またしてもピッチング・プロスペクトがデビュー
現地2025年9月9日、サクラメントで行われたレッドソックス@アスレチックス戦でレッドソックスがピッチング・プロスペクトをデビューさせました。それが左腕のコナリー・アーリー(Connelly Early)、23歳。
もう投げ方を見ただけでキレの良いボールを放り、コマンドも安定しているのがわかる投手で、ボールが暴れることが少ない投手だと思いました。
レッドソックスは現地2025年8月29日に左腕のペイトン・トールがデビューしたばかり。デビュー戦で好投したトールでしたが、2度目の先発ではカーブを投げる時のリリースのタイミングが合っていないような形となり、黒星を喫してしまいましたが、これで立て続けに力のある左腕が2人デビューした形となりました。
コナリー・アーリー(Connelly Early)の表記
スペルを見たときに、「コネリー・アーリー」と書くのが日本語の表記としてはベターかと思いました。これは『007』でおなじみのショーン・コネリーと同じ発音で良いのかと。そう思い、ショーン・コネリーのスペルを調べて見ると、”Sean Connery”だったのです。
改めて実況なども確認してみたところ、どうやらConnellyはリンキングなどが起こって「コナリー」と書く方が現地の発音に近いのではないかということで「コナリー」で書かせていただきます。
衝撃の5回11奪三振
この日、コナリー・アーリーはいきなり4点のプレゼントをもらい、1回裏のマウンドに立ちました。アスレチックスは1番に捕手のシェー・ランゲリアスを配置するという攻めたランナップでしたが、そのランゲリアスに対し、4シーム、スライダー、チェンジアップをミックスした配球でSSゴロに打ち取ると、2番のブレント・ルッカーも4シームの後のチェンジアップでSSゴロに打ち取り、ピッチング・スタイルがよくわかる配球となりました。
3番はルーキーのニック・カーツ。右腹斜筋を痛めておりましたが、復帰しております。
そのニック・カーツに対して、4シーム、シンカーでカウントを作ると、アウトコースへのチェンジアップでメジャー初三振を奪いました。この対戦はなかなか見応えがありました。
2回表にも追加点をもらったコナリー・アーリーは、直後のアスレチックスの攻撃を三者連続三振に打ち取るという試合の流れ上、ベンチが喜ぶような投球を見せます。カーブ、スライダー、チェンジアップの抜くボールの精度もいいのですが、シンカーがいい武器になっているなと思いました。
3回裏は2アウトからザック・ゲロフ、シェー・ランゲリアスに連続シングルを浴び、2アウト1、2塁のピンチを迎えますが、ブレント・ルッカーからカーブで空振り三振を奪い、ピンチを脱出。
4回裏は先頭のニック・カーツにRFへゴロでシングルを打たれ、今度はやり返されました。さらに1アウト後、同じくルーキーのジェイコブ・ウィルソンにはLF前にシングルを打たれ、タイラー・ソダーストロームにもシングルを許し、1アウト満塁のピンチを迎えます。しかし、ここもダレル・ハネズを緩急を使って三振に打ち取り、さらにローレンス・バトラーには左打者のインコースに食い込むシンカーで力で圧して三振。またしてもピンチを脱しました。
5回裏にも2三振を奪ったコナリー・アーリーはここでお役御免に。5イニングで90球を投げ、被安打5、スコアレス、BB 1、SO 11という素晴らしいデビュー戦を飾りました。
11Kのインパクト
デビュー戦での11奪三振はレッドソックス史上では1977年にドン・アーセ(Don Aase)が記録していたフランチャイズ・レコードと並ぶ快挙。48年ぶりに脚光を浴びた記録です。
また、今季のレッドソックスの投手の中で、アーリーより多くの三振を奪ったのは、6月1日に12個を記録したギャレット・クロシェだけ。
クロシェ以前にレッドソックスの投手で11個以上の三振を奪ったのは、2019年のE・ロッドことエドゥアルド・ロドリゲスだけです。
またデビュー戦の奪三振記録としては、2018年5月13日に現在もブルワーズにいるフレディー・ペラルタがロッキーズ戦で13奪三振を記録していますが、アーリーの記録はそれ以降としてはデビュー戦では最多です。
コナリー・アーリーとは
そのコナリー・アーリーは2002年4月3日生まれの23歳。実はマイナーリーグや大学時代を含めても、これほどの奪三振数を記録したことはありませんでした。ピッチング・スタイルとしては、100mphの剛球がない分、やはり打たせて取るタイプではあります。
ウェストポイント→バージニア大
バージニア州の高校を卒業した後は、ニューヨーク州ウェストポイントの陸軍士官学校で2シーズンを過ごし、その後バージニア大学に転校。
カイル・ティールは元相棒
2023年はバージニア大学で、19試合で12勝3敗、ERA 3.09を記録。バージニア大学はキャバリアーズという愛称がありますが、そのキャバリアーズではカイル・ティールとバッテリーを組み、2023年のカレッジ・ワールド・シリーズに出場しております。
2023年のアマチュア・ドラフトでレッドソックスから5巡目で指名されてプロ入り。全体順位としては151位。ちなみに、2023年の全体1位はポール・スキーンズ(PIT)で、2023年組はルーキー・インセンティブの影響もあってすでに活躍している選手も多く、ナショナルズのディラン・クルーズ(全体2位)、レンジャーズのワイアット・ラングフォード(全体4位)、アスレチックスのジェイコブ・ウィルソン(全体6位)、ロッキーズのチェイス・ドーランダーらが有名。ちなみに、この時のレッドソックスの1巡目指名はその相棒のカイル・ティール。カイル・ティールはギャレット・クロシェとのトレードでホワイトソックスへ移籍しました。
2024年にプロデビューし、クラスA+のグリーンビル・ドライブとAAのポートランド・シードッグスを行き来しました。成績は3勝9敗、ERA 3.99。ただ、103.2IPで被安打84安打は少ないと言え、奪三振138はなかなかの数字でした。
2025年はAAのポートランドとAAAのウースターに所属して2レベルで10勝3敗、ERA 2.60を記録。また、100.1IPで132奪三振を記録。もう安定しているのはマイナーからそうでした。
なお、プロの試合でのこれまでの奪三振数は9月2日に行われたウースターでの最後の先発登板で、キャリアハイとなる10奪三振が最高でした。メジャーで自信の1試合の奪三振の記録を更新したことになります。
レッドソックスのプロスペクトの話題はシーズン中にデビューを果たしたローマン・アンソニー、マルセロ・マイヤー、クリスチャン・キャンベルというもっぱら有望な打撃陣に集中していましたが、ペイトン・トールといい、このコナリー・アーリーといいピッチングの方もしっかりと開発しております。
ダスティン・メイのILがきっかけ
なお、デビューのきっかけとなったのはシーズンのこの重要な時期にダスティン・メイがIL入りとなったことです。レッドソックスはギャレット・クロシェ、ブライアン・ベイヨー、ルーカス・ジオリトの3人に続く先発ローテーションの残り2枠が流動的でしたので、ペイトン・トール、コナリー・アーリーがしっかりと入ってくれればありがたいところです。
打線も援護
なお、この日、打線はアスレチックス先発のジェフリー・スプリングスから、ロミー・ゴンザレスがリードオフHRを放つと、ブレグマン、ストーリーがシングルで続き、ロブ・レフスナイダーがLFへ463ftの特大3ランHRを放ち、いきなりの4得点。
2回表にもロミー・ゴンザレスが技ありのRFへのタイムリー・ダブルを放ち、1点を追加。8回には1アウト2、3塁のチャンスに吉田選手がSSゴロを放ち、その間に1点を奪い、計6得点。
6-0でシャットアウト勝利を納めており、コナリー・アーリーにメジャー初白星がつきました!
レッドソックスはこれで2試合連続のシャットアウト勝利。Gm1ではギャレット・クロシェが7回をスコアレス、10奪三振の好投を見せました。失点が重なっていた直近の試合で2試合連続シャットアウト勝利は朗報ではあります。
レッドソックスはこれで81勝65敗、勝率.555。地区2位のヤンキースがこの日は敗れ、80勝64敗となりましたが、勝率が.556ゆえ、ヤンキースがまだ2位におります。
そして首位ブルージェイズとは3.0ゲーム差。まだまだ地区優勝もあるかもしれません。
お読みいただき、ありがとうございました。
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