オリオールズの新監督が決定
現地2025年10月26日、ALイーストのボルチモア・オリオールズは、2026シーズンからの新監督をクレイグ・アルバナズ(Craig Albernaz)に決定したと発表しました。すでにオフィシャルとなっています。
クレイグ・アルバナズは2025シーズンはクリーブランド・ガーディアンズでアソシエイト・マネージャー(Associate Manager)という要職にあり、ガーディアンズではベンチ・コーチより上の権限があり、監督のスティーブン・ボート(Stephen Vogt)を支え、ガーディアンズのALセントラル2連覇に大きく貢献していました。
再建したブランドン・ハイド
オリオールズはバック・ショーウォルター体制の2011年から2018年までの8シーズンで3度、ポストシーズンに進出。ちょうどクリス・デービスがHRを量産していた時代です。ショーウォルターの最後の2シーズン(2017年、2018年)は2年連続最下位。この頃はクラブのサラリー削減など自滅の要素もあり、急激にその力を落としました。そんな火中の栗を拾う状況のクラブを任されたのが前監督のブランドン・ハイドでした。
2019年から就任したブランドン・ハイドはボロボロなチームを引き継ぎ、投手陣は壊滅。特に同地区のヤンキースには完膚なきまでに叩き潰されました(16連敗、61被弾)。2019年から2021年の3年間は3年連続最下位。バック・ショーウォルター時代も入れると5年連続最下位と非常に厳しい時代を経験しました。
しかし、2019年に全体1位でアドレー・ラッチマン、2巡目でガナー・ヘンダーソン、2020年に全体2位にヘストン・キャースタッド、 2021年に全体5位でコルトン・カウザー、2022年にジャクソン・ホリデーを全体1位で指名するなど、弱い時代の高順位のドラフト・ピックが効き、2022年に勝ち星を挙げて4位ながら躍進の兆しを見せると、2023年に101勝をマークし、ALイーストを制覇。2024年は2位でしたが、2年連続でプレーオフに進出。
ブランドン・ハイドの解任
オリオールズは2024年3月にオーナーも交代。新体制となり、もはや常勝の域に入ったか?と思われたのですが、2025シーズンは投手の負傷が相次ぎ、オフェンス全体も不調で開幕から低飛行。結果、5月にブランドン・ハイドが解任されました。解任当時の成績は15勝28敗。
これはブランドン・ハイドのせいではなく、けが人の影響が原因でこの判断はどうか?とは思いました。
暫定体制:トニー・マンソリーノ
その後、3Bコーチであったトニー・マンソリーノが暫定監督に就任。結果、60勝59敗と黒字となりました。
候補
オフシーズンとなり、そのトニー・マンソリーノも正式監督の候補としてインタビューされました。他に元マリナーズ監督のスコット・サービス、元メッツ監督のルイス・ロハス、そしてスーパースターのアルバート・プホルス、カブスのベンチコーチでオリオールズOBであるライアン・フラハーティもその候補に挙がりました。
そんな中、フロントオフィスが選んだのはクレイグ・アルバナズでした。
クレイグ・アルバナズのキャリア
クレイグ・アルバナズは1982年10月30日生まれの42歳(現地2025年10月26日時点)。2026シーズンは43歳で開幕を迎えるという非常に若い監督になります。
現役時代は捕手で、アン・ドラフトのフリーエージェントとしてレイズと契約。レイズ傘下には2006年から2013年まで在籍し、そのうち2009年から2013年まではトリプルAをメインに活躍。2014年にタイガース傘下のダブルAで1年間プレーして選手生活を終えており、メジャーに上がることはありませんでした。
2015-16とレイズのロー・マイナーでヒッティング・コーチとなり、2017年にはトリプルAのダーラム・ブルズのコーチとしてスタート。ところが、同年6月に当時レイズ傘下のハイAのレネゲーツの監督がカレッジのヘッドコーチに就任したため、アルバナズがその空席を埋めることになりました。その後、オーストラリアでコーチに就任するなどの時期を経て、2020年にサンフランシスコ・ジャイアンツのブルペンコーチ兼捕手インストラクターに就任。2023年シーズンまでその職を務めました。
2024年はクリーブランド・ガーディアンズに移籍し、ベンチコーチに就任。これはすごい出世です。2025年もガーディアンズで、アソシエイトマネージャーに就任。これは実質はベンチ・コーチで、フィールドのNO.2に変わりはないのですが、ガーディアンズでは権限がヘッドコーチより多かったと言われております。
ガーディアンズ躍進の立役者
アルベルナズ氏は他の候補者ほど経験や知名度はないものの、ガーディアンズやレイズといった選手育成に重点を置きながら常に優勝争いに加わるという2チームを経験しているということでフロントも期待しているようです。フロントが期待しているのは少資本でのコンテンダー入りかもしれませんが・・・。
もともとガーディアンズは、テリー・フランコーナが優待し、現監督のスティーブン・ボートに決まる前にアルバナズともインタビューを行いました。それがきっかけでガーディアンズはアルバナズをスティーブン・ボートの腹心に招き入れました。
2024年、ガーディアンズはALセントラルを制覇。その評判を聞きつけ、2024シーズン終了後は、ホワイトソックスとマーリンズがアルバナズを監督候補としてインタビューし、最終選考に残りました。
しかし、アルバナズは2025年はガーディアンズに残留。他からの引き抜きもあってか、ガーディアンズはアルバナズをベンチ・コーチではなく、アソシエイト・マネージャーというタイトルで再度迎え入れました。結果、ガーディアンズはまたしてもALセントラルを制覇。
カイ・コレアとのコンビ
スティーブン・ボート監督を支えたのがアソシエイト・マネージャーのクレイグ・アルバナズとカイ・コレア(Kai Correa)。カイ・コレアのタイトルはフィールドコーディネーター/守備、走塁、試合戦略担当ディレクター。
この二人がガーディアンズ流スモールベースボールの”Guards Ball(ガーズ・ボール)”を構築したと言っていいでしょう。
カイ・コレアは2026年はメッツのベンチコーチです。
なかにはガーディアンズの野球を「◯ソみたいだ」と言った選手がいましたが、「金満ならそんなことしませんよ」という話です。ガーディアンズはホセ・ラミレスという素晴らしいバッターがいますが、少資本でHRを量産出来るバッターがいない、あるいはそのポテンシャルがあってもまだ機能しない選手がいる中、勝ち抜く工夫がバント、走塁と堅い守備だったです。実際にガーディアンズは強いです。
それに、2025年のメジャー・リーグのバントの多いこと!ドジャースでさえ、作戦として採用するケースがあります。
このNPB、日本の高校野球でよく行われる作戦をメジャーで積極的に採用してきたのが、クレイグ・アルバナズであり、カイ・コレアでした。
オリオールズはアドレー・ラッチマンという素晴らしい捕手もいますし、来季はALイーストの中でまた強さを発揮しそうです。ピッチャーも怪我から戻ってきますし。
しかし、ガーディアンズはクレイグ・アルバナズとカイ・コレアという重要な2人の頭脳を失ったことはちょっと心配ではあります。
お読みいただき、ありがとうございました。




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