが9回表に同点HRを放ち、さらに守備でも球際の強さを見せつけました。決勝HRを決めたのはウィル・スミス。延長11回表の2アウトからの勝ち越しHRでした。
そして、最後にマウンドにいたのが山本由伸投手。Gm6で先発したばかりで連投でしたが、ブルージェイズ打線を無失点に。山本由伸投手は名実ともに世界一の投手になったと言っていいでしょう!
ドジャースの連覇
ドジャースが2024年に引き続き、ワールドシリーズを制覇。ドジャースのワールドシリーズ制覇はこれで計9度目。直近6年で3度目という強さ。
ワールドシリーズの連覇は1998年-2000年にかけてヤンキースが3連覇して以来のこと。さらにナ・リーグではレッズが1975年-1976年に連覇して以来49年ぶり。2000年以降は毎年のようにチャンプが変わっていましたが、どのクラブも資金が保たない中、ドジャースはそれに堪えたということでもあります。
スターティング
Gm7のスターティングです。
| # | Dodgers | Pos. | # | Blue Jays | Pos. |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Shohei Ohtani | DH | 1 | George Springer | DH |
| 2 | Will Smith | C | 2 | Nathan Lukes | LF |
| 3 | Freddie Freeman | 1B | 3 | Vladimir Guerrero Jr. | 1B |
| 4 | Mookie Betts | SS | 4 | Bo Bichette | 2B |
| 5 | Max Muncy | 3B | 5 | Addison Barger | RF |
| 6 | Teoscar Hernández | RF | 6 | Alejandro Kirk | C |
| 7 | Tommy Edman | CF | 7 | Daulton Varsho | CF |
| 8 | Enrique Hernández | LF | 8 | Ernie Clement | 3B |
| 9 | Miguel Rojas | 2B | 9 | Andrés Giménez | SS |
| Shohei Ohtani | P | Max Scherzer | P |
ドジャース
ドジャースはいつものメンバーでGm6と比べるとテオスカー・ヘルナンデスとマックス・マンシーの打順を入れ替えました。
テオスカー・ヘルナンデスは11-0
テオスカー・ヘルナンデスは元ブルージェイズですが、ロジャース・センターでのゲームはここまで3試合(Gm1/2/6)で11-0。ドジャー・スタジアムでの3試合は15-7、打率..467、HR 1と大当たり。この極端過ぎる成績に起用も迷うところ。相手投手がどうのというのでもなさそうです。アンディー・パヘスも当たっていない中、やはり一発が期待できるテオスカー・ヘルナンデスを出すしかないという感じです。
大谷は中3日
大谷選手は打撃との関連で、もう頭から使った方が良いと判断した模様。DHでのリリーフはWBCで実証済みとは言え、ゲーム途中でのウィームアップはちょっと大変です。Gm4で6イニング93球を投げた後、試合にも出ずっぱりで中3日での登板。
ブルージェイズ
ブルージェイズはGm6同様、ジョージ・スプリンガーがリードオフで入りました。また、Gm6最後の打席で佐々木朗希投手から死球を受けたアレハンドロ・カークは無事に出場。抜けたスプリッターでしたから、それほど影響はなかった模様。
ジョージ・スプリンガーばりに強烈なスイングを見せ、Gm6でも大暴れしたアディソン・バージャーが5番に上がり、ブレーキとなったドールトン・バーショウを7番に下げています。
マックス・シャーザーは史上4人目
なお、先発したマックス・シャーザーはキャリアの中でワールドシリーズGm7に登板するのはこれで2度目。前回はナショナルズ時代の2019年。
過去、ワールドシリーズGm7で複数回登板した投手は、セントルイス・カージナルスのボブ・ギブソン(3度: 1964/1967/1968)、ミルウォーキー・ブレーブスのルー・バーデット(Lew Burdette:1957/1958)、ヤンキースのドン・ラーセン(1957/1958)。マックス・シャーザーは彼らに次いで4人目ということに。
大谷、3回にビシェットに3ランHRを打たれる
大谷選手は1回表の打席でCFへのシングルを放った後の立ち上がり。次打者のウィル・スミスの1Bゴロで2塁でアウトとなり、ずっと塁に残っていたわけではありません。
その立ち上がり、ジョージ・スプリンガーにボール先行で3-0カウントとなった後、5球目の4シームが甘くなってしまい、LFにシングルを打たれて出塁を許します。ただ、この後、ネイサン・ルークはシンカーやスプリッターを使い三振に斬って取ると、ゲレロ・Jr.には100mph超えの投球を見せて三振。このとき、ジョージ・スプリンガーが2塁への盗塁に失敗し、三振ゲッツーで無失点。
2回裏は先頭のボー・ビシェットに四球で出塁を許すと、アディソン・バージャーにはインローの99.6mphの4シームをばっちりタイミングを合わされ、ラインドライブのRF前シングル。ノーアウト1、2塁でアレハンドロ・カークの打席に。かなり厳しい場面でしたが、初球をカーブから入るなど落ち着いた配球で2球目のインコースの4シームで詰まらせて1Bポップフライでまず1アウト。つづくドールトン・バーショウはスウィーパーで抜いてRFフライに打ち取り2アウト。
しかし、好打者アーニー・クレメントには100.1mphの4シームをこれまたバッチリのタイミングでRFに痛烈なシングルを打たれて2アウト満塁。もしもボー・ビシェットの左膝がヘルシーならここで1点を奪われていました。2アウト満塁でアンドレ・ヒメネスを迎え、ここは99mphの4シームで三振を奪い、このイニングも無失点。あまりにも4シームに合いすぎていたのが、気になりました。
ウォームアップが多いのではないか?との軽いクレームもつきました。
Mark Carlson talks about why Shohei Ohtani is being granted more warm up time in-between innings
— FOX Sports: MLB (@MLBONFOX) November 2, 2025
📺: #WorldSeries Game 7 on FOX pic.twitter.com/S4ZHAICwZ7
そして3回裏、先頭のジョージ・スプリンガーにスウィーパーをうまく対処され、これがLFへのシングルとなり、3イニング連続で先頭打者の出塁を許します。つづくネイサン・ルークには送りバントを決められ、さらにゲレロ・Jr.の打席ではスプリッターがワイルド・ピッチとなり、ジョージ・スプリンガーが3塁に進塁。犠牲フライで1点の状況となりました。
ゲレロ・Jr.は申告敬遠となり、1アウト1、3塁でボー・ビシェット。初球でした。スライダーがハンギングのような軌道となり、これをビシェットに完璧に捉えられ、打球はCFのウォール超え。3ランHRとなり、ブルージェイズが3点を先制したのでした。大谷選手はここで降板。2.1イニングで51球を投げ、被安打5、失点3、ER3、BB2、SO3、HR1。
この日は強めのボールを投げてはおりましたが、クセでもつかまれていたのか、ブルージェイズ打線のタイミングがピッタリと合うケースが多く、早めの降板に。確かに3イニングはストライクとボールがはっきりしていたというのもあり、疲れもあったのかとも思いました。
マックス・シャーザー、5回途中1失点の好投
良かったのが、マックス・シャーザーでさすがに修羅場をくぐってきたベテランという感じで落ち着いた投球で2回、3回は三者凡退。
4回表に先頭のウィル・スミスに2ベース、フレディー・フリーマンにシングルを許し、ノーアウト1、3塁のピンチを招き、さらにベッツからアウトを奪った後、マックス・マンシーに四球を出して1アウト満塁のピンチを招くも、当たっていないテオスカー・ヘルナンデスをCFへの浅い犠牲フライに打ち取り、1失点のみで凌ぎました。
マックス・シャーザーは4.1 IPで被安打4、失点1、ER 1、BB 1、SO 3という成績でした。シャーザーの後はルイス・バーランドを早くも投入。残り2アウトをきっちり取りました。
4回にベンチ・クリアー
大谷選手降板後はジャスティン・ロブレスキーをマウンドに送ったドジャース。4回裏、1アウトからアンドレ・ヒメネスに対し、インコースが3球つづき、死球を与えたところでヒメネスがロブにクレームを入れたことで両軍ベンチクリアーに。ただ、ここは大事にはならず。
そしてドジャースは2アウト1、2塁となったところでタイラー・グラスノーを投入。もうGm7なので、スペシャル・リレーです。そのグラスノーはゲレロ・Jr.を抑え、このピンチは無失点でした。スコアはブルージェイズが3-1とリードのまま。
ドジャースは6回表にクリス・バシットからムーキー・ベッツが四球を選び、マックス・マンシーがRFへシングルを放ち、チャンスメイク。テオスカー・ヘルナンデスの内野ゴロの間にムーキー・ベッツが3塁へ進塁。この後、トミー・エドマンが犠牲フライを放って1点を返し、スコアは2-3。地味に点差を詰めて行きます。
ブルージェイズが追加点(4点目)
しかし、ブルージェイズは6回裏、先頭のアーニー・クレメントがタイラー・グラスノーからシングルを放って出塁すると2塁への盗塁も決め、スコアリング・ポジションにランナーを進めます。ここでアンドレ・ヒメネスが3−2カウント後の6球目のスライダーを捉え、これが右中間を破る2ベースとなり、アーニー・クレメントが生還して追加点。4-2とリードを拡げます。
TOR:7回からイェサベージを投入
スペシャル・リレーを行ったのはブルージェイズもそう。ポイントとなると思えたトレイ・イェサベージを7回から投入してきました。7回表、ドジャースは先頭の大谷選手が四球で出塁するも、ウィル・スミスがCFフライ、フレディー・フリーマンがダブルプレーに倒れ、無得点。
M・マンシーがソロHR
しかし、ドジャースはエメット・シーハンが7回裏をきっちり抑えたその直後の8回表、1アウトからマックス・マンシーがイェサベージの高めに浮いたスプリッターを捉え、これが打った瞬間、HRとわかるRFへの深い一発となり、3-4と再び1点差に詰め寄ります。これが後に効いてきました。
ブレイク・スネルが登板
8回裏、ブルージェイズは先頭のアーニー・クレメントがエメット・シーハンから2ベースを放ってチャンスメイク。ドジャースはここでブレイク・スネルを投入。左のスネルがどこで出てくるかもポイントかと思ったのですが、終盤のここで出てきました。
この後、スネルはアンドレ・ヒメネスを3Bライナーに打ち取り、1アウト。ここはバスターで前進守備のマンシーにライナーが飛びましたが、マンシーがしっかりと対応。このプレーは驚きました。
この後、スネルはジョージ・スプリンガー、代打のデービス・シュナイダーから連続三振を奪い、3アウト。ドジャースはいよいよ最後の攻撃に。
ミゲル・ロハスが同点HR!
ブルージェイズのマウンドは8回途中からジェフ・ホフマン。ミズノのきれいなグラブが今日も輝いておりました。
ブルージェイズとしてはイェサベージに3イニングというプランもあったと思いますが、さすがに持ちませんでしたね。ALCSで最後を締めたのもジェフ・ホフマンでしたから、この日もそのリピートをというところでした。
ドジャースは8番のキケからのターンで大谷選手まで回ります。
その先頭のキケ・ヘルナンデスはスライダーの良いジェフ・ホフマンから空振り三振。キケはレッドソックス時代からスライダーで空振りというパターンが多く、ブルージェイズバッテリーは全てスライダーで攻めました。ブルージェイズはチャンプまであと2アウト。
ここで打席はミゲル・ロハス。ドジャース・ファンが思ったのはランナーに出て大谷選手につないでもらうこと。
そのミゲル・ロハスは初球、ジェフ・ホフマンの低めにするどく曲がるスライダーに全く合わずに空振り。ちょっとこれは厳しいかと思われました。しかし、ここからジェフ・ホフマンが2球連続ボールでその後もジェフ・ホフマンは低めに消えるようなスライダーを投じません。おそらく6球目のスライダーで決めたかったと思うのですが、これが抜けてしまいます。7球目、ジェフ・ホフマンが投じたスライダーはほぼハンギング・スライダーとなり、これをミゲル・ロハスがうまく対応。打球はライナーでLFスタンドに入るHRとなり、ドジャースが9回表に4-4の同点に追いつきます。これはちょっとしびれました。
ただ、この後、大谷選手、ウィル・スミスが倒れて勝ち越しならずに9回裏へ。
山本が登板!
9回裏、ブレイク・スネルは1アウトを奪うもボー・ビシェットにシングル、アディソン・バージャーに四球を与え、1アウト1、2塁となったところで、ロバーツ監督は前日に先発して6イニングを投げたばかりの山本由伸投手を起用。ドジャースとしては信頼出来る最後のカードを切ったということになります。
代わりばな、山本投手はアレハンドロ・カークに投じた2球目のシンカーが抜けてなんと四球。これで1アウト満塁の絶対的なピンチを迎えます。
ミゲル・ロハスが守備でも魅せる!
バッターはドールトン・バーショウ。当たっていないがゆえに不気味ではありました。とにかく低めに投じていた山本投手は4球目のスプリッターを打たせ、2Bゴロに。これに前進守備を敷いていたミゲル・ロハスがしっかりと対応。ただ、打球が強かったためややバランスを崩したものの、ホームへ送球。フォース・プレーでウィル・スミスが足を伸ばしてホームはアウト。2アウトとなります。
そしてつづくバッターは好打者のアーニー・クレメント。そのクレメントは初球のカーブを叩き、打球は左中間の長打コースに。これに対し、LFのキケが対応に走るものの、角度が悪く落球コース。ところが、これをエドマンに代わってCFに入ったアンディー・パヘスが前進守備から快速を飛ばして追いつき、非常に置いやすい角度で落下地点に到達し、キケと交錯しながらも捕球。
ドジャースは土壇場で球際の強さを発揮し、ブルージェイズにサヨナラを許さず。
10回表、ブルージェイズはセランソニー・ドミンゲスがマウンドに上がり、1アウト満塁の大チャンスを迎えるも、パヘスがSSゴロ、キケ・ヘルナンデスも1Bゴロに倒れて無得点。
10回裏、山本投手は、アンドレ・ヒメネス、ジョージ・スプリンガー、マイルズ・ストローを抑えて三者凡退。
11回にウィル・スミスが勝ち越しソロHR
11回表、ブルージェイズのマウンドはシェーン・ビーバー。ドジャースはミゲル・ロハスからの打席で、大谷、ウィル・スミスとつながるので、ここで得点を上げないと守りの面でも厳しくなる局面。
好守に活躍のミゲル・ロハスでしたが、アウトローの難しいスライダーを打たされてまず1アウト。続くバッターは大谷選手。しかし、ここも初球の難しいカットボールを打たされ、1Bゴロとなり2アウト。専攻のドジャースとしては裏の守りがあるので、なんとか勝ち越したいところ。
ここでバッターはウィル・スミス。ブルージェイズとしては当たっているウィル・スミスを避けるとむしろリスクが大きくなるので、ここはシェーン・ビーバーに頑張ってもらうしかありません。しかし、ここでシェーン・ビーバーは厳しいコースを衝いた余り、2-0カウントにしてしまいます。つづく3球目、スライダーが完全に失投。ハンギング・スライダーとなり、ウィル・スミスの打球はLFスタンドへ。ふらふらっと上がったのですが、飛距離は十分でした。
このウィル・スミスのソロHRでドジャースがついに5-4とリード。トロントのスタンドは静まり返ってしまいます。
最後はダブルプレー
11回裏、マウンドは山本投手。3イニング目です。山本投手は先頭のゲレロ・Jr.にフルカウントまで粘られ、6球目をLF線に弾き返される2ベースを打たれてしまいます。
この後、アイザイア・カイナー=ファレファが送りバントを決め、ゲレロ・Jr.は三塁へ。犠牲フライでも同点です。ここで長打のあるアディソン・バージャーの打席となり、山本投手は全球スプリッターを投じるもストレートの四球。1アウト1、3塁となります。
迎えるのはアレハンドロ・カーク。ただ、山本投手は肝が座っていて、カークを2球で追い込みます。これが良かったですね。3球目、スプリッターもベース盤上に投じ、タイミングも少し抜かれたカークの打球はSSのムーキー・ベッツのもとに。ムーキー・ベッツは打球処理そのまま2塁ベースを踏み、1塁へ送球。これがダブルプレーとなり、ゲームセット。
ドジャースが劣勢を挽回して見事に2連覇を達成したのでした。
テオスカー・ヘルナンデスは15-0
なお、テオスカー・ヘルナンデスはこの日、RBI 1をマークしたものの、結局、トロントではヒット無し。4試合で計15打数0安打とちょっとおかしな数字を叩き出しました。上述のようにドジャー・スタジアムでは強打だったので、対戦相手の問題ではなさそうです。これはちょっと謎です。
アーニー・クレメントはPSで30安打
なお、好打者のアーニー・クレメントはメジャー5シーンズ目で初ポストシーズンでしたが、ALDSからの通算安打はなんと30安打!これは1つのポストシーズンで最多安打となっています。
MVPは山本投手!
YOSHINOBU YAMAMOTO IS YOUR 2025 WORLD SERIES MVP! pic.twitter.com/CGkbqjjICO
— Los Angeles Dodgers (@Dodgers) November 2, 2025
そしてワールドシリーズMVPは3試合に登板して2試合に先発。Gm7は連投でゲームを締めた山本由伸投手に決定。
計17.2イニングを投げ、被安打10、失点2、ER 2、HR 0、BB 2、SO 15でERAは1.02。
なお、山本投手の今PS全体の成績は、5試合で34.2イニング、計492球の熱投で、ERA 1.56でした。
これで2025年のMLBも終わりです。MLBの選手、関係者の皆さんに感謝です。
お読みいただき、ありがとうございました。


コメント