2022年のSS賞受賞のJ・マクニールがA’sへ
現地2025年12月22日、ニューヨーク・メッツは2B兼OFのジェフ・マクニール( Jeff McNeil)をアスレチックスにトレードしました。
ジェフ・マクニールは2022年にNLバッティング・タイトル(打率)とシルバースラッガー賞を受賞。独特のグリップのバットを使い、まさに安打製造機のような選手だったのですが、チャンスメイカー、あるいはポイントゲッターとしても機能していたジェフ・マクニールを放出とは驚かされました。
トレード概要
今回のトレードは1:1で、ラグジュアリー・クラブのメッツと少資本で戦うアスレチックスとのディールということでキャッシュ・コンシダレーション(金銭)も絡んでおります。
アスレチックスGet
- ジェフ・マクニール(Jeff McNeil/34)2B, OF | B/T: L/R
- キャッシュ・コンシダレーション
- 2026年のサラリーの一部:$5.75M
- 2027年のクラブオプションを拒否した場合のバイアウト$2M
今回のトレード成立により、40manロスターがフルだったアスレチックスは左腕のケン・ウォルディチャック(Ken Waldichuk)をDFAとし、スペースを空けました。
メッツGet
- ヨーダン・ロドリゲス(Yordan Rodriguez/18) RHP
ジェフ・マクニールの契約
ジェフ・マクニールの現在の契約は2023年1月に調停のファイナル・イヤーを上書く延長契約としてサインした以下の内容でした。
- 4年/$50M (2023-26) + 2027 クラブオプション
- 2023:$6.25M | 2024:$10.25M | 2025:$15.75M | 2026 :$15.75M
- 2027:$15.75M クラブオプション ($2M バイアウト)
- アウォード・ボーナス(詳細は略)
- トレード・アサインメント・ボーナス: $0.5M(移籍先クラブより支払われる)
上記のようにメッツは2026年のサラリー$15.75Mのうち$5.75Mを支払いますからアスレチックスの2026年の負担は$10Mのみ。さらに、2027年の$15.75Mのクラブオプションを拒否した場合に発生するバイアウトもメッツ負担。
アスレチックスとしてはこのレベルの選手を$10Mで得られたのはかなりお得というところです。
メッツ、ロスターを刷新
メッツは今オフシーズン、ロースターを大幅に刷新。長年在籍した選手を放出しています。11月後半にはブランドン・ニモをレンジャーズへトレード、FAとなったピート・アロンゾはそのまま史上に流してオリオールズへ。さらにFAだったクローザーのエドウィン・ディアスもドジャースとの契約にサイン。
このうち2019年の開幕前のトレードでメッツに加入したエドウィン・ディアスを除き、ニモ、アロンゾ、マクニールはいずれもメッツの生え抜き。ドラフトで指名した選手で、ニモは2011年、マクニールは2013年、アロンゾは2016年に指名。その彼らを放出しているのですから、ファンはたまったものではありません。
ジェフ・マクニールとは
ジェフ・マクニールは1992年4月8日生まれで、ブライス・ハーパーらと同じ年です。2013年にCSU(カリフォルニア州立大学ロングビーチ校)から12巡目で指名されてプロ入り。5年をかけてメジャーに上がり、2018年に26歳の時にメジャーデビュー。メッツでは2025年まで8シーズンを過ごしました。
2018年は63試合ながら、.329/.381/.471、HR 3、二塁打 11をマークし、ROY投票で6位にランクイン。2019年からはレギュラーとして毎年120試合以上に出場(2020年の60試合シーズンにおいても52試合に出場)。
2019年から大躍進
上記のように遅咲きだったジェフ・マクニールですが、デビュー2年目の2019年は2年目のジンクスどころか大躍進を遂げ、夏にはオールスターに出場。シーズン成績は.318/.384/.531、OPS .916、HR 23、RBI 75。なお、このシーズンはいわゆるジュースド・ボール(改造ボール)のシーズンで打球がよく飛ぶシーズンでもありました。
短縮シーズンの2020年も打率.311をマーク。2年連続で.300超えです。
2021年は120試合で.251/.319/.360、OPS .679と落ちましたが、2022年がすごかったです。
2022年にバッティング・チャンプ&SS賞
ジェフ・マクニールを語る上ではやはり2022年の凄さは外せないですね。148試合に出場し、.326/.382/.454、OPS .836、Hits 174、HR 9、RBI 62、RUN 73、ダブル 39をマーク。打率.326はNLのバッティング・チャンプ(打率NO.1)で、2Bとしてシルバースラッガー賞も受賞。輝きましたね。
2022年シーズンまでのジェフ・マクニールは516試合に出場し、2,039打席に立ち、打数は1837。これは安打型の選手にとっては勲章のようなもので、MLBの中でも極めて多くの打席に立つ選手の一人となりました。安打型の選手は打たないと試合に出られませんから、いかにゲームで必要とされてきたかがわかります。
この間のBB率は6.8%でリーグ平均よりやや下、SO率は11.9%とMLB平均22.7%の半分未満!そしてこの5シーズンでのスラッシュラインは.307/.370/.458。打率、OBPともにすごい数字となっております。
そして2023シーズンを前にメッツと4年/$50M (2023-26) の延長契約。これまでの好成績が報われたという内容でした。
2023年以降は低下傾向
31歳のシーズンを前に延長契約に至ったジェフ・マクニールですが、以降成績は低下傾向。2023年から2025年までの3シーズンは.253/.326/.389、OPS .715。BB率、SO率ともに過去5シーズンとそれほど変化はないものの(BB率は6.8%から7.8%、SO率は11.9%のまま)、BABIP(本塁打を除くインプレー打球の安打率)が.322から.269へ落ちました。ある程度シフト・リストリクションなどもありつつ、下がっているので、やはり年齢的な要素も出てきているのかとも思われます。2026年は34歳のシーズンとなります。
メッツの内野
メッツはフランシスコ・リンドーアがSSとしてこれからも内野の中心として稼働していきますが、2Bのジェフ・マクニールを出したことで3Bも含めてブレット・ベイティ、マーク・ビエントス、ロニー・マウリシオ、ルイスアンヘル・アクーニャらの出場機会を与えるのかと言えば、マーカス・セミエンをレンジャーズから獲得したのでそうでもないように思えます。セミエンをある程度コーチ的な役割で獲得したらその線もあり得ますが、まだよく見えない戦略ではあります。
またホルヘ・ポランコも獲得しており、彼は2Bではありますが、1Bに就く可能性が高いです。
アスレチックスの内野
ジェフ・マクニールを獲得したアスレチックスは、このまま2Bに就くと思われます。
1BはROYを受賞したニック・カーツ。SSはそのカーツとROYを争い、ALのバッティング・チャンプまでも争ったジェイコブ・ウィルソン。
ジェイコブ・ウィルソンはお父さんがあの超絶SSのジャック・ウィルソンですが、今のところ守備はまだお父さんの域には至っておらず、守備率.979は若いSSとしては十分ではありますが、まだまだ発展途上です。
場合によってはアスレチックスはメイソン・ミラーとのトレードでパドレスから獲得したプロスペクトのレオ・デ・フリース(Leo De Vries)を起用するかもしれません。彼はまだ19歳(10月になったばかり)ですが、リーグ屈指のプロスペクトであり、2025年のフューチャーズ・ゲームにも選出されました。ちょっと若すぎるとは思いますが、アスレチックスならチャンスを与えるかもしれませんね。もし、レオ・デ・フリースが上がれば、ジェイコブ・ウィルソンは3Bに動くかもしれません。
アスレチックスにはザック・ゲロフがおりますが、2Bとして期待されていたものの、2025年は打率.174と今、壁にぶち当たっています。その他、ルイス・ウリアスやアレドミス・ディアスらベテランも内野の層を厚くしております。
ジェフ・マクニールの怪我は?
ジェフ・マクニールは2025年シーズン終了後に胸郭出口症候群の手術を受けたと報じられました。エージェントは手術は軽微なもので、スプリング・トレーニングには回復するとは述べておりますが、このあたりは懸念材料でもあります。
メッツ、宝くじを獲得
メッツに移籍するヨーダン・ロドリゲスは宝くじ級のプロスペクトだと言われています。キューバ出身の右腕で、2025年に$0,4Mのサイニング・ボーナスでサインした投手。
ドミニカサマーリーグでは15.1イニングを投げ、SO 20、BB 8。まだ17歳で、1月に18歳になる彼は、素材は一級品。2-3年後に注目というところですね。
メッツはこのように生え抜きのベテランを次々に放出。天才・デビッド・スターンズを擁してもまだはっきりとした編成が見えて来ない状況。しかもファンがかなり怒っておりますね。果たしてそのファンをなだめるくらいに2026年は良い結果が出るのか?注目ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。



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