急遽浮上したトレードDLの目玉はフィリーズへ
現地2025年7月30日、この日は一気にディールが決まって行きました。
前日の記事でエマニュエル・クラセがデッドラインの市場から消え、その影響でハイ・エンドのクローザーを抱えるクラブは強気に出られるチャンスと書かせていただきましたが、ここでツインズが絶対的守護神を出すことになりました。
ファイヤー・ボーラーでしかもコマンドも素晴らしいヨアン・ドゥランがフィリーズに移籍することとなりました。
トレード概要
そのディールはご覧の通り。
フィリーズGet
- ヨアン・ドゥラン(Jhoan Durán/27)P | B/T: R/R
ツインズGet
- エドゥアルド・テイト(Eduardo Tait/18)C or DH | B/T: L/R
- ミック・エイブル(Mick Abel/ 23) P | B/T: R/R
フィリーズ、課題のブルペンをテコ入れ
フィリーズのチームERAは3.80でMLB 11位。このうち、スターターのERA 3.42はMLB 4位、NLでは2位。やはりザック・ウィーラー、今季好調のクリストファー・サンチェス、ヘスス・ルザルドなどローテーションは非常に堅いです。
ところがブルペンのERAは 4.48でMLBで24位、NLで12位。ブルペンが課題なのは明白です。
ホセ・アルバラードがPEDsで離脱
中でも頭が痛かったのはハードスロー・レフティーのホセ・アルバラードが、5月18日にPeds(禁止薬物)使用による80試合のサスペンションを科され、これが8月中旬まで続きます。さらにアルバラードは今季のポストシーズンの出場資格も失いました。
オフシーズンに獲得したジョーダン・ロマーノは、元ブルージェイズのクローザーで2022年から2023年にかけて好成績をマーク。ともに36セーブをマークするなどリーグ・トップクラスのクローザーでしたが、2023年のオールスターで腰を傷めて以降はピリッとせず、2024年に至っては13.2イニングしか投げられませんでした。そのロマーノを獲得したフィリーズは大丈夫か?という決断でしたが、今季もやはり苦戦。38.1イニングでERA 6.81です。
フィリーズはすでにFAで未契約だったデビッド・ロバートソンと7月21日にサイン。これもテコ入れの一つでしたが、かつての名クローザーとは言え、40歳となった今はやはりかなり未知数です。
ブルペンで機能しているのは右腕のおライン・カーカリング、そしてベテラン左腕のマット・ストラムくらい。
この状況ゆえに、NLイーストの覇権をメッツと争うには、ヨアン・ドゥランのような強力なヘルプが必要でもありました。
ヨアン・ドゥランの凄さ
オフの補強も消極的だったツインズはスロー・スタートでしたが、5月半ばから約1ヶ月はALセントラルでコンテンダーに食い込み、興味深い動きを見せましたが、その後は元気がなくなり、トレード・デッドラインではSeller(売り)のポジションに映らざるを得ませんでした。
すでにクリス・パダックをライバルのタイガースにトレードしたツインズは、上記のエマニュエル・クラセの市場からの離脱により、クローザーのヨアン・ドゥランの需要が一気に高まりました。
ヨアン・ドゥランは過去4シーズンで毎年50試合以上を投げ、トータルのERAが2.47とリーグを代表するクローザーの一人。イニング数233.1に対して奪三振は292。キャリアのSO%は30.6%。
またスタットキャストによると、デュランが投じた時速100mphの球数は1,284球で、これはメジャーリ最多。A’sのメイソン・ミラーで819球です(2位)。
ヨアン・ドゥランはこれほどのハードスローでありながら、BB%は7.7でリーグ平均の8.3を大きく下回るコマンドの良さも彼の大きな武器です。
彼がゲームの後ろに入ることでいかに優位にゲームを進められるか、フィリーズはいい投手を獲得しました。
フィリーズは2027年までコントロール下に
なお、ヨアン・ドゥランのMLSは2025年1月時点で3.000。今季は4年目でFAは2027年終了後。フィリーズはこの素晴らしいクローザーをあと2年2ヶ月ほど管理下に置けることになります。
今季のサラリーは1年/$4.125M (2025)。おそらくフィリーズが残りも引き継ぐでしょう。調停に入ったばかりのこのサラリーも魅力の一つでもありました。
(MIN)エドゥアルド・テイト
ツインズが獲得したエドゥアルド・テイトは2006年生まれの18歳。捕手兼DHで右投げ左打ち。2023年1月にアマチュアFAとしてフィリーズとサイン。2024年にクラスAに上がり、2025年はクラスA+に上がりました。今季は両レベルを併せて.255/.319/.434、HR 11、RBI 57。
トップ・プロスペクトでPre-2025のランクでも93位にランクイン。かなり期待の持てる捕手でもあります。
(MIN) ミック・エイブル
さて、もう一人、右腕のミック・エイブルはかなりいい右腕です。2020年のフィリーズの1巡目指名で、2025年5月18日にすでにメジャー・デビュー。
マイナーでは2024年はトリプルAでERA 6.46と苦戦したものの、2025年はトリプルAで13スタートでERA 2.31をマーク。
メジャー昇格後は6試合に先発して、25.0イニングを投げ、2勝2敗でERAは5.04。まだサンプルは少ないですが、4シームのアベレージ・ベロシティーは96.2mphで、シンカーが95.2mph、チェンジアップが89mph、スライダーが87mph、カーブが82mphを記録。速度帯も分かれていて打者を翻弄できそうです。BB%は8.3%でほぼリーグ平均ゆえ、適度に荒れている感じ。ツインズはフィリーズが育てた1巡目をゲットした形となり、ヨアン・ドゥランを出した甲斐はあったかもしれません。
ツインズ、Sellerモードが加速
ツインズですが、クリス・パダック、ヨアン・ドゥランと投手陣の軸を放出しました。これで完全に売りモードです。これにより、シーズン終了後にFAとなるウィリー・カストロ、ハリソン・ベイダー、ダニー・クーロムらもトレードに出しそうです。
ただ、グリフィン・ジャックスだけは手放さない見込みです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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