まるでNLCSのような面白いゲーム
現地2025年9月15日、フィリーズ@ドジャースの3ゲームシリーズがスタート。MLBの2025年のレギュラー・シーズンも残り4カードで終了です。
このシリーズは現時点でNLで勝率3位のドジャースが勝率2位のフィリーズにどこまで迫り、最終的に2位までに入ってワイルドカード・シリーズを免除できるかというのがドジャース側の視点。ただ、上ばかり見ていると、パドレスの追い上げもありますから、油断出来ない状態です。
PHI: マジックNO.1
一方、フィリーズは、すでにマジックNO.1としており、この日試合のないNLイースト2位のメッツを尻目に「勝って優勝を決めるかどうか」という大事な一戦でもあります。また、NL勝率1位のブルワーズが今は一時ほどの勢いがなく、ブルワーズとの差を詰めてNL NO.1勝率の座を手中にするチャンスの時でもあります。
そして個人の注目点は大谷選手とカイル・シュワーバーのHR争いも見ものですし、ブライス・ハーパーも存在感を見せるでしょうから、非常に楽しみなシリーズでもありました。
そんな両雄の対決のGm1はこれはNLCSか?というくらいにおもしろい展開となりました。
カイル・シュワーバーが53号
先制したのはフィリーズ。
ドジャースはこの日、やや奇策といえる投手起用を実施。エメット・シーハンを先発ではなく、オープナーの2番手に、そして先発にはアンソニー・バンダを起用。これは初回のカイル・シュワーバー、ブライス・ハーパーの並びを警戒しての起用でした。
そのアンソニー・バンダは調子の良いハリソン・ベイダーを三振に打ち取り、いい入りを見せたものの、肝心のカイル・シュワーバーを早めに追い込んだまでは良かったものの、5球目のスライダーをうまく拾われ、これが右中間スタンドギリギリに飛び込むソロHRとなり、先制点を与えてしまいます。
これはカイル・シュワーバーの技術が上回ったとしか言いようです。それにしても、あれだけ泳がされながら、よくあそこまで持って行きましたね。普通ならRFフライではないでしょうか。カイル・シュワーバーは大谷選手の前で第53号を放ちました。
バンダはつづくブライス・ハーパーには四球で歩かせ、ロバーツ監督の狙いは空振りに終わる結果に。
エメット・シーハンは好投
ドジャースはここでエメット・シーハンにスイッチ。予定では2回頭からだったと思うので、登板が早まりました。
シーハンはJT・リアルミュートとブランドン・マーシュを抑え、1点のみで切り抜けました。
一時はドジャースがリード
ドジャース打線ですが、フィリーズ先発のレンジャー・スアレスに1、2回は抑えられたものの、3回裏にチャンスメイク。アンディー・パヘスが2ベースで出塁し、この日、先発マスクをかぶったチャッキー・ロビンソン(Chuckie Robinson)が送りバントに成功。大谷選手はくさいところには投げないという四球で歩き、1アウト1、3塁でムーキー・ベッツが打席に。そのムーキー・ベッツはCFへ犠牲フライを放ち、パヘスを還して1点を奪い、1-1の同点に追いつきます。
ドジャースはさらに5回裏に、マックス・マンシーのソロHRで勝ち越した後、1アウト1塁で大谷選手が RFへゴロでシングルを放ち、1アウト2、3塁とすると、またもやムーキー・ベッツが犠牲フライを放って追加点。5回を終えて3-1とリードします。
ドジャース2番手のエメット・シーハンは素晴らしい投球を披露。4回、5回は三者凡退に抑え、6イニングまで無失点投球。
エメット・シーハンは7回表のマウンドにも上がるも、先頭のオットー・ケンプに2ベースを打たれたところで降板。5.1イニングを投げ、後退時は無失点でした。BB 3、SO 7で見事なゲームメイクを見せました。
フィリーズ、逆転!
ドジャースの3番手は左腕のジャック・ドライヤー。フィリーズはマックス・ケプラーが2Bへの進塁打を放ち、1アウト3塁とすると、ブライソン・ストットが甘いボールをCF前に弾き返し、まずは2-3と1点差に追い上げます。
さらに、9番2Bのウェストン・ウィルソンが2ボールとなった後の甘いボールをCFへ弾き返し、これが2ランHRとなり、一気に4-3と逆転。
これはジャック・ドライヤーにもエメット・シーハンにも厳しい一発となりました。
ドジャースが追いつく!
しかし、ドジャースもさすがです。逆転を許した直後の7回裏、フィリーズはオライオン・カーカリングを起用して、終盤に向けたセットアップを図り、カーカリングも期待に応え、PHのマイケル・コンフォート、そして大谷選手から連続三振を奪って2アウト。
このままカーカリングが抑えるだろうと思ったその後、当たっているムーキー・ベッツがインコースのボールを左中間スタンドに放り込み、4-4の同点に追いつきました。さすが、ムーキー・ベッツですね。
ハーパーが勝ち越しHR
4-4の同点となった8回表、ドジャースはアレックス・ベシアを起用。ブライス・ハーパーとの対決に備えましたが、ハーパーは4球目の真ん中高めのボール球をRFスタンドに持っていく勝ち越しのソロHRを放ち、フィリーズが5-4と1点をリードします。
この辺りは強者同士の戦いという感じで見応えありでした。
9回裏、パヘスが同点HR
そしてゲームはとうとう9回裏へ。フィリーズはクローザーのヨアン・ドゥランを投入。逃げ切りを図ります。
しかし、1アウト後、アンディー・パヘスが2ストライク後の甘いナックル・カーブをパヘスらしいスイングでLFスタンドに持って行き、ドジャースが土壇場で5-5の同点に追いつきます。
これは割とミラクルな一発でした。もうまっすぐで押せばよかったのにとは思ったのですが、パヘスが甘い球を一発で仕留めたのが見事でした。
この後、大谷選手が四球と盗塁で2アウト2塁でムーキー・ベッツに回りましたが、ここはドゥランの勝ちでスプリットでCFフライに抑えました。
延長でフィリーズが勝利
10回表、フィリーズはカイル・シュワーバーから始まる最高のターン。ドジャースはブレイク・トライネンをマウンドに。
そのトライネンは先頭のカイル・シュワーバーを緩い2Bライナーに押さえてまずは第1関門をクリアー。
つづくブライス・ハーパーは申告敬遠で歩かせます。
JT・リアルミュートの打席でフィリーズはダブルスチールを仕掛け、1アウト2、3塁とし、リアルミュートを楽にします。このフリーパスのようなダブルスチールは勿体なかったですね。
お膳立てをしてもらったリアルミュートは7球目のスウィーパーをRFへ運び、これが犠牲フライとなって、ハリソン・ベイダーが生還。6-5と勝ち越しに成功しました。
10回裏、ドジャースはデービッド・ロバートソンから1アウト満塁のチャンスを作るも、ミゲル・ロハスが甘いカットボールをミスショットして、SSフライ。まだマックス・マンシーの打席でチャンスはあったのですが、マンシーは1Bゴロに倒れてゲームセット。
フィリーズが死闘の末、6-5で勝利。見事にNLイーストの2連覇を決めました!
フィリーズ、地区優勝
この日、遠征となったフィリーズは飛行機の機材トラブルで到着が遅れ、ロサンゼルスに着いたのはローカル時間で午前2時少し前。非常に悪コンディションの中、試合に臨んだのでした。
トレードDLが効いたフィリーズ
今季はブレーブスがけが人続出で調子が出ない中、メッツが強敵になったのですが、フィリーズは前半戦によく持ちこたえました。8月に入り、ラッシュをかけることが出来たのですが、これがトレード・デッドラインでいい補強をしたというのにつきます。
まず、ここ数年低迷していたハリソン・ベイダーが移籍後.338/.399/.519、OPS .917、HR 4と大爆発。もともと守備とスピードには定評のあった選手が打撃が復活したことで鬼に金棒状態となり、フィリーズにとっては待望の右打席のOFが少しの犠牲で手に入った訳です。
さらに、ツインズからヨアン・ドゥランを獲得。これはプロスペクトが犠牲になりましたが、その見返りは十分に見合う補強であったと言えるでしょう。そしてデービッド・ロバートソンとも契約。
終盤にエースのザック・ウィーラーが離脱するアクシデントがありましたが、それでもローテーションは豊富です。
また現時点でトレイ・ターナーとアレク・ボームの三遊間がIL。この状態でもしっかりとオフェンスを構築するのはさすがです。見事な地区優勝を飾りましたね。
フィリーズはこれで2年連続13度目の地区優勝。過去3年はポストシーズンに進むも、2022年はワールドシリーズで敗退、2023年にNLCSで敗退、2024年はNLDSで敗退しました。
今季はウィーラーが不在ですが、選手たちは今度こそ!という自信があるようです。頼もしいですね。
フィリーズは上述のようにNO.1スポットもあり得ます。ポストシーズンはNLDSからスタートなのは確実ですが、どこが上がって来ようがどんと来い!という気構えを見せております。
お読みいただき、ありがとうございました。
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