ついに火炎放射器がメジャーデビューへ
現地2025年6月12日、アメリカン・ファミリー・フィールドでのカージナルス@ブルワーズ戦のGm1でブルワーズが誇るトップ・ピッチング・プロスペクトのジェイコブ・ミズロウスキー(Jacob Misiorowski)がついにメジャー・デビューを果たしました!
トリプルAで103mph
マイナーで「今か、今か」と待ち続けてきたジェイコブ・ミズロウスキー。5月以降は課題であった制球も落ち着いてきて、デビュー待ちという状態が続き、5月15日にはトリプルAで103mphを記録。まさに火炎放射器というくらいにファイヤー・ボールを投げ続けてきました。
5月31日のゲームでは2イニングでBB 6、失点5と荒れてしまいましたが、6月7日に5イニングでスコアレスイニング、BB 3をマーク。晴れてメジャーにコールアップされ、6月12日にデビューを果たしました。
102 mph !とにかく速い!5回ノーヒッター!
そのジェイコブ・ミズロウスキーですが、とにかく速いという印象でした。
1、2回は無双
マウンドに上がり、最後の投球練習を終え、ボール回しを見ていたミズロウスキーはさすがに緊張の表情が伺えました。しかし、いざプレーボールのコールがかかるとミズロウスキーは火炎放射器へと変貌。
カージナルスのリードオフはラーズ・ヌートバーで今季は非常に好調。そのヌートバーは初球、ミズロウスキーのボールを見たかったのか?あるいはデビュー戦のルーキーを讃えたのか、初球を見逃しました。その初球は100.5mph。センセーショナルな投球の始まりとなりました。
ヌートバーに対し、ミズロウスキーは3球連続で100mph超えを記録。最初の変化球は89.1phmのカーブが低めに外れてボールに。そして5球目、102.2 mphをマーク。ヌートバーは6球目のカーブを捉えましたが、ここはゴールドグラバーのブライス・トゥランが捌いて1アウト。見事に先頭打者を打ち取りました。
2番のメイスン・ウィンには101mph超えを2球投じてカーブで2Bボップフライに打ち取り2アウト。3番のイバン・ヘレーラは100mphの4シームで1Bゴロに抑えて3アウト。初回を三者凡退に斬って取りました。
ウィルソン・コントラレスが初三振
2イニング目は先頭のウィルソン・コントラレスを95.7mphのスライダーで空振り三振。メジャー初三振は相棒のウィリアム・コントラレスのお兄さんから奪ったことになりました。
さらにアレク・バールソン、ノーラン・アレナドも抑えて2イニング目も三者凡退。
1、2回は無双状態でとてデビュー戦とは思えない立ち上がりでした。
お母さんは祈りっぱなし
なお、このゲームはご家族も多数スタンドに観戦に来ていてジェイコブ・ミズロウスキーのお母さんはずっと手を合わせて祈りながら息子の投球を見守り続けました。その祈りも通じたのか、3回表は先頭のノーラン・ゴーマンをフルカウントから四球で歩かせたものの、つづくペドロ・パヘスは6-4-3のダブルプレーに斬って取り、ピンチを脱出。つづくビクター・スコット2世からは三振を奪い、3イニング目も結果的に三者凡退。
4回に2BB
これまでは非常に良い面ばかりが目立ったジェイコブ・ミズロウスキー。ただ、マイナーではコントロールに苦戦した経緯もあり、その面も見られるか?と思っていたところ、2巡目となった4回に先頭のラーズ・ヌートバーに四球を出して、ランナーを背負う投球に。このイニングは2アウトからウィルソン・コントラレスにも四球を出し、RISP(Runners In Scoring Position)でアレク・バールソンに対する場面を迎えましたが、この状況でも全く落ち着いたジェイコブ・ミズロウスキーはバールソンを98mphの4シームで2Bポップフライで打ち取り、無失点。
5イニング目にも101mph
5イニング目はノーラン・アレナド、ノーラン・ゴーマン、ペドロ・パヘスのターンでしたが、ここではノーラン・ゴーマンとペドロ・パヘスを連続三振に斬って取ったジェイコブ・ミズロウスキー。まったく危なげのない投球で勝利投手の権利を得ます。パヘスを三振に仕留めたボールは101.1mphでした。
6イニング目にアクシデント
5イニングを終えてノーヒッターのジェイコブ・ミズロウスキーは球数は球数は78球。6イニング目のマウンドにも上がります。
先頭のビクター・スコット2世に3球を投じて3-0カウントとなった直後、ミズロウスキーは右足に異変があり、ふらいついた後に足首をくじいてしまいます。「何事!?」と捕手のウィリアム・コントラレスがタイムをかけ、ダグアウトからトレーナーを呼び、ピッチング・コーチのクリス・フックも含め、皆がマウンドに駆け寄ります。
その後、マウンドで状況を確認した後、ブルワーズはブルペンに指示を送り、ピッチャー交代を告げました。
結果、ジェイコブ・ミズロウスキーは5イニングを投げて、81球、被安打0、スコアレス、BB 4、SO 5という素晴らしいデビュー戦を飾りました。
6回のアクシデントですが、まだクラブから公式発表はありませんが、試合後にMLBネットワークのインタビューにも答えており、本人も「写真で見ると見た目は悪いけど、気分はいい」と問題なさそうなコメントを出していますから、大丈夫ではないかと思われます。
ふらついたのは右大腿四頭筋とふくらはぎに痙攣を感じたからで、それに加えて右足を動かそうとしたときにスパイクの歯が地面にひっかかり、足首をひねるような形になったというのが真相のようです。
スライダーがすごい!!
とにかく速かったというミズロウスキーのデビュー戦ですが、4シームは言わずもがなでMAXは102.2mph (164.47km)、100mph超えが14球。
さらにすごいと思ったのはスライダーです。93mphほどで球速に曲がってきます。これは今後厄介なボールになると思われます。
シンカーのようなチェンジアップもGOOD!
また球数は少なかったですが、まるでシンカーのようなチェンジアップもすごかったです。こちらはボールゾーンからボールゾーンへという軌道が多かったですが、ビデオゲームのようなキュインという曲がり方をしており、左打者には逃げて行き、右打者には食い込んで行きます。このコマンドが定まったからちょっと打てないかもしれません。
また、四球は4つありましたが、むしろ適度に荒れてて余計にカージナルス打線も手が出なかったように思います。
クイックも披露
常にセットポジションから投じていたジェイコブ・ミズロウスキーはマイナーでだいぶ鍛えられてきたようで、ランナーがいないと足を高く上げるのに対して、ランナーが出たときはヒップファーストでクイックモーションで投じておりました。
そのクイックから投じられるスライダーが見ていて非常に打ちにくそうでもありました。
逆に盗塁の可能性が減る2塁にランナーを背負ったときは足を高く上げて投球。この使い分けもマイナーで相当やってきたのだろうなと思わせるマウンドさばきでした。
とにかく落ち着いていました。
初勝利
なお、ブルワーズは2回裏にソニー・グレーからアイザック・コリンズのトリプルとブライス・トゥランのタイムリーで1点を先制。ジェイコブ・ミズロウスキーはこの1点を守りながら5回まで投げていたということになります。
さらに5回裏には四球と4連続長短打で4点を上げた後、ジャクソン・チューリオがソロHRを放って計5得点。
6回はニック・メアーズが緊急登板で上がり無失点。さらに7回からは怪我から癒えたアーロン・アシュビーがスコアレスで3イニングを締め、6-0でブルワーズが勝利。
ジェイコブ・ミズロウスキーはデビュー戦初勝利となりました。
投手に怪我人が多かったブルワーズ。救世主が現れましたね。
ブルワーズはカージナルスを抜いて2位となり、首位カブスを追いかけます。
お読みいただき、ありがとうございました。
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