G・スプリンガー、劣勢を強烈なスイングで払拭!
現地2025年10月20日、マリナーズ@ブルージェイズのALCS Gm7はまさに最終戦にふさわしい劇的な展開になりました。両クラブとも惜しげもなくエース級を投入。白熱した一戦となり、マリナーズ優位で進みましたが、決めたのはレギュラー・シーズンでも打率.309、HR 32本を記録し、今ポストシーズンでも常に強烈なスイングでヤンキース、マリナーズ投手陣に圧をかけ続けた36歳のベテラン、ジョージ・スプリンガーでした。
A moment that will FOREVER be etched in Blue Jays history 🗣️ #SpringerDinger pic.twitter.com/dSxWKUGIFr
— Toronto Blue Jays (@BlueJays) October 21, 2025
ジョージ・スプリンガーはこれ以上ない、野球選手として最高のHRで見事にブルージェイズのワールドシリーズ進出を決めました。
ブルージェイズがワールドシリーズに進出するのは1993年以来のこととなります。
マリナーズが快調なスタート
勝てばワールドシリーズへ、負ければ終わりとなるGm7で先制点を奪ったのはマリナーズでした。ブルージェイズ先発のシェーン・ビーバーから、この日もリードオフで入ったフリオ・ロドリゲスがまず2ベースを放って出塁。カル・ロリーは三振に倒れたものの、つづくジョシュ・ネイラーがしぶとくRF前に弾き返し、これでフリオ・ロドリゲスが生還してマリナーズが1点を先制。
この後、ジョシュ・ネイラーのダブルプレー妨害があり、ブルージェイズは1点で凌ぎます。
ブルージェイズ、すかさず同点に
マリナーズ先発はジョージ・カービー。このポストシーズンでは彼を軸にローテーションが回りました。1回裏、ジョージ・スプリンガーに四球を出し、先頭打者の出塁を許します。2番のネイサン・ルークはLFフライに仕留め1アウトを奪うも、つづくヴラディーミル・ゲレロ・Jr.には三遊間を破るシングルを許し、1アウト1、2塁。つづくアレハンドロ・カークは三振に仕留め、2アウトまでこぎつけるも、ドールトン・バーショウにはスライダーをうまく拾われ、CF前にゴロで運ばれてジョージ・スプリンガーが生還してブルージェイズが1-1の同点に追いつきます。
マリナーズ優位に
1-1の同点で迎えた3回表、マリナーズは2巡目となったフリオ・ロドリゲスがシェーン・ビーバーの投じた7球目のアウトハイのスライダーを左中間スタンドに放り込むソロHRを放ち、2-1と勝ち越しに成功。
さらにマリナーズは5回表、イニング先頭のカル・ロリーがブルージェイズ2番手のルイス・バーランドからソロHRを放ち、3-1とリードを拡げます。
この間、ブルージェイズは、ジョージ・カービーのスライダーに苦戦し、さらに5回裏から登板したブライアン・ウーにも苦戦。なかなか反撃のきっかけがつかめません。
ただし、マリナーズも2回表の2、3塁のチャンスを潰し、4回表の2アウト1、2塁のチャンスを潰していました。この間、単発のHR2本のみの得点だったのが、のちのち響いてきます。
ブルージェイズは沈黙
1-3となった直後の5回裏もダブルプレーでチャンスを潰したブルージェイズ。6回裏にはイニング先頭のヴラディーミル・ゲレロ・Jr.もブライアン・ウーに三振を喫し、この後、アレハンドロ・カークがいい当たりのCF前シングルを放つも、続くドールトン・バーショウの捉えた当たりはRFライナーとなり、そして良い働きを見せているアーニー・クレメントさえSSゴロに倒れ、無得点が続きます。
これで流れはマリナーズになっていたとも言えます。
ゴーズマンを投入
ブルージェイズは7回表にケビン・ゴーズマンを投入。3BBを出したものの無失点に抑えました。良い要素と言えばこのくらいだったのですが、7回裏にドラマが。
ジョージ・スプリンガーが逆転3ランHR
7回裏、3イニング目を迎えたブライアン・ウーは突如、ボールが甘くなってしまいます。先頭のアディソン・バージャーに四球を出し、アイザイア・カイナー=ファレファにはCF前シングルを許し、ノーアウトランナー1、2塁。ブルージェイズとすればようやく流れが来たなというところでした。
ここでアンドレ・ヒメネスは送りバントを決めて1アウト2、3塁でジョージ・スプリンガーが打席に。
継投とスプリンガー勝負が裏目に
マリナーズはこのイニングに不安定となったブライアン・ウーをここでスイッチ。右腕のエドゥアルド・バザードを投入。ウーはスプリンガーに四球を与えていましたから、監督はそこもボールが甘くなる要素と考えたかもしれません。
しかし、打者からするとブライアン・ウーの方が嫌だったのではないでしょうか?しかも、1塁が空いていて、つづくバッターはネイサン・ルークです。ゲレロ・Jr.ではありません。スプリンガーはせめてIBBで良かったのでは?と思いましたが、結果的にこれが裏目に。結果論かもしれません。
バザードは初球にインコースの厳しいところを攻め、あわやデッドボールかという投球でした。抜けたのかもしれませんが、せっかくインコースの厳しいところを投げたにもかかわらず、2球目はスライダーではなくシンカー。これが甘く入り、ジョージ・スプリンガーが強振。打球はLFスタンドにライナーで飛び込む3ランHRとなり、ブルージェイズが4-3と一気に逆転します。これでもはや雰囲気はブルージェイズの勝利一色に。スプリンガーは一振りで悪い流れを払拭しました。
この後、ブルージェイズは8回にクリス・バシットを投入してパーフェクト・リリーフ。そして9回表はジェフ・ホフマンが登場し、三者連続三振を奪ってゲームセット。ブルージェイズが見事にワールドシリーズ進出を決めました!
MVPはヴラディーミル・ゲレロ・Jr.
LCSからMVPが選出されますが、2025年のALCSのMVPはヴラディーミル・ゲレロ・Jr.となりました。ゲレロ・Jr.のALCSで成績は26-10、.385/.484/.846、OPS 1.330、HR 3、二塁打3、RBI 3、BB 3、IBB 3、SO 2。
LCSのMVPは通常、直前にインパクトを残した選手が受賞するいわゆるハロー効果が効いた選出が多いのですが、その意味ではGm7のヒーローであるジョージ・スプリンガーになるかと思ったと思ったところ、ゲレロ・Jr.でした。
ジョージ・スプリンガーの成績は、29-8、.276/.364/.690、OPS 1.054、HR 3、二塁打3、RBI 7、BB 3、IBB 0、SO 6。選出した人は案外、冷静に決めたなと思った次第です。
マリナーズ、またもWS進出のチャンスを逃す
なお、マリナーズは1977年の拡張参入以来、MLBで唯一ワールドシリーズに進出していないクラブとなりました。イチローさんがいてもなかなか破れないこの壁。
実はマリナーズとメッツにはある話があるのですが、それはまた別の機会に・・・
ブルージェイズ、おめでとうございます。
ワールドシリーズは現地2025年10月24日、トロントで開幕。ドジャースとブルージェイズの対戦となり、2021年のAL MVPを争った大谷選手とゲレロ・Jr.が再び相まみえます。楽しみですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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