山本が球史に名を刻む快投
現地2025年10月25日のドジャース@ブルージェイズのGm2は圧巻の投手戦でした!両クラブともに強烈なオフェンスを抱えながらのこの展開。力のある先発投手が機能すれば、こんな展開にもなるのだと改めて思った次第です。
Gm2では山本由伸投手が完投!山本投手の完投は、なぜドジャースがそもそもこのワールドシリーズに対して優勢に思われたかを改めて思い出させるもの圧巻の投球でした。
Gm2のスターティング
まず、スタメンから見て行きましょう。
Gm2はドジャースはピッチャー以外はGm1と変わらず。
ブルージェイズはGm1で4番・2Bに入っていたボー・ビシェットがスタメンから外れ、アレハンドロ・カーク、ドールトン・バーショウ、アーニー・クレメントがそれぞれ1つずつ上がり、RFにはGm1ではマイルズ・ストローを使っていましたが、Gm2はアディソン・バージャー。Gm1でホームランも打ちましたし。2Bにはビシェットの代わりにアイザイア・カイナー=ファレファが入っております。先発は山本投手とケビン・ゴーズマン。
| # | Dodgers | Pos. | # | Blue Jays | Pos. |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Shohei Ohtani | DH | 1 | George Springer | DH |
| 2 | Mookie Betts | SS | 2 | Davis Schneider | LF |
| 3 | Freddie Freeman | 1B | 3 | Vladimir Guerrero Jr. | 1B |
| 4 | Will Smith | C | 4 | Alejandro Kirk | C |
| 5 | Teoscar Hernández | RF | 5 | Daulton Varsho | CF |
| 6 | Max Muncy | 3B | 6 | Ernie Clement | 3B |
| 7 | Enrique Hernández | LF | 7 | Addison Barger | RF |
| 8 | Tommy Edman | 2B | 8 | Isiah Kiner-Falefa | 2B |
| 9 | Andy Pages | CF | 9 | Andrés Giménez | SS |
| Yoshinobu Yamamoto | P | Kevin Gausman | P |
ファースト・ピッチはジョー・カーター
この日、ブルージェイズは、ファースト・ピッチに1993年のワールドシリーズGm6でLFへのサヨナラホームランを放ち、チームを優勝に導いたジョー・カーター(Joe Carter)を始球式に招きました。それを再現するくらいの展開になればということだったのでしょう。ちなみにサヨナラ3ランHRを打たれたのはフィリーズのミッチ・ウィリアムス(Mitch Williams)。投げる度に右に倒れることで有名。
投手戦!
ケビン・ゴーズマンの立ち上がり
昔ながらの投手戦となったこのゲーム。両先発ともに良かったです。
ただ、先制点を上げたのはドジャースで1回表に、大谷選手、ムーキー・ベッツともに大きな外野フライで倒れ2アウトとなった後、フレディー・フリーマンが2ベースを放ち、ウィル・スミスのCF前でフリーマンを迎え入れ、ドジャースが幸先よく1点を先制しました。
山本投手の立ち上がり
山本投手は1回裏にリードオフのジョージ・スプリンガーから早々に2ストライクを奪ったものの、5球目の4シームがかなり甘いところに入ってしまい、これをラインドライブでLFへ運ばれ、2ベースを許します。HRにならなくて良かったと思えるくらい完璧に捉えられました。
つづくネイサン・ルークにも初球のカットボールをLF前に運ばれ、ノーアウト1、3塁でゲレロ・Jr.を迎えるといういきなり厳しい場面に遭遇します。
ところが、山本投手はインローを中心にゲレロ・Jr.にスプリッターを多投。こちらもすぐに追い込み、ファウルで粘られましたが、最後は予想外のカーブで抜いて空振り三振。これはバッテリーがうまかったですね。
つづくアレハンドロ・カークは前進守備のフレディー・フリーマンへのゆるいライナーで2アウト。5番のドールトン・バーショウには3ボールとなってしまいますが、ここからカウントを作り、最後はまたカーブで抜いて見逃し三振。初回はカーブの使い方が抜群でした。
山本投手は2回裏にはマウンド近辺のフライを1Bのフレディー・フリーマンに任せ、これがミスチャッチを誘う守備ミスもありましたが、下位打線を抑えて無失点。フリーマンの守備位置がちょっと深かったので走り込んでの捕球は難しかったかもしれません。
3回に同点に
ドジャースが1-0とリードして迎えた3回裏、山本投手は先頭のジョージ・スプリンガーへの4シームが抜けてしまい、死球を与えてしまいます。
1アウト後、ヴラディーミル・ゲレロ・Jr.がHRかという強烈なフェンス直撃のシングルを放ち、ブルージェイズは1アウト1、3塁。この当たりも運があったというか、HRになっていてもおかしくなかったですが、打球が上がらず良かったですね。もっともそういうところに投じたとも言えるかもしれません。
このチャンスにアレハンドロ・カークがCFへ犠牲フライを放ち、ジョージ・スプリンガーが精悍してブルージェイズが1-1と同点に追いつきます。
昨日はこの展開から先発のブレイク・スネルが崩れて行き、ハードな場面での継投もあり、ブルペンが炎上したドジャースですが、この日は山本投手がそれを阻止します!
連続アウトの応酬
4回以降は両先発のオンステージのような状態に。
ケビン・ゴーズマンは17人連続アウト
ケビン・ゴーズマンはドジャース打線を1回表、テオスカー・ヘルナンデスから三振を奪った3アウト目から7回表、フレディー・フリーマンをCFフライに打ち取った1アウトまで17人連続アウトの投球。
この日はスプリッターが精度が完璧で、しかも4シームもとにかく低めに集める素晴らしい投球でした。
山本は20人連続アウト
一方の山本投手は、1失点した3回裏の2アウト目から9回裏の3アウト目まで6.2イニングで一人のランナーも許さず。つまり3回裏の2アウト目から数えて20人連続でアウトに仕留めたのです。これはすごいとしか言いようがありません。
大谷選手が数々の伝説を作っていますが、山本投手ももはや伝説級の投球です。
ドジャース、2発で勝ち越し
試合が動いたのは7回表。1アウトからウィル・スミスがケビン・ゴーズマンの失投を逃さず、LFにソロHRを放ってドジャースが勝ち越しに成功。
さらに2アウト後、マックス・マンシーもケビン・ゴーズマンからLFへソロHR放ち、追加点。ドジャースが7回表に2点を勝ち越し、3-1とリード。
好投したケビン・ゴーズマンはここで降板。6.2イニングで82球を投げ、被安打4、失点3、ER 3、BB 0、SO 6、HR 2という内容でした。
ドジャースは8回表にもルイス・バーランドからアンディー・パヘスと大谷選手の連続シングルとムーキー・ベッツの四球で満塁のチャンスを作り、代わったジェフ・ホフマンのワイルド・ピッチで1得点。また、ウィル・スミスの放ったSSゴロの6-4-3のダブルプレー崩れの間に1点を上げ、2点を追加。5-1とリードを拡げます。
山本が完投
リードをもらった山本投手は7回裏を三者凡退に抑え、8回裏にはアンドレ・ヒメネス、ジョージ・スプリンガー、そしてネイサン・ルークから三者連続三振!9回裏もゲレロ・Jr.、カーク、バーショウと抑え、見事完投で勝利を手にしました。スコアは5-1。
山本投手は9回、105球、被安打4、失点1、ER 1、BB 0、HBP 1、SO 8,HR 0。見事な完投勝利でした。
強打のブルージェイズ打線を相手にこの投球。素晴らしすぎますね。またブルージェイズはいけいけなので、球数の意味でも9回まで持ったという背景もあったと思います!
山本の偉業
PSでの2連続完投は、カート・シリング(3連続)以来
NLCS Gm2でも完投勝利を上げた山本投手。この試合で2試合連続完投勝利です。
これは2001年に3試合連続完投勝利を挙げたカート・シリング以来のこと。1993年以降のポストシーズンで、これを達成したのはカート・シリングと山本投手の2人だけ!この時点でビッグネームと肩を並べる山本投手。
LAD史上、ハーシュハイザー以来!
そしてドジャース史上で見てみると、計8度目の快挙。
直近では1988年のポストシーズンで3試合連続完投勝利を挙げたオレル・ハーシュハイザー以来となります。筆者も大好きな投手で、今はドジャース戦の解説で放送席に座っていますね。
そして、伝説の左腕、サンディ・コーファックスは1965年と1963年のワールドシリーズでそれぞれ2試合連続完投勝利を達成。それ以前には、サル・マギー(1956年)、ジョニー・ポドレス(1955年)、ホイット・ワイアット(1941年)、シェリー・スミス(1920年)が達成しています。
20人連続アウトは
この日、山本投手は20人連続アウトで締めくくったわけですが、ポストシーズンの試合で最後の20人以上の打者を連続で打ち取った投手は4人目。
1956年のワールドシリーズGm5で完全試合を達成したヤンキースのドン・ラーセン(27人連続)、1926年のワールドシリーズGm2のカージナルスのグローバー・アレクサンダー(21人連続)、1915年のワールドシリーズGm3のフィリーズのダッチ・レナード(20人)に続く快挙。
またドジャース史上では最多連続アウト。1952年のワールドシリーズ第5戦でカール・アースキンが達成した19奪三振を達成したゲームの19連続が最多。
敵地で2試合連続完投
また、ポストシーズンで2試合連続完投を敵地で達成した投手は、過去95年間でスコット・マクレガー(1979年)とハル・ニューハウザー(1945年)に次いで3人目です。
PSでキャリア最初の2完投
山本投手はレギュラーシーズンではこれまで完投はなし。
MLBキャリア初の2度の完投をポストシーズンで達成した投手は、ジョシュ・ベケット以来2人目。ベケットは2003年のNLCSGm5とWS Gm6で達成しました。
ワールドシリーズでの完投
そしてワールドシリーズの完投と行けば、ロイヤルズが制した2015年ワールドシリーズGm2で当時メッツに在籍していたジョニー・クエトが達成して以来のことです。
またワールドシリーズと他のシリーズとの組み合わせでのマルチ完投勝利は、2014年にジャイアンツのマディソン・バムガーナーがNLWC Gm1、WSGm5で複数回の完投を記録して以来のことになります。
いやはや、すごい記録のオンパレードとなりました。
Gm3は1日移動日を挟んでドジャー・スタジアムでの開催。Gm3はタイラー・グラスノーとマックス・シャーザーの投げ合い。そしてGm4で大谷選手の先発で、ブルージェイズはシェーン・ビーバーです。
楽しみですね。
お読みいただき、ありがとうございました。


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