ドジャース、注目FAをゲット
ワールドシリーズ2連覇のドジャースはこのオフシーズンでもチャンプでしょうか!?現地2026年1月15日、今オフ注目FAとなっていたOFのカイル・タッカー(Kyle Tucker/29歳)と4年契約で合意しました。
この注目のディールはまだオフィシャルとなっていません。カイル・タッカーのフィジカルチェックが残っているのと、40manロスターがフルのドジャースは調整をしないといけませんので、それが整ってからの正式発表となります。ということは誰かがDFAになる、あるいはマイナー・オプションの残っている選手はマイナーへということになるでしょう。
初FAとなったカイル・タッカーはこれからのキャリアをずっと過ごすクラブでのメガディールとなると予想していたのですが、まさかのショート・タームに驚かされました。しかも、もっと驚かされたのはAAV(Average Annual Value)の高さですね。これには一瞬、目を疑いました。
まず契約内容を見てみます。またドジャースに決まったというのも驚きではありました。
契約内容
- 4 年/$240M (2026-29)
- サイニング・ボーナス:$64M : $10Mを除く全額($54M)が前払い
- 2027年、2028年のワールドシリーズ終了後にオプトアウト可
- 計$30M が繰延払い( 2027-29にかけての$10M/年)
- 額面上のAAVは$60M
- 贅沢税上のAAVは$57.1M (繰延払い$30M分を現在価値で算出)
額面上のAAV 60Mドルは大谷に次ぐ2番目
このディールの額面上のAAVは$60Mです。これは2023年12月にドジャースとサインした大谷選手の10年/$700M (2024-33) の額面上のAAV $70Mに次ぐ史上2番目に高いAAVです。AAVとは均等割した単価です。
大谷選手は巨額の繰り延べがあったため、贅沢税上のAAVは$46Mに。今回のカイル・タッカーも$30M分が繰延払いですから、それを考慮した上での贅沢税上のAAVは$57.1Mに。年間$10M分ですから、それほど減額になりませんでした。
メガ・ディールと言えばフアン・ソトとメッツの15年/$765M (2025-39)も強烈で、この場合のAAVは$51M。ソトの場合は繰延払いはなし。
ということで今回のカイル・タッカーのAAVは額面上は大谷選手に次いで2番目の高単価に、そしてその贅沢税上のAAVでさえフアン・ソトの$51Mを上回っていることから、AAVのチャンピオンみたいな契約内容となっています。
高単価の背景
2015年のドラフトでアストロズから1巡目(全体5位)で指名されたカイル・タッカーは今オフシーズンのトップFAでしたが、大谷選手、フアン・ソトといった選手ほどではありません。
しかし、単価が上がったのはまずはタッカー自体の魅力があるのが1点。これは後述します。
そして何より、競った背景があったからと言えるでしょう。しかも残ったのは欲しければいくらでも!くらいの資金力のあるメッツとドジャースでしたから、これはもう上がるしかありません。なお、ブルージェイズも参戦していましたが、直前には失速しておりました。
正直、ドジャースとメッツ、どちらが先にオファーを提示したのかははっきりしませんが(たぶん、ドジャースが後のような気がしますが)、メッツが5年/$220Mを提示したと言われています。このAAVで$44M。
エクセル・スポーツ・マネジメント(Excel Sports Management)をエージェントとするカイル・タッカーは双方のオファーをテーブルに並べ、検討。結果、ドジャースに決めたということになりました。そもそも現地14日の時点でもう結論を出すという報道が出ていましたので、どうなるのか?と思っていましたが、ドジャースでしたね。
タッカーの魅力
高単価となったカイル・タッカーは2018年にメジャー・デビュー。デビュー後の2年間は出場機会が限られていたものの、ブレイクとなったのは短縮シーズンとなった2020年。このシーズンはマイケル・ブラントリーをDH枠に追いやり、LFで出場。60試合中、58試合に出場し、.268/.325/.512、OPS .837、HR 9,際立ったのはトリプルで6本を放ち、OPS+は124を記録。ポストシーズンではツインズとのワイルドカードシリーズでも活躍しました。最初の3年間のHR数は13本。
2021年から年間30HRが見込める打者に
2021年には先発RFとなり、メジャー初のフルシーズンを経験。140試合に出場し、打率.294、HR 30、RBI 92をマークし、OPS+は147に。ポストシーズンでもホワイトソックスとのALDS、レッドソックスとのALCSでそれぞれ2HRずつを放ち、大いに活躍。ブレーブスとのワールドシリーズでも.286/ .375/ .381と活躍し、メジャーのOFでカイル・タッカーの存在は大きなものになったシーズンでもありました。
翌2022年は150試合に出場し、.257/ .330/ .478をマーク。2年連続でHR 30を達成。さらにRBIは107とさらなる進化を遂げました。
2023年は157試合に出場し、.284/ .369/ .517をマーク。HR 29、RBI はでキャリア・ハイの112となっております。
2024年は自打球が右脛に当たり、これが結構な怪我となり、6月初旬から9月初旬までほぼ3ヶ月の間、離脱となり、出場試合数も78試合に減りました。それでも成績は.289/.408/.585と高水準をキープし、しかもこの試合数でHRは23本、RBI は49を叩き出しております。
2024年オフにカブスに
もはやアストロズにとって欠かせない存在となったカイル・タッカーですが、2025年が調停ファイナル・イヤーに。2023年は調停まで行き、タッカーは敗れました。2024年は調停を避け、アストロズと1年/$12M (2024)でサイン。
アストロズは2020年に贅沢税の閾値を超過。しかし、2021年から2023年までは閾値内に収めてきたものの、2024年は$237Mの閾値に対して$264.7Mと超過。そして2025年の超過も見えてきた中、タッカーの要求もさらに上がると予想。調停に持ち込むかどうかの期限約1ヶ月前の2024年12月半ばにカブスへのトレードを決めたのでした。
アストロズはこのトレードでアイザック・パレデスという3Bも獲得していたのですが、それよりもノーラン・アレナドとのトレードが成立すると高を括っていたこともあり、その後、アレナドのトレード話が破綻となり、中心打者を失い、これが2025年にあと一歩追い込みをかけられない要因ともなりました。
ただ、アストロズとしては将来有望なキャム・スミスを獲得出来たのは大きかったですね。
カブスでのタッカー(2025)
そして2025年のカイル・タッカーですが、貧打にあえいでいたカブス打線に大きなインパクトを残しました。特に前半戦は素晴らしかったです。カイル・タッカーの6月1日までの成績は.284/.359/.524、HR 12。まさに驚異的なスタート。
するとカブス内でケミストリーも起こり、守備・走塁型と思われていたPCAことピート・クロウ=アームストロングがHRを連発し、鈴木誠也選手も大いにRBIを積み上げて行ったのでした。
不全骨折で低迷
その6月1日のレッズ戦で2盗を試みた際、タッカーはヘッドファーストのスライディングで右手の上に体が乗ってしまい、ゲームから退場。数日休んだだけで6月4日のナショナルズ戦から復帰したのでした。
しかし、時期は不明ですが、その後の検査で、薬指と小指の間の手の甲に小さな骨折(ヒビ)が入っていることが判明。この時、カブスは診断結果を発表しておらず、さらにタッカーもILに入りませんでした。オールスターに4度選出されたこともあるカイル・タッカーは、怪我をしながらプレーすることを選んだのです。まずかったのが、6月も結果が出てしまったのです。月間成績は.311/.404/.578、OPS .982とロケットスタートと言われた最初2ヶ月よりも良い数字だったのです。HRはやや落ちとは言え、月間で5本をマークし、RBIも13をマーク。
カブスの終盤でのラッシュに大きく影響
しかし、7月に入り、その影響は如実に顕れてしまいました。7月は.218/.380/.295、OPS .675でHR 1、二塁打 3。8月は.244/.346/.389、OPS .735、HR 3、RBI 9。
カイル・タッカーはハードヒットけでなく、コンタクトさえも失ったのです。それでも8月後半はなんとか持ち直して、カブスの追い込みに貢献するのか?と思われましたが、9月はさらに悲惨で肉離れも発症し、3週間の欠場を余儀なくされただけでなく、出場したゲームの成績も8試合で.158/.200/.316、OPS .516、HR 1、RBI 3ともはや並以下の成績となったのでした。
結果、2025年は素晴らしかった3ヶ月と低迷した3ヶ月という両極端な面を出したのでした。
不全骨折を完全に治していれば終盤、そしてポストシーズンとカブスをプッシュ出来たのに!とファンは悔しがったのでした。
そもそもは優れたコンタクトヒッター
そのように残念過ぎる2025年を過ごしたタッカーですが、ドジャースもメッツも彼が怪我をしていて低迷したのは知っていたので、ヘルシーになれば問題ないと見ていたのです。
実際、彼のコンタクト・スキルは素晴らしく、後半に低迷した2025年においても133安打を記録。そしてキャリアを通じたOBP.358が示すようにとにかく選球眼が素晴らしく、2025年は怪我をしていたというのもありますが、BB数はキャリアハイの87。そして本来なら、HRも30本前後は見込めるのです。
守備の方は2022年にゴールデングラブ賞を受賞。派手さはないものの、堅実で、ウォール際も強いです。
やはり欲しいと思うのは当然ですね。
ドジャース、空前の400M超え
ドジャースは贅沢税上のサラリーが閾値からあり得ないほど上空を飛んでおりますが、2025年は閾値$241Mに対して$415M ! 今回のタッカーのディールで意外に思えたのは、さすがのドジャースも自重するのでは?という考えがあったからです。ただ、どうやらドジャースは大谷、山本の効果もあり、儲かって仕方ないようで、収益は死ぬほど良さそうなのでまるで問題なし!ということのようですね。
そんなドジャースの現時点の贅沢税上のサラリーはすでに$402M。これはタッカーの$57.1Mも含めての数字です。なお、2026年の贅沢税の閾値は$244Mです。2026年は最終的に前年をさらに超えてきそうです。
ドジャースの支払い税額ですが、2021年から超過ですので2026年は6年連続で超過です。税額は閾値から$20Mを超えるごとに税率が決まっていて、超過年数が重なればさらに率もアップ。現時点の税額は$149.8M。もはやスモールマーケットのクラブの40manのサラリーを余裕で超え、中間クラスのクラブのサラリーとなっています。税額だけでです!
2026年オフにCBAが改定となりますが、サラリー・キャップ(上限設定)のような話も出てくるでしょうね。2026年オフのCBA改定は結構揉めます!!
痛いのはドラフト・ピック権ですね。一番高い指名順が10個下がります。
ドジャース、QOは2人目
そしてカイル・タッカーはカブスからクオリファイング・オファーを提示され、断ってFAとなった選手。
QOを拒否してFAとなった選手とサインすると、ペナルティーがあり、ドジャースは贅沢税のタックス・ペイヤーなので下記のペナルティーが科されます。
- ドラフト2番目と5番目に高い指名権が没収される
- それとととに次の契約期間のインターナショナルボーナスプールから$1M分を失う
- QOを拒否した複数のFA選手と契約した場合は、3番目と6番目の指名権も没収される
しかも、ドジャースはやはりQOを拒否してFAとなったエドウィン・ディアスともサインしていますから、上記3にも該当。
なお、タッカーからQOを拒否されたカブスは補償があります。カブスは2025年は贅沢税の閾値を超えておらず、なおかつレベニューシェアリングも受けておりません。
Competitive Balance Round Bと3巡目の間で指名権が与えられます。
ドジャースのスタメン
なお、タッカー加入によるドジャースの予想スタメンです。ベストメンバーの場合、このような打順を組めます。しかもジグザグに!
- DH 大谷選手(L)
- SS ムーキー・ベッツ(R)
- 1B フレディー・フリーマン(L)
- C ウィル・スミス(R)
- RF カイル・タッカー(L)
- LF テオスカー・ヘルナンデス(R)
- 3B マックス・マンシー(L)
- CF アンディー・パヘス(R)
- 2B トミー・エドマン(Both)
2025年はマイケル・コンフォートが不調でかなり批判を受けましたが、タッカーでリカバリーするという恐ろしさ!さすがドジャースです。
お読みいただき、ありがとうございました。






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