スキルとセンスのかたまりでAL ROY筆頭!
現地2025年6月28日、アスレチックスはヤンキー・スタジアムでヤンキースとのシリーズのGm2。この日は先発のJP・シアーズで、6回途中2ヒッターでヤンキース打線を封じ、さらにリリーフのジャック・パーキンスも残りイニングをスコアレスに抑えてシャットアウト・リレー。
昨シーズンの4月もJP・シアーズはヤンキースを封じていますので、古巣相手に強さを発揮しています。
アスレチックスは打っては4回表にブレント・ルッカーが今季17号のソロHRを放って先制すると、6回表にはローレンス・バトラーとジェイコブ・ウィルソンが連続四球を選んでニック・カーツが3ランHRを放ってリードを拡大。
アスレチックスは8回表にも四球とタイムリーで3点を追加。結果、7-0とヤンキースに完勝しました。
そんな中、アスレチックスで注目したいのがジェイコブ・ウィルソンです。
2024年はデビュー戦で怪我
2024年、マイナーで打ちまくったジェイコブ・ウィルソンは2024年7月18日についにメジャーへの昇格が決定。
そして、2024年7月19日に8番SSでついにメジャー・デビュー。初回の守備では華麗なプレーを見せたジェイコブ・ウィルソンは3回裏に初打席が回ってきます。その初打席でCF前シングルを放ち、見事なデビュー戦を飾りました。
ところが、2塁に進塁し、ローレンス・バトラーのRF線へのラインドライブの当たりでホームに生還する途中、3塁を回ったところでなんと左ハムストリングスを傷めてしまいます。
デビュー即初ヒットまでは良かったものの、即IL入りとなったのでした。これはちょっと残念でした。
結果、ジェイコブ・ウィルソンは1ヶ月後の2024年8月27日に復帰。At Bat 92で2024シーズンを終え、ルーキー・ステータスを維持したまま2025シーズンに突入しました。2024年の成績は .250/.314/.315、BB 8、SO 10、HR 0、RBI 3。
ルーキーステータス
なお、MLBのルーキー・ステータスはこのような規定となっています。
- 打者はat bat(打数)が130以内。※打席数(PA : Plate Appearance)ではなく、打数(AB: At Bat)で、四球などを除いたものです。
- 投手は、50イニング以内
- 26人ロースター(登録選手枠)在籍期間が累積で45日以内。(試合に出ていなくても、試合に出られるよう登録されている期間が、前年までに45日を越えていないこと。) ※26人枠に入っている間にDL(故障者リスト)やミリタリー(軍隊服役)期間が重複していればそれは除く。
2025年は大ブレーク中
そんなジェイコブ・ウィルソンは2025年開幕からアスレチックスのSSを守り続け、現地2025年6月28日のヤンキース戦を終えた時点の成績は、79試合出場で336打席で、312打数106安打、打率.340、OBP .382、SLG .474、OPS .856、二塁打15、HR 9、RBI 40、SB 5、Run 42とぶっちぎり中です。
5月の月間打率は単月で.368
下記は月別の成績です。5月はなんと単月で打率.368をマーク。とにかくここまでは満遍なく打っているという状況です。
月 | G | AB | H | 2B | HR | BB | SO | BA | OBP | SLG | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3/4月 | 29 | 114 | 37 | 6 | 3 | 2 | 6 | .325 | .336 | .456 | .792 |
5月 | 27 | 106 | 39 | 6 | 4 | 11 | 8 | .368 | .437 | .538 | .975 |
6月 | 23 | 92 | 30 | 3 | 2 | 6 | 11 | .326 | .370 | .424 | .794 |
6月半ばでシーズン打率が最高で.372
シーズンの浅い4月に打率.400を超える選手は結構いますが、ジェイコブ・ウィルソンも4月8日(開幕から12試合)時点で打率.400をマーク。
その後は打数が増えるほど、当然打率も下がってきてジェイコブ・ウィルソンも4月30日時点の打率は.325。普通はここから良くて.270程度に落ちてくるのですが、ジェイコブ・ウィルソンは5月に上述のように単月で.368をマークしたことにより、さらに上がりました。5月31日時点の打率は.345。
おもしろいのは6月からさらに上がり始めたことです。6月前半はマルチ安打を連発し、最高打率は6月8日時点でなんと.372。そこから無安打の試合もちょくちょくと出始めているのですが、現地2025年6月28日終了時点の打率はまだ.340をキープしているというすごい状況です。
打率はジャッジに次いで2位
現地2025年6月28日時点の打撃ランクはジェイコブ・ウィルソンの打率.340はジャッジの.354に次いでMLB 2位。ジャッジもALなので、ALランクも2位です。
なお、ALは現地2025年6月28日時点で規定打席に到達している3割打者が10名、NLはたった4名しかおりません。
そして安打数106は、やはり上にジャッジがいてジャッジの108に次いで2位。NLではフィリーズのトレイ・ターナーの100安打が最高です。
ジョーイ・ギャロの真逆
ジェイコブ・ウィルソンの場合、打撃に特徴があります。シングルが非常に多いのです。その数82(現地2025年6月28日時点)はMLBでトップ。
素晴らしいのは広角ぶり。とにかく右方向への安打が非常に多く、投球に逆らいません。
かつてジョーイ・ギャロがシングルよりHRの方が多かったというのがありましたが、ジェイコブ・ウィルソンはその対極に位置し、シングルが非常に多いのです。よって彼の成績でSLGが安打数の割に跳ねていないのはそのせいです。イチロー選手もシングルが多く、SLGが低かったのでOPSにはそれほど反映されませんでした。
【ジョーイ・ギャロの現地2019年4月4日時点のスタッツ】
通算225安打の内訳:
シングル | HR | 2B | 3B |
84 | 90 | 46 | 5 |
しかし、ジェイコブ・ウィルソンの打撃は本当に天才的です。もしWBCのUS代表に選ばれて、日本戦に出場したならどんな打撃を見せるのか、非常に興味があります。
ASG出場濃厚
大谷選手はNLでトップの得票をもらってPhase2の投票は免除となっていますが、ジェイコブ・ウィルソンはオールスターのPhase1の投票でALのSSのファイナリストにも選出されました。ライバルはロイヤルズのボビー・ウィット・Jr.でPhase2の得票次第でALオールスターのSSのスターターとしての出場が決まります。
Phase2の結果はPhase1での得票数に左右されず、一旦はご破算になるのですが、参考までにPhase1の得票ではジェイコブ・ウィルソンが2024年のAL MVP2位のボビー・ウィット・Jr.をなんと約50万票差で上回っておりました。
これからのジェイコブ・ウィルソンにも期待しましょう。
父はあの超絶SS、ジャック・ウィルソン!
上記のリンクにも書かせていただいておりますが、お父さんはあの超絶SSのジャック・ウィルソンです。ジャック・ウィルソンはメジャー歴代の中でも指折りのSS。しかも2004年にはシーズン201安打を達成。打撃も凄かったのです。
父のプレーを見せられているジェイコブ・ウィルソン。フィリーズ戦での背走キャッチがお気に入りだそうです。
Jacob Wilson's dad, former MLB shortstop Jack Wilson, was a defensive stud! pic.twitter.com/iBjJPKRT8X
— MLB (@MLB) May 19, 2025
お読みいただき、ありがとうございました。
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